※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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灯籠アパートの1111号室のフランケンシュタイン
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まあ、この世界を知らないのも無理はないわよね。
それに、望んだからって必ず過去の仲間と会えるわけじゃないんですって。
でも……不思議ね。運命ってあるのかもしれないわ。ふふ、私らしくない?
きっと、あなたも信じるわよ。だって、私が信じたんだから。
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「ふぅ。冷えているけど、一週間ぶりの娑婆の空気はやっぱり美味しいわね」
私はジャンパーの襟を立てながら、クリスマスのイルミネーションで彩られた街中を歩いていた。
「……やだ。私、言い方間違えたかしら。あの子の前で口にしないでよかったわ。“お勤めご苦労さん”とか揶揄しかねないもの」
自分の顔に薄い苦笑がのぼるのを感じる。その時、私の意識と手許を揺らしたのは――
「――ああ、ごめんなさい。お腹空いたわよね」
指先に提げた、ブリキの金魚鉢。
前後面はガラスで出来た古い金魚鉢なんだけど、ビンテージな感じと手提げ仕様なところが気に入ったのよね。
「さっと買い出ししたら、すぐにアパートへ戻るわ。もう少し待って頂戴」
私は金魚鉢の中で悠々と泳ぐ“マンボウ”に声を掛けた。
……うん。言いたいことはわかるわ。だから、ちょっと説明させて。わかってるわよ、傍から見たらヤバい女に見えるってことくらい。ああ、でも……この世界に“普通の人”ってそうはいないのよね。
まあ、いいわ。そんなこと。
今の私はこの世界の……灯籠アパートの住人なんだから。
ええと、そうね。先ずはこのミニマンボウ――別名、たい焼きくんの説明からしようかしら。……言っておくけど、私じゃないわよ。何処かの吸血姫と猫娘がそう呼んでるだけだからね。……。――で、このミニマンボウ。見ての通り、今は金魚鉢の中で泳げるサイズよね。でも、特殊な薬を食べさせて海へ放つと、潜水艦になるのよ。大きさは……そうね。三人程度の大人だったら、のびのび過ごせるかしら。
船内も結構すごいのよ。最新のモニターが付いている操縦室に、図書館や食料庫。シャワールームにトイレは勿論、武器庫や研究スペースもあるわ。中でも、図書館の蓄音機がいい音出すのよねー。客間にある座り心地抜群の雲椅子もオススメだけど……時々、動きが蜘蛛なのよ。
それにしても……この潜水艦もアパートの自室並みに居心地いいんだけどねぇ。残念ながら、一週間以上の潜水は無理なのよ。この子も私と同様“生きて”いるから、定期的に羽を伸ばさせてあげないとね。
――ああ、そう言えば。春には病室兼“メンテナンス室”が出来るのよね。まあ、あって困るものでもないし。これで“私”のメンテナンスの時期と重なっても安心して潜れるわ。勿論、医者の“彼”を連れてね。
「あら?」
rrrrr……
「噂をすれば、かしら」
私はスマホの画面に映し出された名前を確認した後、スライドをして応答した。
「私よ。どうしたの? “死神”」
『どうしたじゃねーよ。つーか、その呼び方ヤメロ』
「ふふ、ごめんなさい」
『今日だろ、陸に上がったの。メンテ忘れてねぇよな?』
「勿論、覚えてるわよ。その為に日付の調整したんだから」
『なら安心したわ。そういや、左腕の具合はどうよ』
「今のところ調子はいいわよ。前回のメンテナンスのおかげで、感覚も随分生身と近くなったし。まあ、左腕は丸ごと機械化してるから、贅沢は言わないわよ。失ったものは戻らないんだし」
『ったく、つまんねぇこと言ってんじゃねーよ。それも含めてまるっと診てやっから、昼飯食ったら来い。なんだったら一緒に食うか?』
「あら、素敵なお誘いだけど、そっちへ行く前に少し寄りたいところがあるのよ」
『あいよ。じゃあ、14時だかんな』
「roger」
――さて、と。じゃあ、手早く買い物済ませちゃいましょ。そうね、偶には死神に手土産でも持って行きましょうか。
……。
……ふふ。いいわね、こういう世界も。
そう、何事も私次第。向き合うのが何であろうと、“前の世界”と同じように関わってやるわ。
――あ、そうそう。忘れない内に、煙草、カートンで買い占めておかないとね。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka4206 / ロベリア・李 / 女性 / 外見年齢:38歳 / 片結びのフランケンシュタイン】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ライターの愁水です。
おまかせノベル、サブタイトル「マンボウと私」をお届け致します。
ロベリア姐さんは機械をいじっているイメージがありましたので、どんな乗り物系がいいか……と暫く悩み、運命のダイス登場。陸海空、どれにするか決定してもらいました。因みに、マンボウは当方の趣味です。
又、機械=フランケンシュタイン、という印象があった為、モンスターはフランケンシュタインにさせて頂きました。そして自然と、医者の死神とマッチング……。
此度は貴いご縁とご依頼、誠にありがとうございました!