※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
―― 彼女の横にあるもの ――

「今日はいい天気~……」
 公園のベンチに腰掛け、まよいはポカポカ陽気を浴びてご機嫌だった。
「あんたもそう思うでしょ?」
 そう言いながら、まよいは自分の隣に置いてある人形に話しかける。
 それは買ってから結構時間が経ち、経年劣化はしているものの、大切に扱われている人形。
「私が1つの人形を壊さずに、こんなに長く持っているなんて本当に初めてでびっくりだわ」
 誰もいない公園に、まよいの自嘲気味な声が響く。
(でも、私はこの子と出会えて良かった……)
 あの時、あの店に立ち寄らなければ、彼の話を聞かなければ、きっと今でもまよいは『作り手の心』に気づかないまま、人形を大切にすることも考えず、例え人形を手にしたとしても、以前のように乱暴に扱い、壊れてしまえばそのまま捨てていただろう。
「あ、服がほつれてる」
 こうやって外に連れ出すことは珍しくないため、服などの劣化が激しくなってしまう。
(帰りにあの店に寄って、新しい服を買ってあげようかな? ついでってわけじゃないけど、この子のメンテナンスもお願いしておこう)
 ハンターという職業についていることもあり、メンテナンスに出せない時は結構な期間が空いてしまう。
 だから、まよいは連れて行ける時は例え前回のメンテナンスから大して経っていなくても連れて行くようにしているのだ。
「さて、そろそろ行こうかな」
 大きく伸びをした後、まよいは人形を大事に抱えて歩き出す。
 自分自身に大切なことを教えてくれた、あの店へ行くために――…。
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
夢路 まよい(ka1328)
副発注者(最大10名)
クリエイター:水貴透子
商品:おまけノベル

納品日:2016/10/07 17:22