※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
白猫と白猫娘

「ただいま帰りましたよぅ」

 からりと玄関を開け帰宅した主―― 氷雨 柊(ka6302)を出迎えた白猫は、彼女の姿を見て驚いた。
 少女のような外見ながら、精霊や祖霊と契約し、日々歪虚と戦う主。
 おっとりとした雰囲気の彼女が、身の丈を超す大戦斧を携えているのはその為だ。


 それは、良い。


 問題は、主の銀色の髪の間からぴょこりと生えた三角耳。
 そして背後ではふさりと同じ色の尾が揺れている。
 まるで猫の自分とそっくりじゃないか。

 じぃっと見上げていると、それに気づいた主は、縦に割れた瞳孔に変化した目を瞬く。

「どうしましたぁ? ……ああ、この姿ですかぁ? 今日は近くでお仕事だったんですよぅ」

 言いながら、白銀の耳をついっと抓んで見せる。

「気持ちはすっかり落ち着いたんですけど、まだ覚醒が解けなくってぇ」

 のんびりと話しながら、玄関で汚れた装備を解いていく。
 動くにつれ、長い尾がふさふさと揺れ、白猫はうずうず。

「これで森に平和が戻ると良いんですがぁ」

 ふさふさ、うずうず。
 ついに白猫、我慢できなくなって尾の先に飛びついた。

「ひあっ!?」

 びくぅっと肩を跳ねさせる主。
 どうやら感覚はあるらしい。
 面白くなって、白猫は逃げていく主を追い回す。

「いやですよぅ、擽ったいんですからぁ」

 なるほど、擽ったいのか。
 白猫は両手でぱしっと器用に尾を捉えると、先っぽをガジガジかじってみる。

「痛ッ! もう、おいたはだめですー」

 くるりと丸められてもしつこく追いかけ、今度は丹念に舐めてみる。

「はうう、猫さんのコミュニケーションなのは分かりますがぁ……ざらざらの舌、擽ったいですよぅ」

 主はしばらくふるふるしながらじっと堪えてくれていたが、しばらくして堪えきれずまた逃げ出した。
 廊下をとてとて走る銀繻子猫娘を、音もなく追跡する白猫。

「確かに猫の耳としっぽですけどぉ、私は猫じゃありませんよぅ!」

 けれど懸命に逃げれば逃げるほど、しっぽの動きは激しくなって。
 白猫はますます追いかけずにはいられなくなる。


「だめですー」

 ――やだ、さわりたい!

「噛まないでくださぁいっ」

 ――じゃあ、なめるだけ!

 日本家屋を舞台にした銀猫娘と白猫の追いかけっこは、彼女の覚醒が解けるまで続くのだった。





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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6302/氷雨 柊/女性/20/霊闘士(ベルセルク)】
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
氷雨 柊(ka6302)
副発注者(最大10名)
クリエイター:鮎川 渓
商品:おまけノベル

納品日:2017/07/26 13:12