【魔装】強さの果てに 第3話

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
6~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/03/19 09:00
完成日
2017/03/20 12:04

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

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オープニング

●領主の館
 レタニケの街の中心部に建つ領主の館は小さい砦のようでもある。
 王国北部は古くから亜人に悩まされてきていた。歴史的な名残だったはずは、亜人の襲撃という悪夢となった。
「亜人達の根城が分かりました。今は使われていない見張り台のようです」
 領主代理となったライルは疲れた様子で鳴月 牡丹(kz0180)に説明する。
 見張り台は、レタニケ領北部の境に作られたものだ。破棄された理由は森の奥深くにありすぎる為、維持するのが困難という理由らしい。
「攻め込むのかな?」
「勿論です!」
 意気込むライルは疲労をおして勢いがあった。
 事態を長引かせるとメンツに関わるだけではなく、近隣からの貴族に付け込まれる可能性がある。
 実際、隣のフレッサ領からは毎日のように援軍を派遣する用意が整っていると使者が来るのだ。
「相手の戦力が分からないけど、強気だね」
「確かに、相手は優秀な武具を持った亜人です。しかし、先の二回の戦いは快勝したじゃないですか」
「ライル君も強いしね」
 牡丹の何気ない言葉に、彼は嬉しそうな表情を浮かべる。
 褒められた……と思っているようだ。
「僕はもっと、もっと強くなります!」
「まぁ、体調の管理もできないとね」
「ど、努力します……」
 ライルの疲労は大きいようだ。
 領主代理としての仕事も多い為か、しっかりと休めていないのだろうか。
「それじゃ、次の戦いも“観戦”させて貰うからね」
「はい! 是非とも見てください!」
 万が一があれば、どさくさに紛れて亜人を吹っ飛ばしてしまおうなどと考える牡丹だった。

●レタニケの街
「…………」
 古都アークエルスからレタニケの街に戻った紡伎 希(kz0174)は、宿で待っていた以外な人物と会っていた。
 その人物は白髪に白髭の爺だった。
「オキナから会いに来るなんて珍しいですね」
「……なぜ、戻ってきたのじゃ。傲慢――アイテルカイト――は、裏切り者を決して許さん」
 厳しい口調のオキナに希は凛として返す。
「決着をつける為に戻って来ました」
「覚悟だけは一人前になってからに。だから、まだまだヒヨっ子なのじゃ」
 大きいため息を吐き出しながらオキナはコップに注いだ水を一気に呷る。
「あの人の居場所はどこですか?」
「悪い事は言わん。この街から立ち去れ」
「その口ぶりからみると、この街に居るのですね」
 相変わらず、勘の鋭い娘だとオキナは心の中で苦笑した。
「……あの方は、もう気がついておるぞ」
「え?」
 希の存在に気がついているとオキナは繰り返した。
 だが、当の希にはその自覚はない。少しばかり逡巡するが、思い当たる節は無いようだ。
「いつの間に……」
「忠告はしたぞい」
 よっこらせと立ち上がるオキナ。
 その動きを目で追いながら、部屋から出ていこうとしたオキナに希は声を掛けた。
「一つ、聞いてもいいですか?」
「なんじゃ?」
「亜人が持っていた属性武器の事です。オキナなら心当たりがあるかと思って」
 その質問にオキナはニカっと笑った。
「なんじゃ、そんな事かの。それはな、ノゾミ嬢ちゃんも、ちょっとは関わっていた事じゃぞ」
 その答えに目をパチクリさせる希。
 オキナは笑い声をあげながら、部屋から出て行った。

●見張り台
 レタニケ領北部の森林地帯の中に、その見張り台はあった。
 小高い丘に作られた石造りの簡素な見張り台には亜人がひしめいている。
「話ガ違ウ。人間、強イ。“コレ”ガアッテモ勝テナイ」
「ソウダソウダ」
 亜人共が何やら集まって騒いでいた。
 群れの中心に居るのは数体の亜人。“コレ”らをしっかりと握り締めている。
「一回目ヲ思イ出セ。人間カラ攻メテキタ時ハ勝テタ」
「ナラ、人間、攻メテクルマデ待ツ」
「待トウ。食ベ物ハアル。奴隷モ増エタ」
 ギャギャー騒ぎ立てる亜人達。
 隅にはしょぼんとしている亜人も居る。この亜人達は別のテリトリーから人間に追われてきた負け犬なのだ。
 食料も無く、手にしているのは粗末な武器や防具。“コレ”らを持つ亜人達に敵うはずもなく、傘下に入った。
「マタ、人間襲エバ、食べ物手ニ入ル。人間カラ奪ウ選択ガ正シイ」
「ソウダソウダ。ソノ為ニ“コレ”ヲ手ニ入レタ。俺達サイキョウ」
 亜人達は“コレ”らを一斉に掲げる。
 茨の力を手に入れた同胞の噂を彼らは聞いていた。人間に一泡吹かせたとも。
 だから、自分達も力を手に入れたら出来るはずだと信じているのだ。

リプレイ本文

●疑惑
 そろそろ夜明けが近付いてきた。薄明るくなってきた森の中で数人が息を潜めている。
 ライルはハンター達の作戦を承諾した。今は兵士達と共に夜明けを待っていたのだ。
 そんな中、ルイトガルト・レーデル(ka6356)はミュオ(ka1308)の装備の変化に気がついて、小さな声で尋ねる。
「装備を新調したのか?」
「はい。注文していたのがようやく揃ったのです」
 実践が楽しみだと言わんばかりの微笑を浮かべるミュオ。
 武具の性能は戦場での運命を左右する。優良な装備を揃えたのなら、心躍るのも当然。
「装備といえば、ライルさんの鎧って、凄く立派ですよね」
 ミュオの言葉に一同がライルの鎧に視線を向ける。
 隠密行動なので、ハンターからの助言に従い、今は、地味なサーコートを羽織っていた。
「目立ちますよね」
 乾いた笑いを浮かべるライル。
 その後ろでライラ = リューンベリ(ka5507)が気まずそうに顔の向きを逸らす。
 ライラは作戦前に鎧の手入れを提案していた。
 可動部の調整や表面の磨き、装飾品の手入れなど、行う事は多いのだが、ある事情があって全く“それら”は出来なかった。
(……負のマテリアルの鎧だなんて……)
 触れる事で分かったのだ。
 異質なマテリアルは、なんてことはない、負のマテリアルだったのだ。
 試しに傷つけてみたものの、反応は無かったが――その正体をライラは計り兼ねる。負のマテリアルであれば歪虚や雑魔の類なのだが……。反応が無いのは何故なのかと。
 考え込んでしまったライラには気がつかず、イレーヌ(ka1372)も興味深そうに訊く。
「全身鎧だが、見た目よりも可動域はありそうなのか?」
「そうなのです。もっとも、その見張り台には上がれませんけど」
「そりゃそうだ」
 ライルの言葉にイレーヌは見張り台を見上げた。
 覚醒者でもなければ上がるのは容易ではないだろう。しかも、全身鎧を装着しては無理だ。
「オーダーメイドでしょうか?」
 体に合わせた鎧でなければ、可動域の調整は難しいだろう。ミュオの質問にライルは一瞬、間を開けた。
「えと……僕の家に伝わる鎧です」
 その言葉に、同行していた兵士達がお互いの顔を見合わした。
(どういう事だ?)
 兵士達はまるで初耳だというような雰囲気だとルイトガルトは感じたからだ。
 代々、伝わる鎧なら、それなりに街の人間なら知っていてもおかしくはないだろうに。
「そろそろ、時間ですわ」
 確認する事は多いが、今は亜人退治である。夜明けのタイミングが来たのでライラは声を掛けた。
 ライルは頷くと、ハンター達を見渡す。
「では、作戦開始です。よろしくお願いします!」

●奇襲
 見張り台の西側へライルとハンター達が強襲を仕掛けた。
 本気ではなく、囮である。見張り台の注意を西側に向けさせている間に東側に回っていたソフィア =リリィホルム(ka2383)とシェラリンデ(ka3332)の二人が奇襲を仕掛けるのだ。
(焦りと油断は禁物ですよ)
 西側で囮役を行っているライルに向かってソフィアは心の中で呼び掛けた。
 作戦では東側からの奇襲が成功したら、ライル達は正面に回る事になっている。敵も必死だから油断は出来ないだろう。
「ソフィア殿、これを使って」
 疾影士としての能力を使って、塀を登りきったシェラリンデが、古ぼけた棒の先を塀の下に向けた。
 ロープでも持って来ていれば良かったのだが……どういう訳か棒が転がっていたで、それを使ったのだ。
「亜人は意識を西側に向けているみたい」
「ありがとう。狙い通りみたいでっ」
 マテリアルを足裏から噴出させながら垂直にジャンプして、棒に掴むソフィア。
 シェラリンデはグッと棒を引き上げ――音を立てない為に、ソフィアの細い身体を抱き受け止めた。
「敵が奇襲に気が付くまで出来るだけ、数を減らそう」
 その提案に頷くソフィアだったが、塀の上から見張り台の中を見て、ある事に気がついた。
「あれって。そっか、そういう事ー」
 思わずニヤリとしてしまう。
 見張り台中央の階段の両脇に石壁を組んであった。壁に亜人達が棒先を当てて、何か待ち構えている様子だ。
「階段を登ってきた所で石壁を崩す……という罠ねぇ」
 見破ってしまえば大した事はない。通信機で囮のハンター達に伝えればそれまでの事だ。
 だが、もし、何も知らずに力押ししたのならば、大変な事になっていただろう。亜人共との戦闘中に石壁が倒れてきたら、さすがのハンターも危ない。
「片付けに行くよ」
 シェラリンデが爽やかな顔で紫色をした刀身を構えた。

●見張り台の戦闘
 中央階段の罠の連絡を受けた時、ライルとハンター達はちょうど中央へと移動した所だった。
 反撃は散発だ。奇襲攻撃が亜人の組織的な反撃を奪っているのだろう。
「この戦いで終わってくれるといいのですが、さて」
 ミュオは大鎌を掲げながら躰のマテリアルを練る。
 血の流れと共にマテリアルの輝きが体内を通して魔法陣を形成。体面上に表出した祝装――“コード”――が物理領域と魔法領域を統合させ、マテリアルの星の光が煌めいた。
「こんにちは。死神です。みなさんに死をお届けにきました」
 彼の言葉は、多くの亜人には伝わらなかったかもしれない。
 しかし、その意味は理解できただろう。ミュオが振るった大鎌は亜人の命をいとも簡単に刈り取ったからだ。
 大きな盾を持った亜人がやってくるが、盾の守りなど通用しない。
「本当に死神だな。私も亜人の“処刑“を開始する」
 仲間の戦い振りに感嘆としながらルイトガルトも剣を振るう。
 だが、その動きはミュオのような大立ち回りではない。
「ライル!」
「はい! やります!」
 居合で斬りつけた亜人を絶妙なタイミングで蹴り転がした。
 それに呼応してライルが気合と共に剣を振り下ろす。
「よし、それで良い。前に出られるか?」
「勿論です。亜人如きの攻撃、僕には通じませんから」
 並んだライルは意気揚々としている。彼についてきた兵士達の士気も高そうである。
 ここは彼の領地であり、この戦いは本来、彼のものである。前回もそうだったか、今回もルイトガルトは、ライルを立てるように動いていたのだ。
 こういうのは印象が大事であり、戦いが佳境を向かえるまでは活躍しているイメージを与えるのが大事だ。後はハンター達が片付ければいい。
「崩れるなら、こっちから崩してもいいのか」
 身長を超える巨大な盾を持ちながら前線に立っていたイレーヌがふと思いつく。
 盾で相手を強く押し込んで亜人の体勢を崩そうかと思っていたが、石壁が崩れてくるなら、逆に、“こちら側”からも崩れる可能性もあるはずだ。
「覚悟するんだね」
 如何にも鋭そうな刀を持つ亜人からの攻撃を盾で受け止め、亜人ごと、階段側面の壁へと押し当てた。
 並みの力では崩れなかったかもしれない。しかし、覚醒者である彼女の筋力は絶大だった。
 轟音と共に石壁が見張り台の方へと亜人を巻き込んで崩れる。
 慌てふためく亜人達をライラがコウモリの形をした武器を投げた。
「守りというのは、緊張感を維持しなければならないいう事です。簡単なものではありませんよ」
 投げた武器をマテリアルで操りながら亜人共を傷つけていく。
 亜人の中には手にしていた武器を落とす者も居た。落ちた武器に周囲の亜人が群がる。
 前回も似たような行動が確認できていた。属性武器と思われる武器に亜人が固執しているのだ。
「それなら、腕を積極的に狙いますわ」
 近くによって来た亜人を鞭で撃退した後、ライラは再びコウモリの形をした武器を手にした。

 塀の上から高々と飛翔する一つの影。白を基調としたワンピースドレスのスカートがひらひらとして際どい。
 踵にマテリアルの焔の輝きを残しつつ、ソフィアが右往左往とする亜人の群れの中に飛び込んだのだ。
「ガンッ、ブレイズッ!!」
 着地と同時に地面から焔が噴出する。
 幾体もの亜人がその衝撃で吹き倒れた。背後に居た亜人が汚い槍で突いて来るが、マテリアルで形成した光の障壁に阻まれ、壁際へと吹き飛ばされる。
「そんなに属性武器が欲しいの?」
 仲間が投げ込んだ属性武器に群がる所へ向かって、再び炎の機導術を放つソフィア。
 見張り台での戦闘はハンター達のワンサイドゲームと化していた。
「確実に殲滅していこう」
 シェラリンデが、壁を壊して見張り台に上がって来たイレーヌとミュオに呼び掛ける。
 亜人はゴキブリ並の繁殖力を持つという噂もあるので、一匹たりとも逃がすわけにはいかないからだ。
「そういう依頼だったな」
「虐殺というのは気分がいいものではないですけれど、オーダーは殲滅ですもんね」
 指を鳴らしたイレーヌから衝撃が放たれ、巻き込まれた亜人らが崩れ落ちた。
 ミュオも先程から高威力の斬撃を無慈悲に、亜人へと与えていた。
「実に良い光景だね」
「命は諦めてください。抵抗しなければ痛くないと思います」
 二人のハンターの容赦ない雰囲気に、亜人達は、もはや戦意を喪失したようだ。
 我先へと逃げようとするが中央の階段はルイトガルトとライル、兵士達が塞いでおり、通れない。
「……」
 戦いの最中、シェラリンデはチラリとライルの挙動を盗み見る。
 おかしな点は無い。あるとすれば、必死さだろうか――それでも、戦場であれば必死なのは当たり前の事。特に覚醒者ではない若者なのだ。
 ライルは最後に残った亜人の胸板を剣で切り裂き、返り血を浴びながら、勝利の雄叫びをあげた。

●強さを求めて
 ライルの鎧は亜人の返り血で染まっていたが、特に変化は無かったようだ。
「返り血が酷いな。脱いだらどうだ?」
 何気なく言ったイレーヌの言葉に対し、ライルは首を横に振る。
「凄く良い気分ですので、もう暫く、このままでいたいと思います」
「そう……か……」
 そう言われてしまえば仕方ない。
 豪華な全身鎧だが、“普通”に感じなかったのもあるのだが……。
「亜人が残していた属性武器はこれで全部だね」
「一応、戦利品として持ち帰っておこうよ。これからの領地経営にも使えるかもしれないですし」
 シェラリンデとミュオの二人が亜人達が使っていた属性武器と思われる物を拾って集めてきた。
 剣や鎧、盾や杖と様々だ。
「調査が必要かな」
 武器と、そして、ライルが身に付ける鎧にと心の中でシェラリンデは続けた。
 そういえば、ハンターオフィスの受付嬢である希は同行していない。
 彼女が同行していれば、手間も省けたかもしれないというのに。
「思ったより苦戦しなかったな」
 それらの武具を眺めながらルイトガルトは言った。
 実際の性能がいかほどの物かは、正確には分からないが、ハンター達と渡り合う事も出来るものの可能性もある。
 相手は守りについているという事もあり、正攻法で戦っていたら苦戦していたかもしれない。
「囮の亜人を使って階段付近で戦わせ、石壁の罠を使うつもりだったのだろう」
 ルイトガルトは武具から視線を崩れた壁へと向ける。
 奇襲作戦が成功したからこその快勝だ。そして、この戦果は作戦を承諾したライルにもある訳だ。
 そんな彼の前にライラが出ると躾けるようにビシッと言った。
「戦うのは、これを最後にして統治の方に集中した方がよろしいかと」
「僕は……もっと、強くなりたいのです。皆さんのように」
 これは、一から貴族というものがなんたるかを教育しなければならないかなとライラは思った。
 そもそも亜人の襲撃がなければ、父が領主として居たままだったのだ。為政者としての心構えや経験、知識などが、彼には不足しているかもしれない。
「貴方の求めるべき強さは、私達の様なものとは違いますわ」
 ライラの言葉にハンター達は頷く。
 覚醒者であるハンターは、一般人から見れば、確かに強い。しかし、それはハンターが活躍する場面に限られているはずだ。
 貴族としての強さとは同一ではない。もし、純粋な戦闘能力だけが強さならば、覚醒者全員が貴族にでもなっているだろう。
「それでも、僕は、強くなりたいんです! 僕が強かったら、父上も、多くの兵士も、集落も、無事だったはずです!」
 そんな決意を叫ぶライルの言葉。
 最初の亜人の襲撃の際、多くの人々が犠牲になったのも、また、事実である。
 ライルがここに集まったハンター達並に強ければ、もしかして、ここまでの悲劇には至らなかったかもしれない。
「いいね~。その決意。それこそ、武士だね」
 パチパチと拍手しながら現れたのは鳴月 牡丹(kz0180)だった。誰がどう見ても凄いドヤ顔だった。
 彼女はライルとハンター達の戦いの様子を見守っていたのだ。
 ちゃんと大人しく後方で観戦が出来た事は褒める所かもしれない――多分。
「牡丹、武士ではなくて貴族だ」
 イレーヌのツッコミに牡丹は首を傾げる。
 わざとらしい感じのあざとさにソフィアは思わずプッと鼻で笑った。
「似たようなものじゃない? 東方じゃ、武家は強くないと領民を守れなかったからね。強さを求めてもボクは良いと思うよ」
 歪虚勢力によって西方世界と分断され、孤立無援だった東方では強さが求められていたかもしれない。
 エトファリカ武家四十八家門は、朝廷の守護者であり、その成り立ちは西方の貴族とは異なるのだが……。
「とりあえず、凱旋でいいんだよねっ」
 微妙な空気が流れた所で、ソフィアがにっこりと笑顔を作る。
 レタニケ領を襲撃してきた亜人勢力は殲滅したのだ。もう、脅威はなくなった。
「はい。皆さん、ありがとうございました」
 丁寧にライルは頭を下げた。
 そして、ハンター達を順に見渡すとこうも告げた。
「折角なので、街を挙げて戦勝を祝いたいと思います。是非とも、皆さんも参加して下さい」
 レタニケ領は温泉しか取り柄のない片田舎だが、街を挙げてとなれば、それも、亜人を殲滅したとなれば、住民達も歓迎するに違いない。
 年相応な若さが眩しいライルの笑顔だった。


 こうして、レタニケ領を脅かした亜人勢力はライルとハンター達によって駆逐された。
 戦利品として持ち帰った武具は、そのほとんどが属性が付与された物だったという。


 第4話へと続く――。


●血の鍵が開くもの
 ハンター達の強さが目に焼き付いている。
 彼ら彼女ら程の強さがあれば、亜人や歪虚の襲撃に怯えなくてもいいし、貴族同士の争いでもステータスの一つになる。
「僕は、もっと、もっと強くならなきゃ」
 焦燥感にも似た思いと共に、行方不明のままの父の肖像画を見つめる。
 その想いに応えるように、豪華な鎧が、どこからともなく言葉を“発した”。
「求める強さの為、汝、更なる契約を求めるか」
「もちろんです。あの戦いで僕は確信した。あの人達のような強さが僕には必要だから」
 刹那、鎧から眩い光が放たれる。
 もし、この場に覚醒者が居れば分かっただろう。その光は――負のマテリアルだったと。

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    ミュオka1308
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌka1372

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参加者一覧

  • 純粋若葉
    ミュオ(ka1308
    ドワーフ|13才|男性|闘狩人
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士
  • 大工房
    ソフィア =リリィホルム(ka2383
    ドワーフ|14才|女性|機導師
  • 【魔装】花刀「菖蒲正宗」
    シェラリンデ(ka3332
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • 【魔装】猫香の侍女
    ライラ = リューンベリ(ka5507
    人間(紅)|15才|女性|疾影士
  • 戦場に疾る銀黒
    ルイトガルト・レーデル(ka6356
    人間(紅)|21才|女性|舞刀士

サポート一覧

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アイコン 教えて、鳴月さん!
ソフィア =リリィホルム(ka2383
ドワーフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/03/12 21:39:50
アイコン 相談しよう!
ソフィア =リリィホルム(ka2383
ドワーフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2017/03/18 20:57:06
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/03/14 18:56:44