※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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まさかの訪問者
お散歩に行こうか、おこたでのんびり過ごそうか。
考えつつ水のグラスを手に柊が部屋へ戻ってくると、
「はにゃ?」
先程閉めた雨戸がうっすら開いていた。
「閉めませんでしたっけー?」
首を傾げつつ閉じると、雨戸がカタンと鳴る。
「……この音、さっきも聞きましたよねぇ?」
不思議に思いながら部屋に入ろうとすると、何と障子まで少し開いていて。
(まさか……泥棒、とか)
ハンターなのでそんじょそこらの泥棒ごときに負ける柊ではないけれど、家の中に知らない誰かが……と思うと背筋に冷たいものが伝う。
ごくりと喉を鳴らし、障子の隙間からそぅっと部屋の中を覗く。
……と、突如火鉢の縁からキノコが生えていた。
いや、よく見るとピンクのワンピースを着たパルムだ。縁に腰掛け、小さな手を炭の方へ突き出している。
「パー子さんじゃないですかぁ! びっくりしましたよぅ」
ホッと胸を撫で下ろし部屋に入ると、何故かパー子はギギギッと音がしそうなぎこちなさでこちらを振り向き、引きつった笑顔で片手を挙げた。
「どうしましたぁ? またケンカでもぉ……」
そこまで言ってハッとなる。
パー子はいつからそこに居た?
部屋に入ったのは、柊が部屋を出たあとで間違いない。
そこは間違いないとしても、思い返せば結構な大声でひとりごとを言っていた気がする。
家の中にいなくとも、庭まで来ていたなら聞こえていたのでは……?
柊はグラスを脇に置き、ちんまりとその場で正座する。
「あのぉ……パー子さん? つかぬことを伺いますがぁ……いついらしたんですかー?」
その言葉にキョドり縁からびょんっと飛び上がるパー子。
「……もしかしてー……聞こえてましたぁ? その……私の、ひとりごと……」
パー子は頭の茸笠がもげんばかりの勢いで首を横に振りたくり、そわそわ視線を彷徨わす。
(あ。これはぁ……!)
柊は思わず膝でにじり寄り、両手でパー子をはっしと捕まえた。
「お願いですから、記録に残したりしないでくださいねぇっ? 絶対報告書に書いちゃいやですよぅ、神霊樹に報告したらダメですよぅ!?」
手の中でがくがく揺さぶられつつ、パー子は『良いもの聞かせて貰ったゼ』と言いたげにニヒルな笑みを浮かべ、ぐっと親指を立てる。
「~~ッ。……も~ぉ!」
折角背筋がひんやりしたのに、また肌が火照ってきて。柊は水を一息に飲み干すと、さてどうしたものかと改めて考え始めたのだった。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6302/氷雨 柊/女性/20/縁を絆へ】
ゲストNPC
【パー子/パルム駄ハンターのペット】