※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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まあ、それはそれとして。
目を覚ますとそこは、馴染みのない景色だった。
「……!?」
慌てて身体を起こす。掛けられていた毛布がずり落ちる感触がした。まずしたことは、視線を巡らせてこの部屋の主を探すことだった。
「あ、起きたんだ」
見つけ出す前に声がする。
探していた相手──伊佐美 透は真が動いた気配にだろう、台所からひょいと顔を出して覗き込むようにこちらを見ていた。
「……ごめん、寝ちゃったのか……」
「いやこっちも雑魚寝させておいて済まない。大丈夫か?」
言って透は一度再び台所に引っ込むと、水の入ったコップを手に戻って来た。二日酔いという訳ではないが、酔い覚めの水は有難い。感謝して受け取ることにする。
それにしても、寝落ちとは。気が抜けてたとはいえ、そんなに疲れていただろうか。一息ついてから、改めて謝ろうと──して。
思ったより真顔で相手がこちらを見つめているのに気がついた。
「えっ……と、本当に、迷惑かけてごめん」
「いや、迷惑なんて思っちゃいないんだ……が」
とりあえず、誠意をもって詫びの言葉を述べると、透はそんなことじゃない、と言いたげに肩を竦めた。
「まあなんだ。寝落ちで言い逃げするのは狡いと思う」
「……え、と?」
「そっちがその気ならこっちにだって言いたいことは山ほどあるんだからな」
「ちょっと待って!? 私何言ったの!? 思い出すから!」
不穏な空気に、こめかみを押さえながら昨晩の記憶を探る。記憶を飛ばすような下戸では無かったはずだ。そう、昨晩の会話だってちゃんと思い出せる……──
「君は本当、良い奴だよな」
が、はっきりと思い出す前に、慌てる真にお構いなしに、透は話し始めた。
「なんだかんだ、誰かの為ってその一点で君はブレないだろ。必要な時に必要なことが出来る奴でさ。凄いよなって思うよ」
「え、いや……」
「他の奴と一緒に居るとさ。慕われてるし、頼られてるよなって思うよ。立派だよな」
じわじわと。
事態を把握しつつはあった。確かに『その手の事』であれば彼に何か言った記憶はある……けど。
「俺も。やっぱり君が居ると安心感が違うよ」
「待って待って! 私そこまで言ってない……よね?」
「いや。昨晩俺がされたことはこんなもんじゃないと思ってるが」
もうしばらく続くらしい透の言葉を、まだ残る酒の感覚にどこか遠く聞きながら、思った。
──私は昨晩本当にそこまで言われるようなことを、しただろうか……?
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka5819/鞍馬 真/男性/22/闘狩人(エンフォーサー)】
【kz0243/伊佐美 透/男性/27/闘狩人(エンフォーサー)】(NPC)
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ご発注有難うございます。おまけノベル的おまけエピソードです。
振り回される透という発注分をぶん投げる酷いライターだなと我ながら思います。
すみませんでもこういう奴なのです。
改めまして、今回もご発注有難うございます。