• 闇光
  • 無し

【闇光】其の朗唱、いずこから響かん

マスター:ムジカ・トラス

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,500
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2016/02/15 19:00
リプレイ完成予定
2016/02/24 19:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。


 『彼』が死んだ。

             何故だ?

 『彼』が死んだ。

             何故だ?
 
 『彼』が死んだ。

             何故だ?

 『彼』が死んだ。

             ――何のために?


 ――だから、私は。
 道化らしく。あのお方の《主筆》らしく。
 あの方が好み、望んだ即興劇を、高らかに謳いあげてみせよう。

 それをもって、手向けとしよう。


「わーお♪ 随分、派手だね」
 ジョン・スミス(kz0004)は愉快げに、歌うように呟いた。
 彼が居るサルヴァトーレ・ロッソの一室からは、『それ』が良く見えた。

 遠い戦場。漸く執り行われることとなったCAMや魔導アーマーといった各ユニットの残骸回収の場――だった場所は今、確かに戦場と化していた。

 戦場は轟音と酸鼻に包まれていた。熱狂的なまで狂乱。レチタティーヴォの遺品とも言うべき人形たちが突然動きまわり、ありとあらゆるに無差別に襲いかかる。
 人形達はユニット回収の為に動員されたハンター達。あるいは、何かにつられてきた歪虚達に襲いかかり、一部がサルヴァトーレ・ロッソへと疾走を開始した。強引に戦場は押し広げられ、連鎖していく。遭遇したハンターと歪虚、その両方へと襲いかかる人形達。
 敵の敵は敵。苦悶と絶叫、憤怒と悲哀が彼方此方で渦を為していた。

 それらを俯瞰していると、艦内で警報。接近してくる人形たちの一団――といっても黒山の如き人数の暴力である――への対応の為のそれを聞きながら、ジョンはゆるりと目を細めた。バイザーの中で、長い睫毛が微かに震えた。

「……レチタティーヴォ、だったね。それにしては少しばかり賑やかに過ぎるケド」
 ジョンは確かめるように言葉を口元で転がしたのち、視線を切る。

「たしか、艦内にも何人か残っていたような……ヨシ♪」



 彼は奔った。広大に過ぎる戦場を隠れ蓑に、ただひたすらに。遠くに見える紅の船――サルヴァトーレ・ロッソへと向かって。黄金の衣装が風に揺れ、豪奢に過ぎる装束がちりちりと揺れる。
「――」
 その横顔には、表情などなかった。当然だ。その体には肉も皮も在りはしない、ただの骸骨である。表情など浮かび得まい。
 戦場の音、気配を隠れ蓑にするように、黒々とした眼窩に赤い光点を灯して、疾駆していた。

 加速、加速、加速。疾走は止まず、ただただ距離が詰まる。
「――――レチタティーヴォ様。貴方は」
 骸が、独語した。その時だ。
 その疾駆が、唐突に横に跳ねた。骸の跳躍と同時に、銃声。遠くまで響いたそれは、残り香とも言うべき草葉の揺らぎを撃ちぬく。
「ハイ、そこまで♪」
 遅れて、声が届いた。進む先、突如現れた――ように骸には見えた――黒影が、風に揺らぐ。骸の紅光が声の主を射抜くが、そいつは動じなかった。肩を竦めるその男の向こうから、一人、また一人と人間が近づいてくるのを見て、骸は恭しく腰をかがめて丁重な礼を示す。
「おやおや、観客がいらっしゃるとは……これは、大変な失礼をいたしました」
 影、ジョン・スミスは柔和な笑みで礼を容れると、狙撃銃を肩に掛ける。
「君が誰だかしらないケドさ、随分お急ぎみたいだ」
 現れたハンター達の影にちゃっかりと隠れながら軽妙に言うジョンは2本指を立てて軽く振り、
「魔法が解ける時間だったりしたのかな、シンデレラ?」
 と、言った。洒脱だが、この戦場においては明らかに異質に過ぎる軽口。
「ただ、艦に近づいてくるとなったら組織の狗としてはお仕事をしないといけなくてサ。ゴメンね♪」
 洒落た仕草に、骸は暫し言葉を飲み込んでいた。戸惑いか、あるいは――沈思していたのか。しかし、すぐに頷きを返し、大仰な仕草でおどけては肩を震わせて笑って見せた。表情はなくとも、道化服のお陰かそう思わせるだけかもしれないが。
「…………そうですな。異邦の方である貴方がたはご存知なくとも無理はない」
 兎角、骸は改めて礼をする。優美さと滑稽さを滲ませて、片手を挙げ、片手で胸に手をやり。
「僭越ながら、名乗らせていただきます。私、《操骸道化》のクロフェド・C・クラウンと申しまして――」
 どこか空寒い言葉の中に、万感の思いを滲ませて、こう告げた。

「レチタティーヴォ様の《主筆》を担わせていただいておりました」


 朗々と、まるで謳うように告げるクロフェドの声はよく通った。
「かのお方の遺されたことですから、この私、かのお方の道化者として、即興劇に馳せ参じた次第で」
「嘘だね」
 クロフェドのそれを、ジョンは破顔一笑し断じた。
「即興劇♪ イイ響きだ。でも、ウン、それはそうかもしれないけど……それだけじゃぁ、無いよね」
「…………と、言いますと?」
「“アレ”は陽動だ」
 つと示す先、人形たちが大挙して戦艦を襲い、歪虚を襲い、ハンター達を襲う光景があった。
「十三魔のレチタティーヴォの事は一応調べたケド……ちょこっとだけ底意地が悪そうだよね、カレ。その人形が動いたのなら――なにか、意図がある」
 ジョンは例えば、と嘯き。
「この艦とか、さ。君らVOIDの中には、この艦に興味があるのもいるみたいだし? もちろん、それ以外の場合もあるけど……君は、そう思ったんじゃないかい? だから、此処に来た」
「―――――」
 今度こそ、クロフェドは沈黙した。
 不自然な程に、長く、重く。その口元が、僅かに動くが――ジョンには読みとれなかった。流石に、シャレコウベの読唇までは修めていない。

 クロフェド以外知り得ない事だが、彼は、こう呟いたのだ。
 ――私こそ、その意を知りとうございます、と。

 直後。ただ、ぞぞり、と気配が立った。地中から骸が湧きあがる。クロフェドとは異なり、衣装も何もない、素の骸骨だ。《操骸道化》が操る髑髏兵。
 だが。
「アハ♪ 解りやすくていいねっ」
 ジョンが素早く狙撃銃でその胸椎を射抜くと、髑髏はバラバラに砕け、地に落ちた。

「――此度の狂宴、貴方様がたが愉しく踊って下さるのならば、このクロフェド、本望で御座います」

 その骨を踏みにじって、クロフェドは構えた。ぱきり、ぱきり、と乾いた音が鳴り――転瞬、先ほどとは比べ物にならない音が響く。地鳴り、と言って相違ない。
 すぐに、先ほど『死した』髑髏兵の亡骸をひき潰し、破砕した骨の壁がいくつも、いくつも湧きあがりクロフェドの姿を隠した。無数の骨が絡まり合ったそれが大地から突き立つと、瞬く間にとき解れ、幾多もの髑髏兵へと転じて行く。

「《操骸道化》の名に恥じぬ、大演劇をご覧にいれます――しばし、付き合って頂きましょう」


 私の全てを以って操ってみせよう。演じてみせよう。
 この、愉快で、虚しくも哀しい、滑稽な劇を。

 ――あのお方が仕掛けた即興劇を、成し遂げてみせよう。

 それをもって、手向けとしよう。

解説

●解説
 今回の騒動を陽動と判断したジョン・スミスに従い警戒していたところ、ロッソへと接近してきていたクロフェド・C・クラウンと遭遇。戦闘に至りました。
 クロフェドの狙いは不明ですが、かつてない程の大攻勢を仕掛けてきています。


↑↑↑至紅艦↑↑↑
□□□□ハ□□□□
□□□□□□□□□  1マス=5Sq
□□□□□□□□□  ス:髑髏兵
□ススススススス□  壁:骨の壁
ススス壁壁壁ススス  ク:クロフェド
□□□□ク□□□□  ハ:ハンター+ジョン


●敵情報
”操骸道化”クロフェド・C・クラウン
 レチタティーヴォの配下を名乗るきらびやかな道化服に身を包んだ人型髑髏の歪虚。
 様相から恐らく『暴食』に連なる歪虚と思われるが、髑髏の雑魔を従えて各地を”巡業”して災厄をばら撒く。
 彼は戦場で蒐集した遺体を好んで使い、その亡骸をその場に残す悪辣さで知られている。
 過去の交戦歴から、かなりの身軽さとナイフ投擲の威力・精度を誇る事が明らかになっており、棟的による範囲攻撃も行うことが解っている。また、ナイフには麻痺や毒などのBSを持つものもあるようだ。

 髑髏兵x100~:有象無象の髑髏の兵士。格闘戦をしかけてくる囲まれると各種判定にマイナス補整が掛かる。知能はないが作戦に関する判定はクロフェドが代用することもできる。

 骨の壁x3:様々な骨から成る高さ5メートルほどの壁。髑髏兵を生み出しながら小さくなっていく。

●味方情報
ジョン・スミス:射程25の狙撃銃を持っているロッソ乗員。銃撃支援は行うがそれ以上はしない構え(出来ない)。「危ないしね。ヨロシク♪」

●その他
 戦闘自体は、ひょっとしたらハンターの皆様でしたら然程難しくないかもしれません。
 ですが、大成功判定はかなり難しいです。
 大成功条件は二つ。その両方を達成できなければ大成功にはなりません。
 とはいえ、勝つだけならばクロフェド達を撃ち倒せばOKです。

マスターより

●MSより
 お世話になっております。ムジカです。
 レチタティーヴォは大変なものを盗んでいきました……ムジカの余力です。

 死したレチタティーヴォ。彼が遺していったものが何かは、ハンターやジョンはおろかクロフェドですらも知りません。ですが、クロフェドは何かに賭けて――あるいは期待して、この場に居ます。
 敵は《操骸道化》。彼は勁い意思と共にこの戦場に居ます。
 その名に恥じぬよう、文字通り彼の使えるもの全てを使い、死力を尽くして踊るでしょう。
 生半な実力・プレイングですと、数の暴威に飲み込まれるかもしれません。ご注意を。

 皆様のプレイングを、楽しみにしております。

関連NPC


  • ジョン・スミス(kz0004
    人間(リアルブルー)|28才|男性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/02/28 19:35

参加者一覧

  • 戦地を駆ける鳥人間
    岩井崎 旭(ka0234
    人間(蒼)|20才|男性|霊闘士
  • 英雄を語り継ぐもの
    ルスティロ・イストワール(ka0252
    エルフ|20才|男性|霊闘士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • ノブレス・オブリージュ
    ジャック・J・グリーヴ(ka1305
    人間(紅)|24才|男性|闘狩人
  • 勝利の女神
    アニス・エリダヌス(ka2491
    エルフ|14才|女性|聖導士
  • 差し出されし手を掴む風翼
    クィーロ・ヴェリル(ka4122
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • ゴージャス・ゴスペル
    久我・御言(ka4137
    人間(蒼)|21才|男性|機導師
  • 無垢なる黒焔
    ソフィア・フォーサイス(ka5463
    人間(蒼)|15才|女性|舞刀士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2016/02/11 12:15:07
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/11 10:31:17
アイコン インプロブロッキング(相談卓)
アニス・エリダヌス(ka2491
エルフ|14才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/02/15 07:43:56