※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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Alice In ChangelingParty
ある日ある時、どこにもない日、昔々の明日の話。
どこかのあそこ、いつもの穴の底の底、アリスは皆を待っていた。
七つの席に七つの小瓶、ずらり並べて待っていた。
飲めば中身が入れ替わる、「僕を飲んで!」と不思議な小瓶。
飲めばたちまちあら不思議、ボクが君で君がボク。
「さて、さて、さて、不思議な薬で中身が入れ替わると…」
茶会の主は相も変わらず愉快な事を考える。
ゆらゆら揺れたハンプティ、仮面の下でニヤリと笑う。
これなる毀れた入れ物に、入り込むのはいずれの者か、飲んでみるまでわからない。
「ふむ、ふむ、でしたら少々悪戯をしてみましょうか」
屈み込んだハンプティ、取り出したるはハンカチで、自分の足をグルグル縛る。
一人一脚、一本足、これではどうにも歩けない。
「私に入れ替わったものが愉快な目に合えば楽し…いえ、いえ、なんでもございません。ええ」
全ては茶会を楽しむ為なれば、余興に文句を付けるは野暮というもの。
けれど細工をしなくても、楽しくなるに決まってる。
だってアリスのすることだもの。
けれど流石は女王様。
「いくら私の可愛いアリスが用意したものは言え、正体のわからない怪しげなものを飲むわけには参りませんわ」
これ、誰ぞ毒見をしてたもれ。
「何、この小瓶を飲めばイイの?」
女王サマの命令に、チェシャは一気に飲み干した。
「うん、甘いね。とっても美味しい、毒じゃないよ♪」
べつに変わった事はなし、お腹も頭も大丈夫。
「んー、頭はどうだろ、むしろココにはマトモな奴なんかないないかも?」
「そうそう、これ以上おかしくなる事なんてありえないよ!」
薬を作った張本人、アリスが言うなら大丈夫!
みんなで一緒にせーのでごっくん!
けれど眠りネズミのヤマネ嬢、今日も半分夢の中。
「お菓子ぃ…たべるぅ」
薬を飲むのも一番最後、寝ぼけ眼で瓶ごとむしゃり。
すると、あらあら摩訶不思議。
アリスがチェシャでジャバがスペード。
ハンプティがジャバでスペードがハンプティ。
女王がアリスでチェシャがヤマネ。
そしてヤマネが女王様――
ごめん、よくわかんない。
「つまり、要するに……どういう事だ?」
スペードのアークにしては珍しく、真面目な顔と真面目な声。
天変地異の前触れか、はたまた何かの悪巧み?
いえいえ、これが薬の効果。
スペードの中にいるのは真面目でお堅いジャバ=ウォーケン。
「お茶会とは一体何だったのだ……何故私はスペードなんだ? 何故私の身体が勝手に動いているんだ!?」
それに視界スッキリ物事ハッキリ、いつもの目隠しどこいった。
「いや、違うな、私の身体はいつも通りに目隠しをしている。その姿を見ている私はスペードの中にいて……」
「だめだめスペードジャバ、ボク達のする事に意味なんてないって、わかってるくせにー」
チェシャの顔で、アリスがポンと肩たたき。
ナゼもドウシテも、言うだけ無駄無駄、後の祭り。
なっちゃったものはしょーがない。
「ほらほら! ボクなんかすっごく身軽なんだよ!」
チェシャエルシーはぴょんぴょんと、兎のように跳ね回る。
チェシャは猫とか関係ない、細かいことは気にしない!
「残念だよアリス、君はもっと常識のある人だと思っていたのに」
「ちっちっち、常識なんて壊すためにあるんだよ! それにボクが決めたことじゃないしね!」
そんなことよりボクを見て!
「せっかく見えるようになったんだから!」
ほらほら、ボクってこんな子、可愛いでしょ?
違った違った、見てほしいのは元の本体、アリスの身体。
あそこには今、誰が入っているのかな?
「あら? 何かしら…?」
ハートの女王は自分の体を見下ろして、不思議そうに首かっくん。
胸元に垂れた金の髪、大きなリボンにエプロンドレス、そうそうこれは、このなりは。
「あら! 私の可愛いアリスじゃないっ」
あちこちぺたぺた触って撫でて、女王様はご満悦。
けれど困った、これじゃ可愛いアリスの姿が見られない!
「スペード! 鏡をお持ちなさいな!」
アリスシルフィは命じます。
ガワが何でも中身は女王、臣下たるもの女王の命には絶対服従!
「スペードはどこ? 身体じゃなくて中身の方ですわ!」
返事がないのに苛立った、女王は自らスペード探し。
コツコツコツと音立てて、穴の底を行ったり来たり。
コツコツむぎゅっと足の裏、踏んづけたのはハンプティ。
「何さらすねんワレ!」
ああ、この品のない物言いは。
「スペード、あなたですのね?」
床に突っ伏し身体を伸ばし、ハンプティアークはゴロごろり。
「おや、おや、見事に転ばれましたか」
笑っているのはハンプティ、けれど身体はジャバのもの、目隠しされてなんにも見えず。
「その姿、見られないのは残念至極にございます」
「笑ぅとれんのも今のうちやでハンプティ。ええ機会や、日頃のお返しをせんとな!」
「いえ、いえ、私めは決して見返りなど求めてはおりませんので、謹んでご辞退申し上げましょう」
「なーに遠慮はいらんて。さぁ! 阿鼻叫喚のお茶会の始まりやで!」
ハンプティアーク、悪い顔で起き上がる。
けれど待て待て、その前に。
「スペード、私の命令が先でしてよ?」
鏡をお持ち、さあ早く!
けれどもここは不思議な穴、鏡を覗くとさあ大変、向こうの世界へ真っ逆さま。
「だからここには鏡は持ち込めないんだよ!」
鏡の国はまた今度!
「ボクの姿は元に戻ったら存分に見れば良いよ、戻り方なんて知らないけどね!」
戻れなかったらどうしよう? そんなのそのとき考える。
考えたって仕方ないなら、そのままだって良いかもね!
今はお茶会楽しもう!
「あれれぇ、なにか、変わるぅ…?」
ねむねむヤマネは女王様、けれどやっぱりねむねむで、うとうとかっくん船を漕ぐ。
「ちょっとあなた、ずうずうしくも私の身体に入り込んだのは居眠りネズミですわね?」
「ボク、女王様ぁ…」
目惚けまなこの女王様、自分の姿を見下ろして、にこにこふんわり嬉しそう。
「女王様の椅子、ふかふかだぁ…ボク、眠くなっちゃぅ…」
ガチガチ固い椅子でも床でも、どこでも眠くなっちゃうけどね!
「ちょっと、私はそのようなだらしない表情はしなくてよ? 居眠りもしませんわ」
アリスシルフィおかんむり、けれどもそれは無茶振りで、だってヤマネは寝るのが仕事。
誰の身体を使っていても、やっぱりのんびりマイペース。
元の持ち主ほぞを噛み、けれど薬が切れるまで、どうにもならないお祭り騒ぎ。
「私の身体を使うなら、もっと私らしく華麗に優雅に毅然と振る舞いなさいな」
でも女王らしくって何だろう。
「んーとぉ…薔薇は植えなくていい、首も刎ねなくていいよぉ…」
おっと、そうそう、言い方も変えなきゃねー。
「ただぁ…ボクのためにぃ、ふかふかのベッドを用意するのだぁ…」
足を組んでふんぞり返り、とっても偉そう女王ドア、普段の女王を真似てみた。
けれど自分の真似とは思いもしない、アリスシルフィ鼻にシワ。
「何かしら。まったく品性というものがないわね」
これだから庶民はほっほっほ。
お気に召さない女王様、それじゃやっぱりいつものように。
「ボクぎゅっとされたいなぁ…みんなでお昼寝しよぉ…」
「それじゃオレがハグしてやるねー♪」
抱き付いたのはドア自身、けれど中身はミルク=チェシャ。
「うわぁ…ボク、ボクにぎゅってされてるぅ…」
こんなの滅多に出来ないよ、これもアリスのおかげだね。
女王ドア、気持ちよくってほわほわで、やっぱりねむねむ夢の中。
けれど身体の持ち主は、何をするかと立ち上がる。
「私の身体に気安く触らないでいただけませんこと?」
でも、そうね、跪いて靴をお舐め、とまでは言わないけれど。
「この手を取って、甲にそっと口付けを……その程度なら許してさしあげますわ?」
寧ろしなさい、王国の民ならば。
「えー、なんでオレがそんなことー」
どうせなら可愛いアリスにちゅーしたいな!
いやいや相手がアリスなら、ちゅーより断然ハグだよね!
それにそれに、この身体。
(今、オレはヤマネの身体と役割なんだよね。って事は……)
ヤマネはみんなの可愛いペット、何をしたって許される。
今ならあざとく悪気なく、セクハラ疑惑も持たれずに、堂々アリスにアプローチ!
「アリス、大好きだよぉー」
いつもは出来ないぎゅっとハグ、この時とばかり飛び付いた。
「それとそれと、オレの抱き枕になってよ♪」
「じゃぁ、ボクもぉ…アリスをぎゅっと、したいぃ…」
ヤマネミルクと女王ドア、アリスシルフィぴったんこ。
けれど残念このアリス、中身は高飛車女王様。
「私の可愛いアリス(の身体)になんてことをするのかしら! 無礼者、首を刎ねておしまい!」
品性卑しい平民の、なんと不遜で不逞な態度。
「けれどご心配なく。頭と身体がお別れしても、困らないようにきちんと面倒を見てさしあげますわ」
ああ、なんて優しい女王様!
「そうね、甘いお菓子が食べたいのなら、その口にたっぷり詰め込んであげましょう」
そこに渋茶を流し込み、百面相を楽しもう。
身体の方はシロップ漬けに、百と一年漬け込んで、熟成させれば出来上がり、甘いあま~い砂糖菓子。
「うーん、オレも甘い物は食べたいけどなー」
百一年もかかるんじゃ。
それに食べられるのも遠慮したいね、もちろん首も切らないで?
「ねえねえアリス、お菓子出してよ」
「ボク、お茶も飲みたいぃ…」
お茶とお菓子のご注文、承りましてございます。
けれどまたまた女王様、つんつんお怒りイカのスミ。
「よろしくて? 体が可愛いアリスのものでも、この私に命令をしようなんて一億年早くてよ」
代わりにスペード、あなたが用意しなさいな。
「私がやるのか」
「そうだぁ…スペード、お菓子用意するんだぁ…」
スペードジャバは言われた通り、真面目に職務を果たそうと、けれど知らないお菓子はどこだ?
それに何より、今は落ちぶれ帝国貴族、お菓子は常にそこにあるもの、お茶は勝手に出てくるもの。
生活能力の欠如はもはや、自慢するしかないレベル。
困った末に、アリスの中身に助けを求め。
「うん、大丈夫だよ! それがホストの務めだものね!」
チェシャエルシーがボタンを押せば、カラクリ装置がギギギと動く。
ひっくり返ったテーブルが、くるり回って元通り、そこに積まれたお菓子の山。
次に紐を引っ張れば、天井開いてティーセット、がしゃんと落ちて粉々に。
「アリス、あの高さから陶器を落とせば割れることくらい、長いこと目隠しで過ごしてきた私にもわかるぞ」
「スペードジャバは真面目だね! ここはボクの穴の中だよ? ボクが出来ると思ったことは何でも出来るんだ!」
けれど今のはスペードジャバが、常識メガネで見たからで。
「大きな魔法はみんなが信じてくれなくちゃ! 信じる者はスクワット五千回だよ!」
「何だそれは」
「わかんない? 信じればスクワットも腕立て伏せも百万回は軽いねってこと!」
「軽くないだろう、それに増えている」
「もー、スペードジャバは真面目すぎだよ!」
せっかく不真面目でぐーたらで、いーかげんでチャランポランなスペードの中にいるんだからさ、もっとスペード色に染まろうよ!
「おい、なんや今えらい言われかたしてへんかったか?」
元の持ち主聞き耳立てて、聞き捨てならずと聞き取り調査。
「なんでもないよー空耳だよー」
そんなことよりティーセット、今度は割れない大丈夫。
信じる力が奇跡を起こす、ヘソで茶だって沸かしちゃう。
「あ、ハンプティーお茶が飲みたいなぁ……」
ヤマネミルクのご要望、中にいるのはスペードだけど、敢えてご指名ギャンブラー。
「パンプティ、おいしいの、淹れてきてぇ…」
女王ドアのご命令、中の人なんて気にしない。
「よっしゃ、とびっきりのヤツ淹れたるでぇ」
ハンプティアークは悪い顔、いつも見慣れた顔だけど、今日は新鮮ぴっかぴか。
「おや、おや、果たして彼に美味しいお茶が淹れられますかな?」
「誰が美味しく淹れる言うたんや、俺が淹れるんはとびっきりの苦い渋茶や!」
常日頃から重なった、あれやこれやのなんやかや。
今こそ来たれ逆襲の時。
「よっしゃ出来たで!」
旨味も香りも何処へやら、ドロリと茶色い液体が、七つのカップに注がれる。
「さあ飲めや、飲まなんだらネジ込むでぇ!」
ドンと置かれたティーカップ、まずはジャバシグ犠牲者に。
「ふむ、ふむ、この香り。まさしく渋茶にございますな」
目隠しをしたジャバシグは、聞き茶よろしく湯気を浴び、鼻の奥にて嗅ぎ分ける。
「こうして目隠しで過ごすのもまた新鮮でございますな。お陰でより一層、感覚が研ぎ澄まされる思いにございます」
前置きをして、いざ味見。
「ふむ、ふむ、これは……ふむ」
一口含んで口の中、渋さ際立つ大人の味覚。
「なかなか見事な渋茶にございますな……世間一般には、これを渋茶と称しましても差し支えないものと存じます」
カチャリ乾いた音を立て、カップとソーサー食卓へ。
「しかしながら」
こほんとひとつ咳払い、審査委員長ジャバシグの、厳しい評が下される。
「私に言わせますれば、このような半端な渋味……渋茶を名乗るもおこがましい、といったところでございましょうか」
「な、なんやて!?」
驚き桃の木渋茶の気。
「そう、私らしからぬ表現をとらせていただけるならば……ちゃんちゃらおかしい、それこそヘソが茶を沸かしますな」
平然泰然全然平気、そんな顔したジャバシグに、納得いかないハンプティアーク。
「そないな筈ないやろハンプティ、飲んだふりしてどっか捨てたんとちゃうか!?」
残ったドロドロ渋いお茶、ハンプティアークは飲み干した。
「ぅ、おご……っ、うがぐぎげごがっっっ!!!」
忽ち悶絶ご臨終――
「死んどらんわ!」
これは失礼残念無念、お詫びのしるしに冥土の土産、本家本元渋茶はいかが?
「私、今はこのような状態で御座います故、給仕などせず席で大人しくしているつもりでございましたが」
この挑戦は、受けて立つ。
「なに、たとえこの目は見えずとも、この指先が、この鼻が、全て覚えております故に」
やがて出された本家本元本格渋茶、その味わいは筆舌に尽くし難く、書けないものは書かないスタイル。
されどその時その日から、味覚壊れたハンプティアーク。
「けど問題あらへんな。どうせこの身体、薬が切れたらハンプティに返すんやろ?」
にやりにやにや悪い顔、けれどジャバシグ平気の平左。
「私は元より毀れております故」
全然全くもーまんたい。
「ねぇ、渋茶はもういいよぉ…」
ぺたんと突っ伏し女王ドア、くったり伸びて眠そうに。
「ボク、おいしいのが飲みたいんだぁ…」
「だったらボクが最高に普通のお茶を淹れてあげるよ!」
お茶会主催のチェシャエルシー、ホストたるものお客様のご満足を第一に!
「ねえアリス、それって最高なの? 普通なの?」
ヤマネミルクもくったりと、半分寝たまま訊ねます。
「最高で最上級の普通だよ!」
普通の中の普通、頂点に立つ普通、つまり、普通に普通?
「え~、ボクおいしいのがいいんだぁ…」
ごろごろ、ぶーぶー、女王ドア。
「やれ、やれ、仕方がありませんね」
のんびりお茶を飲もうにも、お茶がなければ始まらない。
ジャバシグ今度は美味しいお茶を、みんなのために手探りで。
「さっすがジャバシグ・ハンプティ、見えなくても腕は確かだね! ホストとしても鼻が高いよ、天狗だよ!」
「テングってなんだい、アリス?」
首を傾げるヤマネミルク、けれどそうそう、今のアリスはミルク=チェシャ。
チェシャならなぞなぞ出さなくちゃ!
「もしかして、なぞなぞ?」
「なぞなぞ? ボクは馬鹿だからわっかんなーい!」
天狗はどこかで聞いたけど、さてさて、どんなのだったかな?
「そうそう、ウソをつくと鼻が伸びるんだよ、それで伸びた鼻を切って薪にして、寒い冬をあったかく過ごしましたっていうお話!」
なんてハートウォーミングでワンダフル、マーベラスなお話でしょう。
「それで最後はウソつくのやめて、人間に戻れるんだけどね? でもおじいさんが薪がなくなるのは困るって! それでずっとウソつきのまま幸せに暮らしました、めでたしめでたし!」
「それは、めでたいのか?」
スペードジャバが真面目にツッコミ、けれどおかしいチェシャエルシー、その鼻ぐんぐん高くなる。
「困るよアリス、それオレの身体!」
「心配ないよ、鼻が高い方がカッコイイし!」
ヤマネミルクは大慌て、けれどアリスは気にしない。
ぐんぐん伸びるその鼻は、まるで小鳥の止まり木だけど。
いくらなんでも、キスする時に困るかな、予定の有無は知らないけれど。
「切っちゃう?」
ぶんぶんぐるぐる、青い顔してヤマネミルク、高速回転で首を振る。
「だったら美味しいお茶で治るかな!」
気にせずパーティ続けよう!
すると今度はハンプティアーク、頭に角が生えてきた。
ヤマネミルクはヒゲぼうぼう、スペードジャバは牙が伸び、アリスシルフィむきむきマッチョ、ジャバシグ尻尾と猫の手に、女王ドアは耳が大きくなっちゃった!
「うわぁ、ボク、これで空とべるかもぉ…」
耳をぱたぱた女王ドア、僅かに浮かんだ数センチ。
「これはもしかして、薬の副作用かな? だったらすごく楽しいね!」
長い鼻のチェシャエルシー、予想もしない展開に、ワクワクドキドキ止まらない。
けれどムキムキアリスシルフィ、ムンクの顔で叫びを上げる。
「私の可愛いアリスが、アリスの身体が!」
腕に漲る力こぶ、ボタン弾ける大胸筋。
おまけに自分の身体ときたら、耳をぱたぱた遊覧飛行。
「悪夢だわ、夢なら早く覚めてちょうだい、お願いだから!」
「見たくなければ、見なければ良かろう」
ぽんと猫の手スペードジャバ、アリスシルフィなぐさめる。
「心を騒がせるものからは、目を背けるのが一番だ」
何の因果かそれなのに、すっきりくっきりこの視界。
されど不思議はこの心、はっきり見えてもざわつかず、いつもの衝動どこへやら。
「それはね、きっとボク達みんながマトモじゃないからだよ!」
くるくる回ってチェシャエルシー、スペードジャバと踊り出す。
確かにみんなマトモじゃない、いつも以上にマトモじゃない。
「だってボク達イカしたイカれた仲間達!」
踊ろう、歌おう、どんちゃん騒ごう!
心配したってしょーがない!
そして続くよ楽しいお茶会。
時間が経てば時計の針を逆回し。
いつまで?
いつまでも!
次のお茶会始まるまでさ!
━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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CAST
アリス・チェシャエルシー:エルシー・リデル(ka3891)
スペード・ハンプティアーク:アーク=ゼロ=シュバイツァー(ka3801)
ハンプティ・ジャバシグ:シグ・ハンプティ(ka3900)
ヤマネ・女王ドア:ドア=アール=メイジー(ka3901)
チェシャ・ヤマネミルク:ミルク=チェシャ=キャザレル(ka3936)
女王・アリスシルフィ:シルフィウム=クイーン=ハート(ka3981)
ジャバ・スペードジャバ:ジャバ=ウォーケン(ka4330)
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お世話になっております、STANZAです。
この度はご依頼ありがとうございました。
そして納品が遅れましたこと、申し訳ありませんでした。
というわけで、如何でしたでしょうか。
誰が誰の中にいるのか、しっかり確認しながら書いたつもりですが――何しろ書き始めの初っ端から頭が混乱しておりまして。
名前や役割を間違えている場合、リテイクはご遠慮なくどうぞ。
ただし、意味が通らなかったり、わけがわからなかったりするのは仕様ですので……(
では、お楽しみ頂けると幸いです。