※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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新たな決意
浅黄 小夜(ka3062)が抱いていた異世界の緊張も不安も、時間と慣れが和らげてくれた。
今なら一人で依頼を受ける事も出来るし、道に迷う事だってそうそうありはしない。
新しい一歩を踏み出す時のほのかな緊張がなくなった訳じゃないけれど、それでも最初の頃ほど物怖じはしなくなった。
「――話を聞き出す必要があるかな」
依頼に対する相談の中でそういう方針が出てくる、事前情報だけではどうしても限界を感じていたから、出された提案には小夜も賛成だった。
「班分けは……あー」
「うち……行きます」
挙手と共に抱いた決意が誰かに気取られる事はない。
いつの頃からだろう、臆病さを勇気と決意が超えるようになり、多くに触れ、多くを知りたいと思うようになった。
小夜が直接戦闘向きじゃない事、女子供だから警戒されにくいだろうと理由を並べれば、挙手はあっさりと受け入れてもらえる。
勿論、一人でという事はない。共に行動する人と顔合わせをして、宜しくお願いしますとお互い頷き合った。
新しく見る世界はどんな所だろう。
新しく出会うのはどんな人々だろうか。
決して善良なだけでも美しいだけでもない、儘ならない事もあって、行き詰まってしまった結末もあって、でも手を差し伸べる事で何か変えられるかもしれないと思えるようになった。
暗がりに目を向ける、誰もいない事に安堵したけれど、誰かが蹲っていたらきっと小夜は声をかけるだろう。
それが自分のしてもらった事、自分が救われた出来事。
警戒心をなくした訳ではないけれど、きっと折り合う事は出来る。
「じゃあ、話を聞きに行ってみましょうか」
仲間の言葉にこくんと頷く、歩き出した仲間に小走りでついていって、振り返る仲間に歩幅を緩めてもらうとお互い笑みが漏れる。
貰った優しさはとても強くて、頼もしかった。その優しさは、きっと異世界での小夜を支え続けてくれる。