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  • 戦闘

【神森】「I」にすべてを2

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加人数
現在10人 / 4~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/11/17 19:00
リプレイ完成予定
2016/11/26 19:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

 ――ああ、またか。そう思った。
 浄化の器の平均寿命は十歳前後。それは、過酷な浄化術の使用が原因とも、森の神との契約のためとも言われる。
 少なくともそれはれっきとした事実で、ジエルデは命を落とす子供たちをずっと見つめてきた。
 最初は苦しくて悲しくて、涙が止まらなかった。自分の運命を、神さえも呪った。
 やがて苦痛から逃れる為に心を止めるようになり、少しだけ楽になった。
 それでも情と罪悪感を消せなかったジエルデにとって、その少女は自らの罪を写す鏡だった。
 守りたいと、救いたいと願い、それは決して叶わない。
 死ぬまで終わらない罰。繰り返される罪。それを覆したいと願ったのは、あの子の笑顔を見たから。
 自分に向けられなくても良い。自分が赦されなくても良い。
 ただ、あの子が笑っている。それだけで、世界のすべてに赦された気がした。
 真っ暗闇の中に光が指して、時間が動き出す音を確かに聞いたのだ。

「――器が森都に戻ったというのなら、取り返すまでです」
 ハンターらしい格好に着替えたジエルデは、黒い外套を纏って断言する。
「今ならまだ間に合うわ。だから……迎えに行かなくちゃ」
 冒険都市リゼリオ、帝国ユニオンAPV。妹を頼って流れてきた姉に告げられたのは、器が森に帰ったという事実。
 苦しげな様子の妹の報告に、むしろ姉は笑顔を作り、その肩をそっと叩く。
「あなた達は良く頑張ってくれたわ。ありがとう、アイリス」
「姉さん……。いくらなんでも無茶です。少数のハンターと姉さんだけで森都に向かうなんて……私も一緒に行きます!」
「あなたはもう、森都の番人ではなくハンターの一員でしょう? 私にはハンターの皆さんがついているから。あなたはここに残って、あなたにしか出来ないことをするのよ、アイリス」
 今、帝国と森都のバランスは崩れつつある。
 帝国領各地で起こる争いの火種は、誰かが消していかねばすぐにでも燃え上がり、国を呑み込んでしまうだろう。
「もし私が失敗した時は、森都をお願いね。どんな形でも構わない。必ず……戦争を止めて」
 タングラムの頬に触れ、ジエルデは優しく微笑む。
「私は長老会の一員にして、森の番人。そして器の管理者よ。私は私に出来る方法で、森都に未来を作ってみせるわ」
 タングラムは視線を伏せる。
 長老会に楯突くという事は、森都全体を敵に回すという事だ。こればかりは恭順派も維新派も関係ない。
 エルフハイムが非人道的な戦争の準備を始めている。それは既にハンターズソサエティが介入し、調査解決するだけの案件だ。
 しかし、上手く解決できなければ長老会を刺激し、その矛先はソサエティにも向けられる可能性があった。
「でも……彼らを止めるにはこれしかないのですね」
 もしもの時は、タングラムが帝国軍と協力し、森を“殲滅”する。その準備は既に開始せねばならない。
「アイリス……あなたには愚かな姉のせいで、随分と苦労をかけたわね。そして、あなたは私にそれを悟られないように遠ざけてくれた」
 ジエルデはタングラムの身体を優しく、しっかりと抱きしめる。
「ありがとう、私の優しい妹。たった一人の、大切な家族……」
 笑顔を残し、ジエルデはAPVを後にする。
「いってきます」
 迷いなく真っ直ぐに死地へと向かう姉の後ろ姿は、やがて扉の向こうに見えなくなった。

 エルフハイムの四つに別れた区画の一つ。長老たちが収める恭順派の集落、オプストハイム。
 森都と帝国の関係性が急速に悪化し始めた今、警備を掻い潜り内部に侵入する事は容易ではない。
 森の外周部で既に一戦終えた後、ジエルデは森の木々に手を触れる。
「やはり、結界林が強化されているわね。オプストハイムの守りは特に頑強だから……でも、術に干渉すれば」
 侵入者の存在を術者に伝える“結界林”。だが、ジエルデはその術に精通していた。
 森の中に張り巡らされた警戒網のルートを切り替える事で、発見されない道を作り出すことが出来た。
「ぴったりと私の足跡を辿るようについてきてください」
 エルフハイムは広い。夜の暗い森の中を、ハンターらは明かりもつけずに走り続ける。
 結界林に探知されずとも、エルフの襲撃は避けられない。故に、何度も交戦しそれらを退けながらハンターらは奥へと進んでいった。
 マテリアルの濃度はどんどん濃くなり、正の力でありながら息苦しさすら感じるようになった頃。
「この先に長老会の議会があります。既に夜半ですが、彼らはそこにいるはずです」
 長老たちの殆どは100歳を超え、濃密なマテリアルに満ちた空間から動くことも出来ない枯れ木のような存在だ。
 故に彼らは文字通り会議場に閉じこもり、そこから一歩も出ずに森の全てを決定していた。
 長老会を説得し、闘いをやめさせる。それが出来なければ、彼らを害する必要もある。
 既に選ばれた者しか入り込めぬ聖域の道。そこを進むハンターらを取り囲んだのは、掟の森と呼ばれるエルフ達であった。
「来た……来た来た! 本当に来やがった! アハハッ! アハハハハハ!」
「驚きましたね……本当に森都そのものに反逆するとは。ジエルデ・エルフハイム……あなたは愚かです」
 マルタとクヴェレがそれぞれ杖と弓を構える。そんな二人の盾となるようにイーダとテオドールが立ちはだかった。
「またハンター……。中立者を騙る狩人。何様のつもりで聖域を犯すというの?」
「てか、ここに来るまでにもう結構襲われたでしょ? もうボロボロじゃん! 本気でどうにかできると思ってたわけ? ウケる!」
 立ちはだかり包囲するのは掟の森だけではない。
 外套を纏った幽鬼のような少女達。それらは量産型と呼ばれる人型術具達である。
「またこんなに人型術具を……!」
「森を裏切ったお前には関係ない話だろ? そんな事よりさっさと殺し合おうよ! ハンターって連中には借りがあるんだ。殺したくて殺したくてウズウズするんだよ!」
 歪んだ笑みと共に杖を振るい、火球を放つマルタ。その爆炎を合図に、聖域での闘いが始まろうとしていた。

「かくして全ては予定調和の中で終わりを迎える。その努力も祈りも全て無駄だというのに、彼女はそれでも抗うだろう」
 議会の席に座った男は天を仰ぎ、静かに微笑む。
 その傍らには返り血に染まった浄化の器の姿があった。
 少女は血染めの聖機剣を振るい、血を落として目を細める。
 無数の亡骸が、神聖な卓を赤黒く染め上げている。その場の誰もが既に息絶え、生を宿すものは二人だけ。
「待っているよ、ジエルデ。戦争の引き金を引くのは……君なのだから」
 低く、小さく笑う男を横目に器は小さく息を吐いた。
「どうして……」
 こんなところまで来てしまうのか。彼女らの愚かしさに目眩がした。
 浄化の器は踵を返し、森の中に姿を消す。残された男は一人きりの王座に腰を下ろし、反逆者の到着を待ち望んでいた。

解説

●目的
エルフハイム長老会の説得。


●概要
では、森都へ向かう前にもう一度状況を説明しておきましょう。
我々は森都エルフハイム内、オプストハイム地区に潜入し、長老会を説得します。
現在、森都と帝国は互いに猜疑心を強めている状態です。
これは恐らく何者かによる工作であり、森都も帝国も、双方全面衝突を望んでいるとは思えません。
しかし、森都内に浄化の器を用いた不穏な動きがあることは事実です。
戦争を阻止する為にまずは長老会を説得し、それが不可能である場合、彼らを排除してください。
器を用いた、大規模攻性浄化術の発動を阻止しなければ、数え切れないほどの人が命を落とす事になります。
そのたった一撃がために、森都も帝国も壊れてしまうのです。
責任は私が取ります。どうか……私に長老会を打ち破る力を与えて下さい!


●???
現場に到着するまでに既に複数回の交戦を行ったものとし、
スキルの使用回数を半減、生命力の30%を低下させた状態でシナリオが開始される。
また、長老会の議会に到着した時、既に長老達は全員殺された後である。
長老会が既に全滅していることは、PL情報であるとする。


●敵戦力
『マルタ』
掟の森。高位の魔術師。激しく人間を憎む少女。
ファイアーボール、カウンターマジック、エクステンドキャスト。

『クヴェレ』
掟の森。高位の猟撃士。冷静な弓使いの男。
妨害射撃、ハウンドバレット、制圧射撃。

『テオドール』
掟の森。高位の疾影士。チャラい短剣使いの青年。
広角投射、ベノムエッジ、アクセルオーバー。

『イーダ』
掟の森。高位の霊闘士。落ち着いた手斧使いの女。
自己治癒、リジェネレーション、ワイルドラッシュ。

『量産型浄化の器』
人型の術具。命を使い切り爆発的な力を得た道具。6体出現。
全員が剣型の浄化の楔を用いて戦う。


●友軍情報
『ジエルデ』
森都の長老。高位の聖導士。近接戦も出来る。
フルリカバリー、セイクリッドフラッシュ、ホーリーヴェール。

マスターより

お世話になっております、神宮寺です。

というわけで、森都戦です。
目的は長老達の説得か排除ですが、実は現場にたどり着く頃には全員死んでいます。
それにPCの皆さんは気づいていないのですが、その場面に鉢合わせる事も加味して行動してください。
多分おわかりと思いますが、解説に乗っていないキャラクターも登場する可能性があります。
なお、質問にはタングラムがお答えいたします。

それではよろしくお願い致します。

関連NPC

  • 帝国ユニオンリーダー
    タングラム(kz0016
    エルフ|15才|女性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/11/23 15:49

参加者一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 龍奏の蒼姫
    ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239
    エルフ|15才|女性|闘狩人
  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 癒しへの導き手
    シュネー・シュヴァルツ(ka0352
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 破れず破り
    春日 啓一(ka1621
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 愛にすべてを
    エイル・メヌエット(ka2807
    人間(紅)|23才|女性|聖導士
  • 大いなる導き
    ジェールトヴァ(ka3098
    エルフ|70才|男性|聖導士
  • 幸福な日々を願う
    フローラ・ソーウェル(ka3590
    人間(紅)|20才|女性|聖導士
  • 丘精霊の配偶者
    北谷王子 朝騎(ka5818
    人間(蒼)|16才|女性|符術師

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/11/14 02:27:57
アイコン 質問所
ヒース・R・ウォーカー(ka0145
人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/11/16 15:13:58
アイコン 作戦相談所
ヒース・R・ウォーカー(ka0145
人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/11/17 18:36:25