※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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銀真白はモナカになりたい
モナカアイスを見ると思い出すのだ――。
(なぜ、モナカアイスはこんなにもしっかりと割れているのに)
銀 真白 (ka4128)は己の腹をみる。つるんぺたんすとん、少女らしい滑らかなお腹であるが。真白は腹立だしかった。真白の理想は、逞しく割れた腹筋。そう、モナカアイスのように。
アイスのくせに。そう思う己と、いやアイスに嫉妬するのはおかしい、と冷静な自分と、いいから鍛錬だ! と叫ぶ武人の自分。武人の自分に、脳内会議は満場一致で賛成した。
「……百四十四、百四十五、百四十六……」
黙々。真白は熱心に腹筋をしていた。目標は、腹筋が痛くなって動けなくなるまでだ。
少女で、筋肉のつきにくい体。男のように力を出せない体。真白はそれを悔しく思っていた。同時に、真白はとんでもない負けず嫌いだった。
(筋肉が付き難い? 女は筋力で男には勝てない? ……言い訳に過ぎん)
そうだ、負けたときの保険に他ならぬではないか。そんなものは、恥だ。そんな言い訳は鍛錬を怠るための口実にはならない。
「……ろ っぴゃくばちじゅういち ろっぴゃくはちじゅうに ろっ……ぴゃ くはちじゅ さん……」
黙々、黙々。真白は腹筋を続ける。腹筋は激痛と共に悲鳴を上げている。だが五百を過ぎた頃から、「五百回できたのだから千回までいける」と心の中で思ってしまったのだ。そして一度思ってしまったものだから、曲げることもできないでいた。大量の汗が浮かんで伝い、顎先から滴り落ちる。
「……負けるか……負けるものか……」
八百を超えた辺りから、もはや声は数ではなく己への鼓舞になっていた。あと二百回程度ではないか。十を二十回と考えたら一瞬だ、余裕ではないか。そう自己暗示しながらも真白は修羅の顔で腹筋をし続ける。
「……千ッ!!」
そしてついに、真白はやり遂げたのだ。床に大の字になる。ぜえはあ。腹筋が痛すぎて動けない。
だが、しかし。真白は思い出していた。兄の言葉だ。
腹筋と同じ数だけ背筋をやりなさい。腹筋と背筋は表裏一体、バランスが大事。どちらか片方しか鍛えないのは愚かである。
「よし、次は……背筋を千回ッ……!」
モナカ一つでこんなことになるなんて、モナカ製造者ですら考えてもいるまい。
『了』
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銀 真白 (ka4128)/女/16歳/闘狩人