【星籤】白き証聖者

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~5人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/12/14 07:30
完成日
2017/12/18 15:56

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

~ある日記より~
高潔な人物が世の中に居るのと同じぐらい、いや、それ以上に腐った奴がいる。
黙って見過ごせば安泰だ。だが、そんな世の中に、一体何の意味があるというのか。


●籃奈の家にて
「……思った以上に重たい話だね」
 鳴月 牡丹(kz0180)が目を伏せながら言った。
 強化人間である星加 籃奈(kz0247)から、“夫”の事を聞いていたのだ。
 籃奈の夫は軍人だったという。それもCAM乗りだ。
 当時、リアルブルーは狂気歪虚によって攻められていた。
 多くのCAMパイロットが戦いの場に赴き……中には、帰って来ない者もいる。そして、それは特別な事ではなく、むしろ、戦況を鑑みれば、当たり前の事だったかもしれない。
「もう昔話よ……昔というほど、年月は経っていないけど……」
 香り高いワインを口に運びながら、籃奈は言った。
 白く細い脚を組み、顔にかかった髪を耳に掛ける。
「過ぎてしまえば、あっという間……幸せだった一時も……」
「ボクは結婚した事ないから、想像つかないけど」
「そうしたい相手ぐらいはいないの?」
 ニヤリと笑った籃奈に牡丹はぷくっと頬を膨らませた。
 男勝りだからといって、そういう恋愛事とは無縁なのかと思われたくはないみたいだ。
「い、いるよ。そりゃ……ね。ほら」
 明らか目が泳いでいるのが面白くて籃奈は吹き出した。
「それより! ボクの話は終わってないよ! 仕事の話はどうなったのさ!」
「仕方ないね。牡丹の男の話は今度、じっくり聞くとして……」
 バサっと机の上に置いたのは分厚い資料の数々。
 その表紙には見慣れないCAMの姿が映っていた。
「私が強化人間用の装備を開発している事は知っているよね?」
「当然さ。これまでの依頼も、それに関わっていたはずだし」
「マテリアルを利用しての兵器開発は、この資料にあるCAMの為でもあるのさ」
 そう言って幾つかの書類を取り出した。
 まず目に飛び込んできたのは、全身が細い印象を受ける人型の姿。
 オファニムとエクスシアを足して割ったような……イメージなのかもしれない。ベースカラーは白く、所々のアクセントカラーが機体の白さを際立たせていた。
「新型のCAM?」
 首を傾げる牡丹に籃奈は軽く頷いた。
「コンフェッサー。それが、このCAMの名前だよ。運動能力が飛躍的に向上している影響で、強化人間か覚醒者専用を想定している新しい機体なんだ」
「どんな場面での活躍を想定しているんだい?」
 その質問に研究者っぽく、いくらでも話しましょうみたいな表情で籃奈が別の書類を資料の束から取り出した。
「クラスタ型ヴォイドや強く汚染された悪状況下に先行して強行偵察あるいは威力偵察する事が最大の目的さ」
 火星でのクラスタ突入時にこうしたタイプのCAMが居れば、もっと違った展開もあり得たかもしれない。
「それで、運動能力を向上させているというのか……」
「機体目的上、戦闘は主に格闘戦を想定している。かなり……自信作だよ」
 他にも色々な機能がついている……という事だが、膨大な資料を牡丹は読む気になれなかった。
 それよりも、手っ取り早く、CAMの事を知る方法があるからだ。
「段々、話が読めてきたよ。つまり、ボクらに“測れ”という事だね」
「戦いの事になると、本当に牡丹は勘が鋭い。その通りさ。ハンターとの模擬戦でコンフェッサーの実践評価をしたい……それが、“上層部”の考えだよ」
「良いのかい? 折角の新型、壊しちゃうかもしれないよ」
 ハンターは生身でも強大な力を持つ。
 中にはCAMに匹敵するという者も、あるいは、CAMに乗ると戦力ダウンしてしまうという者も居る程なのだ。
「その程度で壊れる位なら、そもそも、量産されなくていいよ」
 籃奈は自信満々に答えた。
 直後、部屋の扉が開く。
「やぁ、孝純君! 便所かい?」
 牡丹が遠慮もなく扉から姿を現した少年に声を掛ける。
 少年は眠たそうに目をこすりながら、それでも、丁寧に頭を下げた。
「はい……いってきます……」
 トタトタと廊下に向かって進んでいく後ろ姿を見つめる籃奈。
 亡き夫との間に生まれた大切な一人息子だ。
「考古学者になりたいんだってさ。この世界と牡丹の世界の繋がりを知りたいって」
「頭良さそうだもんね。運動神経も悪く無さそうだけど……ボクが手解きすれば、強くなれるんじゃないかな」
「夫の影響で、以前は軍人になるって言ってたから……。親としては危険な戦場ではなく学者になって欲しいよ」
 未来の形は無限だ。
 そして、その未来に辿り着く為に、“今”を守らなくてはならない。


 後日、牡丹とハンター達は、新型CAMコンフェッサーの実践評価の為、ある試験場に集まった。
 障害物も何もない。まるで闘技場のようなその場所に、コンフェッサーが6機並んでいた。

リプレイ本文


「考え事かい?」
 戦闘前に星加 籃奈(kz0247)ら、強化人間の面々と挨拶を終え、所定の位置に並んだ所で、イレーヌ(ka1372)は龍崎・カズマ(ka0178)に、そんな声を掛けた。
「まぁ……そんな所だ」
 誤魔化している訳ではないが、カズマは応える。
 リアルブルー出身者である彼を知っている者が居るかどうかと思ったのだが、そんな偶然は無かった。
「籃奈は見ての通りの美人。カズマ君が気になるのも分かるけど、人妻だからね」
 冗談なのか本気なのか、鳴月 牡丹(kz0180)が横から入って来た。
 その様子にイレーヌがニヤニヤとした表情を浮かべる。
「気になるのかい? 牡丹」
「ほら、戦いの前に女性の話をしているとやられるっていう話をどこかで聞いてね」
 視線を相手方へと向ける。6機の新型CAMが並んでいる姿は壮観だ。
 これから、あれらと戦うという事。模擬戦とはいえ、気が張らない訳がない。
「フォローはするが、無茶はするなよ」
 カズマは牡丹の軽口に付き合わず、淡々と言った。
 今回の作戦は、ただ単に戦えばいいというものではない。コンフェッサーの実践評価の為のものだ。
 ノノトト(ka0553)は目を輝かせていた。
「最新のCAM! すごいなー。皆が乗れるのはいつごろになるんだろ……」
 オファニムとエクスシアを足して割ったような姿形の白い機体は、これまで見なかったCAMであるのは確かだ。
 量産化されるのが何時になるか分からないが、いつかは、ハンター達が乗れる機会があるはず。
「……じゃなくて。今回は、テストするんだよね」
「そうだな。……だが、数の上では互角って、生身相手にちと厳しいんじゃ……」
 巨大な槍を手に持ちながら、ミリア・ラスティソード(ka1287)は思っていた言葉を口にする。
 常人を超える力を発揮できる覚醒者といえども、CAM相手となると苦しい戦いになるだろう。
「ま、それだけ評価されてるって事か。せいぜい、期待に応えますかね」
「ぼくはCAMとケンカして勝てる程、強くはないから、魔法スキルを試してCAMがどうなるか見ようかな」
 ミリアとノノトトは視線を一瞬合わせて頷いた。
 ハンターとしての実力を認められての新型兵器との模擬戦だ。無様な戦いだけは避けたい。
 壊してしまっても良いとの事なので、ここは本気の本気だ。気合十分な二人に、アニス・テスタロッサ(ka0141)が確認を込めて、静かに言う。
「殴り合いすんなら気をつけろよ。あの外見なら腕なり足なりへの武装の仕込が常套だ」
 元軍人として、そして、CAMパイロットとして、アニスの観察眼は模擬戦が始まる前から鋭かった。
 魔法的な能力を有した格闘機……そんな機体があっても良いのでは無いかと思っていた所に、このコンフェッサーである。
「さて、遊んでもらおうか」
 魔導式ライフルを彼女は構えた。


 先に仕掛けたのはハンター達だった。
 というより、初動の動きが分からないのは強化人間側も同様。様子見のつもりなのか、それとも、何かの考えがあっての事か。
 初弾を正面の籃奈機に向けて放つ。狙い違わず直撃したが、当たった箇所が胸部装甲であり、大したダメージを与えていないだろうと思う。
「運動性に秀でてるとは言ってたが……別に装甲薄いとは言ってなかったな、そーいや……」
 フツーに考えりゃ厚くはねぇだろうが、と言葉を続けて、マテリアルを集中する。
 通常の射撃で思うようにダメージが与えられなければ、別の方法を取るだけだ。
「さて、どう測るとするかな」
 カズマの台詞にノノトトが頷いた。
 相手の能力を見極めながらの戦いとなるからだ。
「コンフェッサーのコンセプトが気になるんだ。避けて、近接が強くて、偵察しにくるってさ……」
 それだけでは、とてもじゃないがクラスタ型VOIDの中に入って帰ってこれないだろう。
「何か、能力があると考えるのは自然だな」
「だよね。それでさ、何ていうか……そういうの見た事ある……」
 そこまで言って、ノノトトは一区切りした。
「……そうだ……狂気王ベアトリクスだ」
 地球圏での狂気歪虚との戦いは記憶に新しい。
 ハンター達は苦戦を強いられつつも、狂気王攻略の糸口を見出した。
「狂気王は……認識をズラして攻撃を避けてた」
「全く同じ能力という訳じゃないが、なんらかの防御手段は持ち合わせているはずだな」
 カズマもノノトトの推測に近いものを持っていた。
 近接主体という事であれば、目標に近づくまでにいかに被害を減らすかが重要となる。
 今回、互いに離れての状態から開始されたという事は、その辺りの対策を持っており、実際に有効かどうか、確かめる可能性はあるだろう。
「並んだままだが、何か仕掛けてくるか?」
 怪訝な表情を浮かべたミリア。近づくハンター達を待っているようにも見える。
 戦士としての勘が働いたのか、ピリピリと何かを感じた次の瞬間だった。
 6機並んだコンフェッサーが一斉に腕を水平に突き出すと銃口を向ける。事前情報によると、射撃能力に秀でている訳ではない……らしいが。
「これは……構えろ!」
 ミリアの叫びと共に、眩いばかりの紫色の光がコンフェッサーから放たれた。
 各機体から一直線に伸びるそれを、ハンター達は避け、あるいは、受ける。
「マテリアルライフルか!」
 一部のCAMで使用可能なマテリアルによるビーム攻撃だ。
 幸いだったのは、その威力は、R7エクスシアのものに及ばないという事だろう。
「これなら、一気に接近するだけの事!」
「一緒に行くよ!」
 魔導ガントレットで光線を防いだイレーヌも馬を走らせる。
 魔法による遠距離攻撃方法があったとしても、高威力でなければ、慌てる事はない。懐に入ってしまえば良いのだから。
(格闘戦でも必ず、何か能力があるはず)
 それを引き出した上で戦う。そうすれば、実践評価という目的も達成できるだろう。
(良い機会だから、私も新武器のテストをさせてもらおうか)
 頼もしそうにガントレットに視線を一瞬向けた。
 先程の光線から十分に持ち手を守った。盾としての性能は申し分ないだろう。次は武器としての威力が気になる所だ。


 距離を詰め、格闘戦に入る段階となった。
 その時点でノノトトは悔しそうな表情を浮かべる。
「ディヴァインウィルが使えなくなって、これがあるのです!」
 スキルの能力を高めるSA付きのアイテムはあくまでも補助的なものだ。
 該当するスキルをセットしていなければ、そもそも、スキルは発動せず、故に意図した事は出来なかった。
 だが、それが致命的な事になるという訳ではない。霊闘士としての本当の力は、ここからだ。
「これならどうですか!」
 幻影の腕がカシっと1機を掴んだ。
 これにより、移動する事が出来なくなるのだ。
「ミリアさん! 今です!」
「任せて!」
 ファイト一発とばかりに豪快に槍を上段で構えながら、特別なゴースロンを駆る。
 その突進力を活かして、強烈な突きを叩き込むのだ。
 CAMは回避行動を取ろうとしたが、間に合わなかった。機体の性能というよりかは乗り手の問題もあったかもしれない。
 轟音と共に、ミリアが突き出した槍がコンフェッサーの腰部に直撃した。厚い装甲をぶち抜いた槍先がCAMの内部を粉砕する。
「なんだ……?」
 手応えは充分に感じたが、ミリアは首を傾げた。
 強力無比な一撃だ。急所を突けば一撃でCAMすらも葬れるはずなのに、その威力が低減した気がしたのだ。
 そして、その理由は続く、イレーヌの突撃で分かる。
「これは……マテリアルの障壁?」
「マテリアルカーテンと似ているようだね」
 威力は落とされたが、今の一撃でそのCAMを戦闘不能に追い込んだ。
 次の標的を定めながら、ミリアは呟くように言った。
「装甲を厚くすると運動性能に関わるからか」
「魔法能力持っているなら、あってもおかしくないか」
 巨大な棍みたいなもので殴ってきたコンフェッサーの一撃をイレーヌは盾で受け止めた。
 同時にマテリアルを集中し、全力で跳ね返すと、その機体はバランスを崩して転倒した。
「この装備なら、きっとCAMを転ばせることも出来るはずだからね」
「一気に畳みかけよう! がおぉ!!」
 ノノトトが大声で転倒したCAMを威嚇する。
 ただの威嚇ではない。相手に委縮させる霊闘士の力だ。
 それが効いているという印象はないが、他のCAMの目を引いた。
 フォローするように別の機体が割って入りながら、根を振り回すが、ミリアは槍で受け止めた。
「まるで、生身のように良い反応だよ!」
「若干のタイムラグはあっても良さそうだけどね」
 恐らく、通信機能も良好なのだろう。
 少数機での運用、偵察任務という事を考えれば、味方との情報共有に優れている可能性は充分に高い。
「徐々に化けの皮を剥がせば!」
 体勢を整えたミリアが再び突進を繰り出す前に、それは起こった。
 一瞬、目を疑った。敵は最初から6機しかいないはずで、先程、1機を戦闘不能に追いやったのだから。
「「増えた!?」」
 ハンター達の言葉が重なった。


「クラスタ内での行動を考えているなら、当然か」
 アニスはマテリアルを込めて撃った弾が思うように効力を発揮しない事に、呟く。
 いや、これは、予想していた。バッドステータスからの復帰時間を見て、機体の抵抗力を測っていたのだ。
「魔法的な能力を持つという事、レーザーや障壁を見れば……」
 機体にはイニシャライズフィールドの機能が備わっている。
 元々は狂気の影響を遮断する目的で作成されたが、その能力の汎用性が高い。
 戦いは今の所、五分五分だ。前衛は頑張っているが拮抗状態となっている。
「そして、マテリアルで生成されたバルーンか。思ったより多彩だな」
 コンフェッサーが作り出したのは、いわば、マテリアルで作られた機体のダミーだ。
 相手を欺瞞に陥れて隙を作り出す訳だが、これは攻防兼ねての事だろう。
 当然の事ながら、遠距離からの狙撃に対する防御にも使えるはずだ。
「でも、この能力が、“隠し玉”とは思えない」
 格闘戦主体で作られた機体なのだ。
 何か、絶対にまだ、隠しているはず……。
 可能な限り気配を消し、死角を突いて攻撃を繰り出そうとしていたカズマだったが、上手くいったのはナイトカーテンを使っている間に留まった。
「十分な連携が取れているな」
 複数機がバルーンを作り出しており、視界も悪いが、その中であって、CAM同士の連携は上出来だった。
 背後やコックピットを狙おうとしても別の機体がフォローに入ってくる。
 センサー類というよりかは、チーム内で補っている……そんなイメージをカズマは持った。
「牡丹! 突出し過ぎだ!」
「負けられないでしょ!」
 丈の短いスカートのチャイナドレス姿の牡丹が拳をCAMの脚に叩き込む。
 どうも、脚部の装甲が他よりも厚い気がすると、カズマは自分や牡丹の攻撃を見て感じた。
「……試してみる価値はあるか」
 魔剣を構えながら意識を高める。
 繰り出されるCAMの攻撃を不可思議なマテリアルの流れが包み込む。相打ちにも似た一撃を叩き込んだ。
 その一撃では、さすがにCAMは戦闘不能にならない。
 一方、カズマはCAMの攻撃を辛くも避けた。
「今のは……?」
 相手の攻撃も、また、マテリアルに包まれていたのだ。
 当たらなかったので、どのような効果があったか分からないが。
「カズマ君!」
 好機とばかりに牡丹が軽く跳躍した。脚部への攻撃ではなく、頭上を狙うのだろう。
 咄嗟に魔剣の刀身を“水平”に構えた。牡丹がそれを足場にすると同時にカズマは力の限り振り上げる。
「……今度はちゃんと履いているか」
 戦闘中だというのにカズマは空高く飛翔した牡丹の姿を確認しながら、そう言ったのだった。


 結論から言うと、ハンター達が競り勝った。
 勝敗の差を生んだのは、相手の持つ能力の推察と、そして、スキルの多彩さだった。
 コンフェッサー自体、その能力は申し分ない事は分かったが、やはり、スキル回数に関しては強化や訓練されたスキルを持つハンター達に敵わない。
「機体スキルの強化については、な……」
 イレーヌから回復魔法を受け終わったミリアが苦笑を浮かべる。
 それは、ハンター達のユニットについても、現状、同様だからだ。
「折角、魔法も使えますしねー」
 ノノトトがしみじみとそう言った。
 如何に強力なスキルがあったとしても、使用出来る回数が限りなく少なければ、実用的とは言えない。
 特にクラスタ内部への偵察という意味でいうと、補給も効かない状況でもある訳だし。
「フフフ。牡丹には直接、施術を施してあげよう」
「ちょ! イレーヌ君、そこは、待って。痛い……」
 牡丹の背後から抱きつきながら、イレーヌは回復魔法を行使する。
 ふわっと牡丹の髪から心地良い香りが流れた。
「ん? カズマ君も混ざりたいのかい?」
 二人のやり取りを眺めていたカズマに牡丹が小悪魔的な微笑を浮かべる。
 何か言おうとしたカズマよりも早く、籃奈が声を掛けてきた。
「お疲れ様。さすが、ハンター達だ。完敗だよ……ふーん」
 ハンター達、牡丹、そして、最後にカズマに視線を巡らせ、籃奈が何かに勘付いた感想が口から洩れる。
 一体、何の視線だったのかとカズマは心の中で思ったが、答えは思い浮かばなかった。
「良い情報は得られたのかい?」
「あぁ。幾つかの課題も見つかったしね」
 カズマの問いに籃奈は爽やかに答え、一同にお礼の言葉を告げると、踵を返す。
 立ち去っていく強化人間にアニスが呼び止めた。
「……一つ、確認していいか?」
「なんだい?」
「強化人間はスキルトレースを使えないのか?」
 スキル回数を補う手段としても、ハンター達はスキルトレースの能力を使う者も居る。
 今回も強化人間がスキルを存分に扱えれば、違う結果になっていただろう。
 ノノトトとカズマは頷いてアニスの質問に同意した。
「確かに……そうですね。覚醒者はスキルトレースで技や魔法を使えますし」
「強化人間自体がスキルという物を持ち合わせていないのか?」
「それも、課題さ……」
 それが、ハンターとの埋められない差というものだ。
 だが、いつまでもこの状態でもない……はずだと籃奈は思っていた。
「近いうちになんとか形にはしたい所ね……」
「……新型見せといて焦らしたんだ。次は、そのオモチャで遊ばせてくれんだろうな?」
 今はそっちの方が本職なんだよと、アニスはタバコに火をつけながら、そう告げる。
 籃奈はニヤっと口元を緩めた。
「そうさせてあげたいけど、実はもう一つ、評価があるのさ。もう少し待たせるかもね」


 ハンター達は、新型のCAM“コンフェッサー”との模擬戦を行った。
 この模擬戦で得られた情報の数々は、評価で大いに意味を成し、次のステージに繋がるものとなったのだった。


 おしまい

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MVP一覧

  • 赤黒の雷鳴
    アニス・テスタロッサka0141
  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマka0178

重体一覧

参加者一覧

  • 赤黒の雷鳴
    アニス・テスタロッサ(ka0141
    人間(蒼)|18才|女性|猟撃士
  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士

  • ノノトト(ka0553
    ドワーフ|10才|男性|霊闘士
  • 英雄譚を終えし者
    ミリア・ラスティソード(ka1287
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
  • 白嶺の慧眼
    イレーヌ(ka1372
    ドワーフ|10才|女性|聖導士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦相談・提案・宣言卓
ミリア・ラスティソード(ka1287
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2017/12/13 23:23:42
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/12/08 22:54:39
アイコン 【質問用】ミーティング
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/12/12 09:38:43