※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
辺境騒乱の先へ

 皿に盛られたチョコレート。
 桜憐りるか(ka3748)は自ら作ったチョコレートを口の中へと運ぶ。
 甘く、仄かに苦い香りが口の中へと広がる。
「……お仕事、大変ですか?」
「はい。あまり良い状況ではありません」
 紅茶を注ぎながらヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は、りるかに教えてくれた。
 大首長は補佐役のヴェルナー排除に動き出している。ヴェルナーには代理を任せられないと判断したのだろう。
 そもそも、何故戦士達は反乱を起こしたのか。
 それは部族会議が新政府として導入する様々なルールが、部族としての生き方を否定していたからだ。帝国や王国に並ぶ事は、辺境の近代化に他ならない。それは部族として生まれた戦士達の生き様や祖先を過去の物とする。
 戦う事は誉れ。部族の民から尊敬されていた戦士は、部族会議によって立場を追われてその日の食事にも困る有様。ヴェルナーは特別自治区の建設を進めていたのだが、戦士達が先に反旗を翻してしまったのだ。
「大首長はそれでも彼らを説得できると思っていたようですが……」
 ヴェルナーは言葉を濁す。
 りるかも大首長の考えが甘い事は分かっていた。戦士達も辺境の地に平穏が訪れる事を拒否するつもりはない。それでも反旗を翻した理由は、本当に部族会議を潰す事なのか。
 否。りるかは東方でも似た話を聞いた事がある。
 侍は時として名誉を重んじる。その戦いで死ぬ事が将来に良き結果をもたらすのなら、彼らは討ち死にも厭わない。反旗を翻した戦士達も、同じではないのか。
「ヴェルナーさんは、彼らを……戦士として……終わらせた、のですね」
「…………」
 りるかの言葉にヴェルナーは否定も肯定もしなかった。
 りるかには分かる。戦士達は、戦士として死ぬ事を選んだのだ。戦士達の意を汲んで、ヴェルナーは討伐に動いた。残念なのは、それが若き大首長には伝わらないのだ。
「ヴェルナーさんは、悪くない、です。戦士達の、要望だと伝える、べきでは……ないでしょうか?」
「りるかさん。理由はどうあれ、私は大首長の許可を得ずに軍を動かして反乱を鎮圧しました。それは、これから新政府の世では許されない事です。このような例外は許されては、今後に差し支えます」
「ですが……」
「紅茶が冷めてしまいますよ、りるかさん」
 ヴェルナーの身を案じるりるかの手の中で、ティーカップは既に冷たくなり始めていた。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
近藤豊です。
発注リクエストありがとうございます。
あまり需要がない事に加えてマスターとしての業務が比較的多忙な為、打診を受ければ窓開けさせていただく状況となっております。ご迷惑して大変恐縮ですが、また発注の機会がございましたら、宜しくお願い致します。
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
桜憐りるか(ka3748)
副発注者(最大10名)
クリエイター:近藤豊
商品:おまけノベル

納品日:2020/02/18 14:17