※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
-
注文の多い露天もち肌美人の湯♪
「うふふ~、もち肌美人でモテモテですよぉ」
今日もにこにこうふふるんるんな星野 ハナ(ka5852)、からっと引き戸を引いて女子更衣室に入りました。
「ハナさん、待って待って~……ほへ?」
南那初華(kz0135)が小走りに続きますが、何かに気付いたようですね。
「どうしました、初華さん~」
「これ」
近寄るハナに初華が指差したのは、壁の張り紙です。
文面は「ようこそ、美人の湯へ」。
「しっとりした湯が肌に優しく馴染み「ハリが出た」、「瑞々しくなった」と評判の湯です。身も心も温まるひとときをご堪能ください……素敵じゃないですか~。これで私たちも美人の仲間入りですよぉ、いまどき強カワやキモカワやエロカワじゃモテませんからねぇ。これからは美女カワですよぉ」
「……なんか言ってることめちゃくちゃな気もするけど私、強くもキモくもエロくもないもん」
「それはなんですかぁ? 私がキモくてエロいとかそういうことが言いたいんですかぁ? どの口がそんなこと言うんですかこの口ですかそれともこっちの口ですかぁ?」
「ああん、口の端右と左を摘ままにゃいれ~っ! ハナしゃん、キモくもエロくもにゃいれしゅ~っ!」
お話の途中ですが、世の強カワとかキモカワとかエロカワのキャラがモテてないとかいう内容ではないので誤解なきようお願いしますね。
閑話休題。
「とにかくぅ、早く入ってそこに書いてあるように「もち肌美人の湯で肌も心も美しく」ですよぉ~」
「……気になったのはその下なんだけどね」
ブラのホックに手を掛けつつ背中越しに言うハナに、背中を開けて肩から衣装を落とす初華が口を尖らせます。
「その下ですかぁ? ええと、「湯に餅を入れてももち肌にはなりませんので持ち込まないでください?」……そんな人、いるんですかねぇ」
「ちょっと前に注文の多い露天温泉入った時、湯に餅が入ってたの。で、大きな鬼が出て来て私たち、鍋の具材として食べられそうになったのよ! ……ほら、「湯船にタオルを巻いて入ると美肌効果に影響するのでタオルは湯に漬けないでください」って。前もそうだったし」
「えぇ~、湯船にタオルを漬けないのは普通ですよぉもしも鬼が出てくるならちゃちゃっとブッ殺ですぅ。もち肌美人になった私たちを狙うのならおびき出して先制攻撃ですよぉ」
「先制攻撃?」
初華、思わぬ流れに汗たら~です。
「そうですよぉ。ちょうど初華さんなんか食べごろじゃないですかぁ。後でケーキを作ろうと思って生クリームを持ってきてますからぁ、初華さんをケーキにしておびき出しですよぉ」
「ほへ? なにそれ。っていうか、なんで生クリームもってんの! しかも絞ろうとしてるしっ!」
「別にいいじゃないですか~。ほらほら、デコっちゃいますよぉ~」
「いやん、冷たい! んもう、こうなったら……」
あ。
初華、がさごそと荷物から何か取り出しましたよ?
「こっちだって、後でクレープ焼こうと思って生クリーム持ってきたんだからねっ」
「あ。やりましたね~。それならもう思い切って大胆に攻めちゃいますからね~。うふ、うふふふふ……」
「あーっ、そんなとこっ……んもう、こっちはさらにカットフルーツだって持って来てるんですからねっ」
「うふふふ、それじゃロウソク責めですよぉ」
とかなんとかドタバタやり始めました。仕方のない二人ですね。
「あっ!」
「どうしました、初華さん」
「生クリームどんどん垂れちゃう!」
当たり前ですよね。
「そうなると思って胸と肩を中心にデコったんですがぁ……仕方ありませんねぇ。さっさとお風呂まで行くしかないですぅ」
「そ、そだね!」
アンダーバストに手を添えて胸を支え生クリームが垂れ落ちるのを支える二人。もう相手にデコってる場合ではありません。デコったはずの生クリームは形が崩れ、すでに素肌はあまり見えない状態になってますね。
とにかくぴちゃぴちゃと白いクリームをこぼしつつも露天風呂への引き戸をがらり。
「わあっ」
「これはすごいですぅ……」
開けた光景は、大きな湯船にもこもこ立ち込める湯煙。庭園を思わせる石組の遠くには紅葉で色づいた山々が借景となる雅な空間でした。
「さすがに有名な温泉ね~」
「……これ、本当に鬼ってでるんですかねぇ……」
感心する初華とは対象に、ハナは現実的な心配をします。
その時でした!
「こりゃっ! あんたたちっ!!」
振り返ると鬼……ではなく、温泉の従業員さんがいました。
目を吊り上げ声を荒げて鬼のようにおかんむりです。
「そんな汚れた……食べ物を粗末にするような格好は何ですかッ! 絶対にそのまま湯船には漬からないでくださいねっ」
激しく怒られました。
まあ、当然ですよね。
「あの……初華さん~?」
ハナ、ごごごと怒りを溜め込み初華に詰め寄ります。
「ああん、ごめんなさい~っ」
この後二人で体を良く洗ってから湯船につかりましたとさ。
━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・
登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
【ka5852/星野 ハナ/女性/24/符術師】
【kz0135/南那初華/女性/17/猟撃士】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
星野 ハナ 様
いつもお世話様になっております。
ハナさんでお任せですか、それなら何か残念女子なお話を……とか思ったのですが、温泉です。
注文の多い温泉シリーズの二例目にしちゃいました。
で、初華を付けたのはいいのですが……。
いや、本当はちゃんと鬼が出て来て退治する話をしようと書き始めたのです。
湯に漬かる前に鬼が出て来てハナさんがブッ殺にするお話のはずだったんです。そう書いてたんです。
そしたら何と!
ハナさんたら初華を囮にする作戦を口にするじゃないですか。いや口にするばかりか本当にやり始めるし!
あーあ。
二人とも生クリームだらけになっちゃって。
本当はこんな展開になるはずじゃなかったのに……(
で、これはいくらなんでもよろしくないだろう。昔はお笑い番組でケーキに顔を突っ込んで生クリームだらけとかありましたが今ではNGですからね。食べ物を粗末にしているということで。
というわけで、予定外の鬼の登場。一般良識を説くということで、良い子はマネしちゃいけませんよという作品になりました。
あ。
いや、ごめんなさい。
ハナさんが悪いんじゃなくて実際に書いてしまう私が悪いんですけどね。
とりあえず、ひどい目に遭う様子をお楽しみくださいませ。
っていうか、今回温泉側に注文多くないし!
そんなこんなで、ご発注ありがとうございました♪