※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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願わくば健やかでありますように
――走る斬閃が空を切る、その上を翻るように舞う緋色が追い打つ用に放つ拳もまた、それらを捉えられない。
戦い続けていた。
隣に並び立つ、緋色の少女と共に戦ってすら手に余る、そんな強敵と。
その正体が何なのかはわからない。
歪虚にはよくある話である。
得体も知れず、正体も知れず……ただ、歪虚だからというだけで敵である存在。
自身の剣は折れ砕け、緋色の少女の手甲・脚甲は砕け、お互いに、満身創痍の有様で。
それでもなお、闘志を失うことは無く。
終わりはあっけなく訪れた。
ぞぶり、何かが体の中に潜り込んでくる感触。
冷たいのか、熱いのか、よくわからないけれど底冷えするようなおぞましい感覚とともに、体の自由が失われていく。
そうか、これが死なのかと漠然と感じ、自分を見下ろす緋色の少女と視線が交錯する。
その表情は黒く塗りつぶされて見えなかった。
せめて最後にその顔が見たい、そう思って手を伸ばし――そして目が覚めた。
空に向かって突き出した手を、興味深そうに白い肌の小さな手が触っている。
なんとなくやり場がなくなって引っ込めると、彼女は手を真の額へと当てた。
「うなされてた」
「それは……起こしてほしかったかな」
淡々という彼女にほんの少しだけの不満を伝えつつ、寝起きの体にかすかに残る感触を思い出す。
そういえば、草原に出かけて久しぶりの休暇を過ごしていたのだと寝ぼけが頭で再確認。
よく晴れた春の空に、程なく夢の残渣は解けて消えてくれた。
体を起こして隣に座る少女の顔をみれば、オッドアイの瞳がきょとんと真を見つめていた。
思わず、その顔にそっと手を伸ばす。
「……真?」
「あ、ごめん……つい」
やり場のなくなった手をあてもなくうろつかせながら、先程の夢の最後を思い出す。
あの時顔が見えなかった理由は――
真がその答えに想いを巡らせるのを促すように、春の風が花の匂いを運んできた。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】
【ka6633/鞍馬 真/男性/22/闘狩人】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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この度はご依頼いただきありがとうございます。
おまけノベルということで少し本編(ちょっと違うか?)の話を仮想体験していただきました。
俗に言う、夢オチというやつです。
ゲストな彼女はどんな表情をするのか想像がつかなかったので、あえてそこは伏せる形に仕上げてみました。
ラストも含めて色々当てはめて楽しんでいただければと思います。
リテイクなどありましたらお気軽にお申し付けください。
この度はご依頼ありがとうございました。
――紫月紫織