【幻魂】

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上出来だ……お嬢ちゃん。
俺の肉体は消えるが……俺達は、ずっと共にある。お嬢ちゃんには仲間も……
なあ、お前達。俺のファリフを頼んだぜ……

フェンリル

更新情報(5月9日)

フェンリルの死を乗り越え、霊闘士の奥義の一時解放、大幻獣トリシュヴァーナの参戦――
そしてハンター達の活躍により、歪虚の大軍勢から幻獣の森を守り切ることができました。
災厄の十三魔がひとりハイルタイは青木燕太郎に吸収され消滅、その青木は再び行方をくらました模様です。

防衛戦の終戦に伴い、こちらの特設ページではエピローグを更新しました。

受け継がれた彼の魂は、共にそこにあるが如く。
再び、戦士を導いていく。
 
 

【幻魂】



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【幻魂】ストーリーノベル(5月9日公開)

「……あ」
 大幻獣『シャレーヌ』は、エンシンケ洞穴の最深部で声を上げた。
 あの子の新たな力を覚醒。
 そして――旧知の友の別離。
「そっか。フェンリルは、逝っちゃったか」
 普段は見せない寂しそうな顔。
 総じて幻獣、それも大幻獣となれば長生きなものが多い。長い時間を共にすれば中には親密な関係や腐れ縁が生じてもおかしくない。
「……そっか」
 自分を納得させるように、シャレーヌはもう一度呟いた。
 きっとフェンリルは、あの娘の中にいる。
 ずっと、あの娘の中で生きていく。
 だが、同時に変わってしまう事もある。
 もう、フェンリルと直接会話する事ができない。
 もう、あの白い毛並みを見ることも自慢される事もない。
 シャレーヌは、そうした別れを何度も体験してきた。

 ――出会いと別れ。
 それが多くの者を、強くも弱くもする。
「……逝っちゃったか」
 シャレーヌは、もう一度呟いた。


 ――幻獣の森。
 歪虚の侵攻は、決して侮って良いものではなかった。
 大幻獣ナーランギが張った結界に、綻びが生じた場所もあった。
 しかし、再び幻獣と人間が手を取り合って抗った事で最悪の事態は回避。災厄の十三魔ハイルタイが倒れた事で、歪虚達は撤退していった。
「では、お前達も奥義を使ったというのか」
「そ。狼になってルプナートルの首元に噛みついてやったよ」
 ラミア・マクトゥーム(ka1720)の自慢げな態度に、大幻獣ナーランギは驚いた。
 幻獣の森でファリフ・スコール(kz0009)が奥義を修得した事は感じ取っていた。
 だが、魂の道でファリフと共に試練を乗り越えたハンター達の中に、奥義を使えた者がいた事までは気付かなかった。
「そうか。その奥義は祖霊の欠片による一時的なものだろう。そのまま精進すれば、きっと奥義を完全に修得できるはずだ。
 だが……気を付ける事だ。
 その奥義は、大量のマテリアルを放出する。下手をすれば――命を失う事になる」
「だろうね。奥義を発動した後、体が異常に疲れたもの」
 ナーランギの注意に、ラミアは大きく頷いた。
 狼に変身するという初体験をしたラミアだったが、その代償は身を持って味わう事になった。
 大幅な体力の減少。
 体に残る激しい疲労。
 少なくとも、安易に使って良い技ではない。
 そう感じさせるには充分過ぎる奥義だ。
「ところで、敵はこれで諦めてくれるのでしょうか」
 火蜥蜴の猛威と戦っていた米本 剛(ka0320)は、幻獣の森に迫っていた歪虚を懸念していた。
 今回受けた襲撃は、初めてではない。
 歪虚は幻獣の持つ大量のマテリアルを狙って迫ってきた。それも青木燕太郎(kz0166)という名の歪虚に組織され、三度も襲撃してきたのだ。
 幻獣と人間は手を取り合って歪虚の襲撃を退けてきた。しかし、今回は撃退できたとしても次回も守り切れるとは限らない。
「どうだろうな。我にも分からぬ。ただ、あのハイルタイという歪虚は倒されたのであろう。ならば、短期間で襲われる可能性は低いのではないか?」
 今回の襲撃で、ハンター達はハイルタイの撃破に成功していた。
 その裏で青木燕太郎の暗躍があったのだが、少なくともハイルタイが人類の前に現れる事はない。強力な歪虚の一角を落とした事は、人類にとって大きな功績だ。
「そ、そうですよ……。今は歪虚から受けた傷を、癒す時です」
 荒れた地の耕作を考えていたミオレスカ(ka3496)は、早くも幻獣の森と周辺地域の復興を考えていた。
 これだけ広大な地域なのだから、耕作地を作ればみんながお腹いっぱいになれるに違いない!
 この意見にオウガ(ka2124)も、思わず頷いた。
「へぇ?、いいじゃねぇか。腹一杯になれるなら大歓迎だ。
 そうだよな、ファリフ……って、あれ? ファリフは何処へ行った?」

「ふん。まさかここまで上手くいくとは……」
 青木燕太郎は幻獣の森から離脱しながら、今回の『釣果』を振り返った。
 災厄の十三魔ハイルタイを焚きつけて幻獣の森へぶつける。
 そのまま幻獣の森が潰れても良し。
 もし、ハイルタイがハンターに敗れるのなら、負のマテリアルを青木が吸収して使い捨てればいい。
 いずれに転んでも青木にとって悪い話じゃない。
「しかし、こちらの意図に気付いていた人間もいたようだな」
 青木の狙いを察知したハンターも居た。
 残念ながらハイルタイを倒して青木が吸収する事を阻止はできなかった。だが、青木は人間??ハンターに対する認識を改めたようだ。
「あの人間達が行く手を阻むというのであれば……」
 青木は、来た道を振り返った。
 視線の遙か先にある幻獣の森を、一瞥するかのように。
(叩き潰すだけだ。新たに手に入れたこの力で)
 青木は、ゆっくりと踵を返す。
 そして、今一度闇の中へと消えていく。
 闇へ溶け込んでいく一体の歪虚は――何処へ向かうのだろうか。

ラミア・マクトゥーム


ファリフ・スコール


米本 剛


ミオレスカ


オウガ


青木燕太郎


「やりましたよ、族長! ハイルタイをやっつけましたよ」
「……そうだな」
 興奮するイェルズ・オイマト(ka0143)に対して、バタルトゥ・オイマト(ka0023)は静かに答える。
 いつもと変わらぬ様子にイェルズは、不満げな顔を浮かべる。
「族長ぉ?。我がスコール族の悲願をようやく達成したんですよ?
 もっと嬉しそうな顔をしましょうよ!」
「……? 喜んでいるのだが?」
 どうやらバタルトゥにとっては喜んでいるつもりのようだが、端から見ればいつもの仏頂面のままだ。
「バタルトゥ、もう少し気持ちを素直に出した方が良いんじゃないか?」
 アルファス(ka3312)は、ため息をつきながらバタルトゥの肩に手を置いた。
 知り合って幾分か時間は流れているが、バタルトゥの態度はいつも変わらない。だからこそ、傍目から見ても心配になる。
「そうだよ。バタルトゥちゃんは、もーっと自分を出した方がいいって」
 エリス・ブーリャ(ka3419)もバタルトゥの腕に抱きつくように顔を出した。
 エリスのような自由奔放なタイプは、バタルトゥと正反対のタイプだ。エリスからすればもっと肩の力を抜いて、感情を表に出した方がストレスを溜め込まずに済む。
 ハンター達の意見にバタルトゥは、悩む素振りを見せる。
「……アルファス。もっと……楽にした方が良いのか?」
「そうだな。こういう時ぐらいは、笑った方がいいんじゃないか」
「……そうか」
 そう呟くバタルトゥだったが、その顔に笑顔は浮かんではいない。
 かつてオイマト族の名を地に貶めた大罪人――ハイルタイは倒された。
 あの『ベスタハの悲劇』を引き起こした裏切り者を、オイマト族とハンター達が倒した。過去の鎖は完全に断ち切られ、幻影に囚われる事もないのだが――。
「でも、無理に笑わなくても良いと思いますよ。
 笑顔って、無理して作っても寂しいものですから」
 話を聞いていた十色 エニア(ka0370)が、少し離れた所から優しく微笑みかける。
 まるで、心の底から自然と生まれた笑顔。
 無理矢理作った笑顔は、何処かに歪みが生じる。
 エニアは、その笑顔を『寂しい』と表現したのだ。
「……寂しい笑顔か。なるほど……覚えておこう」
 時折、バタルトゥも笑顔を見せる事はある。
 しかし心から自然に溢れ出た笑顔ではない。
 愛想笑いだった事もあれば、何処か影が差し込んだ笑顔だった時もある。
 それは本当の意味での笑顔と言えるのだろうか。
 怨敵であったハイルタイは、倒れた。
 それでも生まれなかったバタルトゥの本当の笑顔。
 部族会議の首長という大役を担うバタルトゥが、心から笑える日が訪れれば良いのだが……。
「あ、族長」
 そこへ空気を読まないイェルズ。
 ハンター達の視線が突き刺さる中、唐突に質問を投げかける。
「そういえば、ファリフさんは何処へ行ったんですかね?」



イェルズ・オイマト


バタルトゥ・オイマト


アルファス


エリス・ブーリャ


十色 エニア

 ファリフは、幻獣の森の外れに居た。
 戦いの最中、アクベンスによって倒されたフェンリルの亡骸が埋葬された場所だ。
「……フェンリル」
 名を口にしても、フェンリルは答えてくれない。
 フェンリルの魂は、間違いなくファリフの中に眠っている。
 だが、常にファリフの傍らに付き従っていたフェンリルは――もういない。優しく包み込むような温もりも、自信に満ちあふれたあの言葉も聞く事はできない。
「ここで悲しみにくれてちゃダメなのは分かってる。前に進まなきゃダメだって……。
 でも、今だけは今だけは……ここで足を止めちゃダメかな?」
 悲しみに溢れるファリフの顔を、夕陽が照らし出す。
 『赤き大地』と称された地は、朱に染め上げられていく。
 同時に、ファリフの頬を濡らした涙も、温かみと共に夕陽を反射させる。
「フェンリル、ボクは……」
(……何を悲しむ事がある)
 ふいに、ファリフの脳裏に言葉が響き渡る。
 あの、何度も聞いた――懐かしいあの声。
「フェンリル!」
(お嬢ちゃんに悲しい顔は似合わない。お嬢ちゃんを悲しませるとは、俺も罪作りな男だ)
「フェンリル、ボクの声が聞こえるの!? お願い、返事をして!」
 涙を拭い、必死に叫ぶファリフ。
 だが、フェンリルからの返事はない。おそらく一方的に話し掛けているのだろう。
(俺は死んだ。だがな、お嬢ちゃん。お嬢ちゃんの傍らに、俺は常に居る。
 いや、俺だけじゃない。あの蛇の戦士も一緒にお嬢ちゃんを見守っている)
「シバさんも……」
 倒れた戦士達の肉体は、大地へと還っていく。
 それはマテリアルが世界を巡るのと同じだ。
 しかし、戦士達の魂は――抱えた想いは常に今を生きる者と共にある。
(迷うな。進め。俺の自慢のお嬢ちゃん……いや、最愛のレディ)
 その言葉を最後に、フェンリルの声は聞こえなくなった。
 もしかすると奥義を使った際、フェンリルの魂に触れた事で意志疎通ができたのかもしれない。
 ――たった数秒。
 その僅かな時間に、あの求めていた声が聞けた。
 ファリフは、それが何よりも嬉しかった。
「……ここにいたのか」
 いつの間にかファリフの背後に、大幻獣トリシュヴァーナが立っていた。
 その場所がフェンリルの眠る場所である事を、トリシュヴァーナも理解していた。しかし、トリシュヴァーナも誓いがある。
 歪虚を撃ち倒すその日まで、トリシュヴァーナは走り続ける。
 その背に、ファリフを乗せて。
「ファリフ、聞けば北の地で敵が暴れているそうだな。
 ならば、我等も行かねばならん」
 敢えてトリシュヴァーナは、ファリフに慰めの言葉をかけない。
 戦士である以上、慰めは不要だからだ。
 そして、それはファリフも熟知している。
「……そうだね。みんながボク達を待っているんだ。
 星の友と一緒に、北の人達を助けなきゃ。
 行こう、トリシュヴァーナ!」
 そう叫んだ後、ファリフは後ろへ振り返る。
 視線の先には――フェンリルの亡骸が眠る場所。
「それに……一緒に行こう、フェンリル」

(執筆:近藤豊
(文責:フロンティアワークス)

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関連NPC

ファリフ・スコール(kz0009
スコール族の若き族長にして、赤い狼を祖霊とするベルセルク。
天真爛漫な性格で、族長としては未熟な部分もあるが、過去の伝統や習慣を遵守する真面目な一面も持つ。いち霊闘士としての実力は、決して部族の中でも見劣りしない。
最近では幾つかの失敗を乗り越えて経験を詰み、首長としての自覚や実力を少しずつ芽生えさせつつある。
  • スコール族長
イラスト:わたりとおる
ハイルタイ
辺境周辺を根城する怠惰麾下の歪虚。
巨大な馬型歪虚に騎乗する姿を目撃されるが、その姿を目撃される事は少ない。怠惰らしく必要時以外はまったく動こうとしない事がその理由と噂されている。
左腕のみが異常に発達しており、その腕から放たれる矢は恐るべき破壊力を秘めている。ハイルタイが本気になればハンターにとって脅威となるだろう。
  • 災厄の十三魔 / 墜ちた野心家
イラスト:大吟醸
青木燕太郎(kz0166
怠惰眷属。黒に統一したコートと手袋に身を包み、切れ長な冷たい目が死神を彷彿とさせる魔人型の歪虚。
他の歪虚がマテリアルを狙う中、人間達の妨害活動や拠点の破壊活動の方に注力。
掲げた目標は何があっても成功させる事を信条にしており、その為には卑劣な手段を執ることも厭わない。
  • 怠惰歪虚
イラスト:
 
 

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