※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
●おまけノベル『ヘルヴェルの手記』

 某年1月27日。
 ――母が亡くなった。
 最近臥せりがちだったし、もういつポックリ逝ってもおかしくはなかったから別段衝撃はない。
 弟や幼馴染たちは悲しんでいるけど……あたしはどちらかというと、まあお疲れ様っていう気分。

 随分と好き放題やらかしてくれた人生だったから。
 あの人も悔いはないだろう。
 ……ないよね?
 ――いや、まだまだやり足りない言いそうだけど、そんなこと言ったら助走付けて殴るわホントに。

 母さんの棺には、生前頼まれていたものを入れた。
 父さんから贈られた結婚指輪と、誰かさんの黒い眼帯。
 眼帯の謂れは良く知らないけど、大切な人の形見だって言ってた。
 ――この2つがあったから、今の自分があるのだと。

 母さんは『半身』という言い方をしていたけれど。
 その『自分の欠けた半分』を補う存在に出会えた母さんは運が良かったし、幸せだったのだろう。

 ――自分の半身を誰かに渡すというのはどういう気持ちなのだろう。
 自分の心や身体をごっそり持って行かれるのは恐ろしい気もするし、自分の命を預けられる存在がいるというのは純粋に羨ましい気もする。
 ……現状のあたしにそういう人はいないから、余計にそう思うのかもしれないけれど。
 ――いや、大切に思う人ならいるか。
 例えば弟。……いやいや、あいつは信用ならない。
 幼馴染は大切だけれど、そういう存在ではないし。

「ヘルヴェル。お前にもいつか現れるさ。心命を賭してもいいと、こいつの為なら死ねると……そう思える相手がさ」

 ――母さんは笑ってそう言ったけど。
 あたしにもいつか。
 燃えるような想いに身を焦がす――そういう存在が現れるのだろうか……?

 ――ああ、やだやだ。
 こんなことを考えるなんて、大丈夫だと思っていたけどあたしも大分感傷的になっているのかもしれないな。
 母さんに笑われるのは癪だ。
 誰よりも強かった母さんの一子として、長女として……きちんと送り出さなくては。

 明日は母さんを送り出す日だ。
 黒い服を引っ張り出さなきゃ。
 母さんの服でもいいかな。
 ……今日はゆっくり風呂に浸かって、送り酒を飲んで……早く寝るとしよう。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ka4784/ヘルヴェル/女/20/半身について考える娘

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お世話になっております。猫又です。
おまけノベルをお届けします。

今回のおまけは、お母様を亡くした直後の話をヘルヴェルさんの目線から見たものとなります。
ノベルの方で描写しきれなかった部分を少しでもお届けできたらと思って認めてみました。
少しでもお楽しみ戴けましたら幸いです。
ご依頼戴きありがとうございました。
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
ヘルヴェル(ka4784)
副発注者(最大10名)
クリエイター:猫又ものと
商品:おまけノベル

納品日:2018/03/20 10:50