正のマテリアル、負のマテリアル


 辺境要塞ノアーラ・クンタウ
 辺境では、長く時を経た自然に
 精霊が宿ると言われる。
 マテリアルと呼ばれる概念、エネルギーについては西方世界に残る最古の歴史書の中で、既知の物として扱われている。マテリアルを操る術である魔術の歴史は口伝を含めればきわめて古い。しかし、それだけの期間を持つ利用と研究の歴史があるにしては、マテリアルには未解明な部分もまた、多く残されている。
 この世の事物には「正のマテリアル」というエネルギーが関わっている。ただ物体がそこに「在る」だけでもマテリアルは微量ながら形作られ、それが失われる際に霧消する物だ。長い年を経た霊峰や正のマテリアルは場所や個体による濃度の差もあるが、知的生物の意志との関連性が非常に強い。強い意志を持つ芸術家が魂を込めた作品には強いマテリアルが籠るという。
 一方で、負のマテリアルと呼ばれる状態が存在する。これらは死、滅びに繋がるものとされ、実際に「後ろ向きな思考」は負のマテリアルを生じることが有るようだ。クリムゾンウェストの知的生物は概ね、正負のマテリアルを併せ持っており、正のマテリアルの保有量がより多い形でバランスが取れている。
 前述のように、個々人が持つマテリアルに関しては意志の方向性に大きく依存する事から、クリムゾンウェストでは参加者の気持ちを明るくするようなイベントは歪虚を退ける効果がある物として尊ばれている。


歪虚とマテリアルの関連性

 歪虚と呼ばれる歪み現象は、おおざっぱに言えば負のマテリアルの塊であると言える。意志(あるいは何らかの行動目的)を持つ負のマテリアルがヴォイドと関係しているのは間違いない。彼らは生命における正負のマテリアルの役割が逆転したかのような存在であり、人が子を為し地に満ちるがごとく、死と滅びを蔓延させる存在である。

 歪虚があるから負のマテリアルが生じるのか、負のマテリアルがある故に歪虚が生じるのかについては結論が出ていない。確かな事は、負のマテリアルと歪虚現象、及びヴォイドの間に強い関連性があるという事だ。


覚醒者とマテリアル


覚醒には生得、あるいは後天的な
資質が必要である
 強いマテリアルを生まれつき持っているか、あるいは修行や瞑想などで素質を補った者が覚醒者となる事が出来る。
 覚醒者は一般人よりも優れた身体能力や感覚を持つほか、スキルと呼ばれる超常的な力を行使する事が出来る。これらの力の行使は本人の持つマテリアルのみで成り立つ者ではなく、むしろ外部のマテリアルをいかに利用するかが本質となる。
 利用する先は信仰する、あるいは契約した精霊、祖霊、英霊など多様ではあるが、本質は同じである。外部のマテリアルを受け入れ、利用できる態勢を取ることを「覚醒」と称している。覚醒者の素質とされる一定のマテリアル保持とは、「覚醒」のトリガーとするために必要とされる物だ。
 覚醒の際に、一部の覚醒者は外見や雰囲気などが変容する場合がある事が知られている。