※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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新年早々、ジョシは戦うのだ!
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今日は、昨日の続き。
それが新年という区切りを超えると、少し特別。
ちょっとだけ改まった気持ちで去年を振り返ってみたり、これから始まる年になにがあるのか、ドキドキワクワクしてみたり。
そして新年2日目。これは別の意味で、女子をワクワクさせるイベントの始まり。
そう、初売りなのだ。
……蒼界・紅界、それぞれの国の風習がごちゃまぜになったリゼリオでは、何かしら理由をつけては常にお祭状態なのだけど。
「あっ、あのお店! りっちゃん、ほら、いつも可愛いアクセ売ってる!」
ミコト=S=レグルスはうっすら頬を染め、目を見開いて、リツカ=R=ウラノスの腕を掴んだ。
「うおっ店内全品半額!? 急げ!!」
人波を泳ぐようにしてかきわけ、少女たちの群れに飛び込んで行く。
「うわー、なんかキラキラしてる!」
リツカは、壁を埋め尽くすガラスや金属の小物に目をぱちぱちさせた。
明るい照明の光を受けて、まるで小さな星屑みたいにキラキラ光ってとてもきれい。
でも正直な話、こんなに沢山並んでいると、どれを取ればいいのかわからなくなってくるのだ。
「綺麗だけど、これ、どこで使うんだろう……」
どこかの遺跡から出てきたような、重くて大きな飾りのいっぱいついたネックレスを持ち上げ、リツカはまじまじと見つめる。
ミコトはそれを横から覗きこみ、やっぱり首を傾げた。
「今日はこれ! って決まったお洋服に合わせて買うのかな? ほら、パーティーとか」
「面白いけど、あんまり使えなさそうだね?」
リツカは苦笑いを浮かべた。
「あ、でもほらこれ! こっちなんかりっちゃんに似合うんじゃない? 今のお洋服にも似合うと思うよ!」
ミコトが天然石をレザーの紐で編み上げたブレスレッドを取り上げる。
「わっ、すっごく好み! ……あ。でも……」
ぱっと輝いたリツカの顔が、一瞬のうちに複雑な表情を浮かべる。
「どうしたの?」
「うーん……今日のテーマ、がね……」
かくり、と首を傾げ、リツカはブレスレットを目の前にぶら下げた。
活発で、服装はいつも動き易さ重視、艶やかな黒髪も無造作に束ねているだけのリツカ。
そんなリツカの新年の野望、それはなんと『女子力を高める』だ!
つまり今着ている服や、その雰囲気にあわせていては(少なくともリツカの考える)女子力は高められない。
だからこそ大の仲良しのミコトと一緒に、女子力アップのためのアイテム探しに繰り出したという訳だ。
「あー、どうしたらいいか良く解らんーー!」
頭を抱えるリツカに、ミコトも眉を寄せて考えこむ。
「うちもあんまり女子力とかは解らないけど、りっちゃんは元気一杯なのが一番だとおもうんだけどな!」
今までの全部をひっくり返したようなお洋服を着ても、たぶんリツカは自然にふるまえない。だからベースをいきなり変えずに、少しずつ、カワイイを取り入れた方がいいと思うのだ。
「そうだりっちゃん、向かいのお店っ! 先にお洋服さがそっ!」
「それもそうか!」
リツカも大きく頷く。服があってのアクセサリー、アクセだけを変えても浮いてしまう。
「あ、ところでミコちゃんはここでの買い物は? いいの?」
「あっ、ごめん! これだけ買って来るね!!」
ミコトは小さなかごをさげて、今度はレジの列へと飛び込んで行く。
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一通りの店を回った頃には、昼をとうに過ぎていて。
また長い列を耐えて、ようやくオープンカフェの一角に落ち着くことができた。
「ふう、凄い人だね……!」
普段は元気なリツカも、買い物に燃える戦闘モードの女子の集団の中では、さすがに消耗した様子。
「でもけっこう色々と安く買えたよね! 来て良かったあ」
ミコトは嬉しそうな顔で、山盛りのベリーがのったパンケーキをつつく。
「だね。パンケーキも美味しいし。でもまだみたいところあるし、あんまりゆっくりもしてられないかな」
「うん、そうだね」
忙しく手を動かしつつ、あれやこれやと買い物リストを練り直す。
そうしていると、不意に聞き慣れない声が割り込んできた。
「ねえ、ちょっといいかな?」
「へ……?」
見上げると、若い男のふたり連れだった。
「君達もLH404から? なんかそんな感じするよねー」
確かに、男ふたりの服装や雰囲気は、蒼界のものだった。
だからといって、それだけで好意を持てるはずもないのに。
「あー、どうぞ。私たちもう終わりですから。あとはごゆっくり」
リツカはにっこり笑って、自分のトレイと荷物を持って立ち上がる。
「え? いやそうじゃなくて……」
「お先にー!」
ミコトもリツカと一緒に立ちあがり、すぐにその席を離れた。
「なにアレ。チャラすぎ!」
リツカがふんと鼻を鳴らすと、ミコトはきょとんと首を傾げている。
「りっちゃん、あれなんだったんだろうね? 道にでも迷ったのかな?」
「え?」
リツカのほうが驚く。ミコトにはナンパされたという自覚がまったくないらしい。
「あー……お腹すいてて、早く食べたかったんじゃない?」
リツカは笑い出すのを我慢する。
「さってと、休憩もすんだし、もうちょっと見て回ろっか!」
「うん! あ、ちょっと待って、その前にあっちのお店寄っていい!?」
計画なんてあってないようなもの。
気の向くままに、あちらこちら。立ち寄る度に、増えていく戦利品……。
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戦いすんで、日が暮れて。
「はー、疲れたあ!」
ミコトは自分の部屋に、大量の紙袋を下ろしてぺたりと座りこむ。
足を投げ出し、リツカは天井を仰ぐ。
「まるで戦争だよね……!」
「でも楽しかったあ! あ、お茶入れるね!」
「ありがとー! 運んだりするのは手伝うよ」
お買い物戦争のあとは戦士の休息と反省会。
小さなテーブルには、テイクアウトの焼き菓子やショコラがたくさん。
床には色とりどりのドレスやアクセサリー、その他の戦利品をいっぱいに広げて。
暖かな紅茶のマグカップを抱えて座り込みながら、チェックスタート。
「ね、今のボトムに、インナーだけ替えてみて!」
ミコトがニコニコしながら、パステルカラーにフリル盛りだくさんのトップスを広げて見せる。
「えっ! それ、私の!?」
リツカは思わず身を引いた。普段、絶対に選ばない服を着るのは、けっこう勇気がいる。
「動き易い中にも、ちょっと可愛らしさを、みたいなのでって思ったんだけど、どうかなっ!」
キラキラの目で見つめられ、リツカは仕方なくその服に着替えた。
だが不思議なもので、キレイな色、柔らかな手触りの服は、身につけてみると気持ちがふわりと軽くなる。
「ど、どうかな……?」
「可愛い! あ、髪も! こっち座って!!」
なぜかミコトのほうが嬉しそうだった。
リツカを座らせると、メイクボックスからあれこれ取り出してくる。
髪をとかし、サイドの髪を編み込み、細工の細かな髪飾りでまとめる。
「ほら、束ねるのも、こうしてサイド編んだらなんか可愛いかなって! あとね、髪止めもこんなじゃらじゃらしたのも、シンプルなお洋服にはステキだよ!」
リツカは姿見の前で、しばし呆然。
基本のスタイルは変えていないのに、確かに随分と垢ぬけて見える。
「これが……女子力……!」
「りっちゃん……?」
鏡の前で動かないリツカを、ミコトが不思議そうに見ていた。
しばらく着せ替えっこで遊んだ後は、それぞれお風呂を済ませてパジャマに着替えて。
暖かな部屋で、ふたりは向かい合っている。
その視線はそれぞれ下を向いていて……
「すっごい緊張する……」
「大丈夫だよりっちゃん! 失敗したときは、やり直せばいいんだから」
そう言うミコトも、囁き声で。
プルプル震える手でネイルカラーを塗るリツカは、真剣そのものなのだ。
どうにかベースを塗り終えたところで大きく息を吐く。
「すごい集中力だよね、みんな!」
「お疲れ様~! あとはね、こんなのあるから飾っちゃお!」
ミコトは買い込んだネイルアート用のシールを広げる。お月さま、お星さま、花に宝石、猫に蝶。女の子の大好きなモチーフばかり。
リツカはしばらくそのシールをじっと見つめる。
「……あの人は、こういうの好きなのかな」
あの人――夢の中でしか逢えない人。
他人は笑うかもしれないけど、リツカにはとても大事な人。
リツカは信じているのだ。いつかきっとあの人に逢える。
その日、あの人に相応しい自分でありたい。
そのための努力を始めてみようと、大真面目に考えているリツカ。
そしてミコトは、リツカのことを笑ったりはしない。
ミコトも不思議な夢をみる仲間だというのも、もちろんだけど。
夢の王子様を好きだと、真面目に語るリツカを、応援したいと心から思うから。
(いつかうちにも、りっちゃんみたいに、この人のために可愛くなりたいと思うような人ができるのかなあ)
今は、ぜんぜん予想もできないけれど。
「あのね、思うんだけど」
ミコトはリツカの手をとり、左手の薬指の爪にぺたりとシールを張り付けた。
「自分のことをちゃんと好きで、いつもキラキラしてることが、女子力じゃないかなって!」
リツカは自分の爪をじっと見つめた。
淡いピンクの爪には、ミコトが貼ってくれたプリンセスティアラがキラキラ。
「そう、なのかな」
「うん、たぶんね」
ふたりはふふっと笑いあう。
物語のお姫様は、王子様が来るのをじっと待っているけれど。
イマドキのお姫様たちには、待っている間にいっぱいいっぱいやることがある。
今はとにかく親友とふたりで、それを楽しんでしまおう。
ワクワクの年は明けたばかりなのだから。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka3953 / ミコト=S=レグルス / 女 / 16 / 人間(リアルブルー) / 霊闘士】
【ka3955 / リツカ=R=ウラノス / 女 / 16 / 人間(リアルブルー) / 疾影士】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お待たせいたしました!
初売りからの女子会と、盛りだくさんな1日のお届けです。
お気に召しましたら幸いです。ご依頼、誠に有難うございました!
副発注者(最大10名)
- リツカ=R=ウラノス(ka3955)