サルヴァトーレ・ロッソの艦内居住環境


 艦内居住区を訪問したハンター達。
異文化交流に興味をそそる対象は多いだろうが、
良識を疑われぬよう節度を守って欲しい(ソサエティ広報談)

 惑星間遠征を遂行する目的で建造されたサルヴァトーレ級はもとより大きな居住区画を保持している。中でも、一番艦であるロッソは防衛が困難なスペースコロニーから住人を避難させる事も念頭に置かれている為、一般的なコロニーの民間人を一時的に受け入れるだけのキャパシティを持っていた。用途に合わせ、住居には単身用、家族用などいくつか種類がある。
 精神衛生上必要とされる緑地帯も多く用意されており、天井や周囲に映し出される映像と相まって生活環境としては「地球にいるのと変わらない」と軍広報は宣伝していた。
 居住区画は艦の後部に右舷側、左舷側、中央の3か所存在し、4〜5階建の集合住宅が10棟並んだ団地を1ブロック単位として細かく区割りされている。居住区全体は3階層に分けられており、やや天井の低い上段フロアは乗組員用居住区、その下の中段、下段フロアが受け入れ用の居住区画として提供されている。1階層は10ブロックからなり、1ブロックは300名程度の収容を見込んでいる。
 購買区画、医療ユニットや倉庫などの設備はブロック毎にも存在し、有事の際はブロックごと艦内の生命維持環境から切り離す事が可能だ。切り離されたブロックは食料や水、空気については隔離状態で3日持つとされている。


サルヴァトーレ・ロッソの艦内設備


艦内表示の例。このブロックでは
緩衝区画を駐車場に転用している。
 火星までの長期航行における単独任務を遂行すべく、艦内には工場設備や分析設備などが一通りそろっている。搭乗員10,000名を要するのはその管理の為であり、艦自体の運行や自衛に必要な最小人数は500名程だ。自律システムに多くを委ねた場合、艦橋に5名程の人員を配するだけで最低限度の航行は可能である。
 民間人を救助する事も念頭に置かれているサルヴァトーレ・ロッソ艦内の案内表示は、一般的な軍艦艇や基地設備に比べて「親切」である。これは、有事の際に艦内を勝手の分らない者が避難する事を想定したもので、立ち入り禁止区域や危険な場所の表示も含め、艦内地図が主通路の分岐ごとに設置されている。
 宇宙艦であるロッソには空気抜けに備えた隔壁が大小多数存在し、個人用の宇宙服や避難スペースなどの緊急用備品も多くの場所に設置されている。こういった民間向けの至れり尽くせりな状況から、軍内部では建造当初より動くスペースコロニーとも称されていた。


現在のサルヴァトーレ・ロッソ

 サルヴァトーレ・ロッソは融合炉を持ち、宇宙空間での航行においては推進力と動力をそれによって賄っていた。大気圏内においては様々な理由から、化石由来の燃料と艦体に設置されたパネルによる太陽光発電を用いる規定となっている。反重力装置が通常稼働できていればそれでも十分だったのだが、クリムゾンウェストに漂着して後の出力低下により、同艦は飛行もままならない状態となった。
 現時点での出力でも低速の洋上航行は可能だが、その後の調査の結果、クリムゾンウェストには化石燃料が存在しないことが分かっている。本編開始時に至るまで、同艦はリゼリオ沖に停泊したままで再稼働の目途は立っていない。