※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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風邪ひいた
やらかした。
アクアレギア(ka0459)はベッドの中、ボーッと天井を見上げていた。
やらかした。そう、つまりは風邪ひいた。
彼だけに聞こえる不思議な、歌詞のない歌。それのオルゴールを作っていたのはいいのだけれど。集中しすぎた。没頭しすぎた。昼夜も忘れ、睡眠も疎かに、オルゴール作りに熱中しすぎていたのだ。なお食事だけは規則正しく摂っていた。晩餐を食べるのはルールだからだ。
「あ゛～……」
ゾンビのような呻き声と溜息ひとつ。こういう、物作りという作業に没頭しすぎてしまうのはドワーフのサガなのか。己の中のドワーフの血をそうやって自覚してみると自己嫌悪が湧いた。目を腕で覆う。
いや、もともとは、こんなに製作に時間をかけないつもりだったんだ。だけれど。作っているうちになんだか楽しくなってきたというか。あれもしてみようこれもしてみよう、こういう装飾はどうだろう、こんな細工を思いついた――みたいな、インスピレーションが湯水のように湧いてきたのだ。
で、やりすぎて、やらかした。
聞いた話によると、どうも床に倒れていたらしい。
そう、気が付けばアクアレギアはベッドに収容されていたのだ。
サイドテーブルにはおかゆが置いてある。まだ温かい。ついでに「熱が下がるまでオルゴール禁止」というメモの切れ端まである。そろっと視線を作業台に――製作中のオルゴールが置いてある場所に向けた。
いや、ちょっとだけなら……いや、だがしかし……いや、でも、うーん……。
アクアレギアは生真面目だった。中途半端でほったらかし、なんて状況が落ち着かないタイプだった。そわそわする。正論を述べるならばおかゆを食べて寝るべきなのだろう。が。やりたいことを正直に述べれば、今すぐオルゴール作成に着手したい。だけどそんなことをしたら多分、ダメだろうなぁ……。
（とりあえず……おかゆだけでも食べるか……）
のっそりと上体を起こした。あー、ヒゲも剃らないとな～……と心の中で思いつつ、スプーンを手に取る。おかゆは良い具合の温度になっていた。
こっそり作業するか寝るかは、食べながら考えることにしよう。
『了』
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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アクアレギア(ka0459)／男／18歳／機導師
