• 闇光
  • 戦闘

【闇光】決意を飲み込む悪意

マスター:T谷

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2015/10/07 19:00
リプレイ完成予定
2015/10/21 19:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

 豪華極まりないキャリッジを背中に乗せ、武骨なコンテナを引き摺りながら茶褐色の楕円が純白の雪景色を切り裂くように進む。
 その体表はゾンビの継ぎ接ぎ。無数の骸を繋ぎ合わせて皮を作り、内部に毒ガスを充満させて風船のように浮力を得ている。バルーンと呼ばれる、歪虚の一種。ゾンビを撚り合わせて作られた六本の巨大な足を細かく動かし、より機動力を増したおぞましい姿となって北へ北へと向かっている。
「あーもうっ、超寒いんですけどぉ。こんなんなら来なきゃよかったっての……オルちゃんもさぁ、もっと南の島とかで暴れたらいいのに。それだったら、喜んで付いてくのになぁ」
 キャリッジの中で女が吐き捨てる。窓から吹き込む寒風に、不自然に輝く金の髪を揺らし、氷のように冷え冷えと透き通った白い肌を震わせて。傍らに置かれた、外気の低温でより冷たくなった釣り鐘型の巨大な鉄塊――アイアンメイデンを蹴り飛ばしながら、目の前に佇む男女二体のゾンビに向けて忌々しげに目元を歪めた。
 エリザベート。
 真紅のドレスに身を包んだ毒婦が、彼女が”馬車”と言い張るものに乗り北荻へ向けて移動を始めていた。
「申し訳ありません」「寒い」「という感覚が」「分かりかねます故」「失念しておりました」
 蹴られたアイアンメイデンが倒れ、大きな音共に床板にめり込む。それを気にする素振りすらなく、執事服とメイド服に身を包んだ男女のゾンビは、一つの文章を二つの口で流れるように紡ぎ頭を下げた。その姿は気品に溢れ、本物の侍従を思わせる。しかし、薄紫の肌色、ところどこ剥がれかかった皮膚、そして黄ばんだ白目と瞳孔の散大しきった瞳が、彼らをゾンビたらしめていた。
 その答えに得心がいかなかったのか、エリザベートはぶすっとした表情のまま窓の外に目を向ける。広がっているのは、苛立たしいほどに延々と続く白銀の世界。
「……退屈」
 暇つぶしに連れてきた、体力も有り余って体も丈夫だろうと当たりを付けた何処かの兵士も、既にアイアンメイデンの中で事切れている。そんな言葉が自然に飛び出すのも、無理のないことだった。


 北荻への進軍。そこに、北荻から最も近い場所に駐留する第二師団員が加わるのは必然だ。多くの部隊が、作戦地域に向け続々と雪原を突き進んでいく。
 かねてより、彼らは北荻からの重圧に耐えてきた。山脈一つ越えれば広がる歪虚の本拠に、思いを馳せない日はなかった。誰もが、その向こうからいずれ迫るであろう脅威から、国を守るために訓練を続けてきたのだ。
 だからこそ、彼ら第二師団員の士気は高い。今のこの状況こそが、悲願といって過言ではないからだ。
 歪虚への恐怖も、死への恐怖も、心の奥底に押し込めて剣を振るう。
 第二師団フュアアイネ。その意味は、一つのために。殉ずる覚悟など、初めから持ち合わせていた。

「ハァ~イ、元気ぃ?」

 そしてその思いは、例え頭上から巨大な鉄塊が急襲しようと、変わることなど決して無い。
 深く積もった雪を蹴散らし固く凍った土までも穿ち、吹雪のような雪煙を巻き上げ数人の団員がそれだけで大きく吹き飛ばされて――
「……ちっ、エリザベートって奴か! こんな時に!」
「あれ、あたしのこと知ってんの? えーあたし有名人じゃーん! サインしたげよっかぁ? きゃはははっ!」
 楽しげに笑みを浮かべ、しかし圧倒的な悪意を感じさせる雰囲気を纏って真紅の歪虚が降り立つ。
「ちょっと暇しちゃってさぁ。充電も切れちゃうし、ホントやってらんないよねぇ」
 可憐でありながら禍々しい容貌は、その身に宿る毒を隠しもせず、だというのに獲物を狩る自信に満ちあふれている。
 彼女の情報は、既に第二師団に出回っていた。帝国内で無数に発見された、死体とゾンビまみれの廃墟。その原因が、この酷薄で軽薄で蠱惑的な笑みを浮かべる歪虚であると。
 遭遇すれば、決してまともにやりあってはいけない。必ず、上位の団員複数によって対処すべし。
 覚悟は出来ている。しかしそれは、無駄死にをしてもいいということではない。
「全員、撤退を――」
 咄嗟に団員達は踵を返そうとする。しかし、

「どこに」「行かれるのですかな?」

 団員達の逃げ道を塞ぐように、雪に隠れていたのか、いつの間にか無数のゾンビが立ち塞がっていた。
 モノクロを基調とした、燕尾服とメイド服を纏ったゾンビの群れだ。手に手に錆の入った剣を提げ、ゾンビらしからぬ堂に入った構えでずらりと並び静かにこちらを牽制している。
「我が主が」「あなた方と戯れたいと」「仰っているのです」
「……クソが」
 痛いほどに剣の柄を握りしめ、団員が吐き捨てる。それを見たエリザベートの笑みが、一層深くひび割れる。
「きゃはははっ、イィ~イ顔してんじゃん。自分は強いぜーなぁんて思ってる奴のが、ビビったとき超ウケんだよねぇ。……ノリわっるいのが、混ざってるみたいだけどぉ」
 そして、エリザベートの爛々とした真紅の視線が、部隊に追従していたハンター達に注がれた。
「ま、何でもいいや。ゆぅ~っくり……ぶっ壊れるまで遊んであげる。きゃはははっ!」

解説

・概要
 突如第二師団の部隊を襲った歪虚から、無事に生き延びろ。

・敵
「エリザベート」
 ギャルっぽい口調で拷問大好きな、一見可愛らしい容姿の歪虚。巨大なアイアンメイデンを長い鎖に繋ぎ、鈍器として振り回します。
 その能力は強大ながら未だに全貌が解明しておらず、未知の攻撃や特殊能力を備えている可能性が高いです。
 ただし今回は、何らかの理由で以前よりも攻撃が鈍っています。

「執事ゾンビとメイドゾンビ」
 エリザベートを主と呼ぶ、意志を持つらしい二つの個体を筆頭とした、ゾンビの群れです。
 全体の数はおよそ二十。そのうち半分が燕尾服、残りがメイド服に身を包んでいます。
 全ての個体が長剣を装備し、普通のゾンビを軽く凌駕する戦闘能力を誇ります。中でも言葉を操る男女一対のゾンビは別格で、高い身体能力と連携を駆使して襲ってきます。

・場所
 障害物も何もない雪原です。

・友軍
 第二師団の主力部隊の一つと、ハンター達は同道していました。
 数は十人。闘狩人が八人と聖導士が二人。全員が、それなりの戦闘力を持っています。

・補足
 エリザベートは、一定の時間を耐える、一定の距離を逃げる、若しくは彼女に一定のダメージを与えることで撤退を開始します。また、彼女が何かを達成することでも、撤退を誘発することができるでしょう。

※イケメンシステム搭載
 プレイングに【イケメン】タグの入っている人物は、エリザベート好みのルックスを持っていることになります。これは女性であっても同じです。
 その人物は、エリザベートの行う何らかの行動のターゲットになり易くなります。また、負傷を伴う攻撃のターゲットになりづらくなります。
 複数の【イケメン】が存在する場合は、より好みに近い背格好、性格をしている人物が対象となります。

マスターより

また変なものを搭載してみましたT谷です。

今回は少し危険なシナリオとなっています。逃げたり戦ったり、頑張って生き延びましょう。

関連NPC

  • 真紅の妖姫
    エリザベート(kz0123
    歪虚|18才|女性|歪虚(ヴォイド)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/10/17 23:00

参加者一覧

  • その心演ずLupus
    ルピナス(ka0179
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 【ⅩⅧ】また"あした"へ
    十色・T・ エニア(ka0370
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • 鎮魂の刃
    イヴァン・レオーノフ(ka0557
    人間(蒼)|29才|男性|闘狩人
  • 【魔装】の監視者
    星輝 Amhran(ka0724
    エルフ|10才|女性|疾影士
  • 天に届く刃
    クリスティン・ガフ(ka1090
    人間(紅)|19才|女性|闘狩人
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 背徳の馨香
    ブラウ(ka4809
    ドワーフ|11才|女性|舞刀士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【相談卓】返り討ちにするよ!
十色・T・ エニア(ka0370
人間(リアルブルー)|15才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/10/07 13:54:56
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/10/03 07:04:06