※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
その時の彼の事

 そのときの高瀬 康太はと言えば、冷静だったかといえば実のところ──お察しの通りかもしれないが──かなり混乱していた。彼女、メアリ・ロイドが何を言っているのか、差し出されているのは一体なんなのか、まるで分からないし、聞くほどにむしろわからなさは増していったと言えた。
 逆にそのことが、話を切り上げることを躊躇わせたのか。興味ない、と言ってさっさと席を立てばこの場は終わるのだろう。思ってもそれが実行出来ないのは……つまり状況が把握しきれていないから、その判断が正しいのか確信しきれない。索敵をせずに敵陣に突っ込むような心地にさせるからだと、軍人らしく彼はそう感じていた。
 彼の感覚の上で、愛情と言うものを知らないわけではない。その意味を否定するわけでも。といって、彼自身に恋愛の経験があったわけではない。その下敷きにあるのは両親だ。軍人と、その上官の娘の見合い結婚。それでも家族は健全に機能していたし、つまりそこに横たわっているのが愛なのだろうと。
 己も順当に行けばそうした形で愛を築くのだろうと、それが彼の想定だった。安定した家庭環境ゆえの鈍感と潔癖。責任ある態度としていずれ家庭は持つべきであるが……もはや自分はそこからは外れた存在となった。
 そんな彼の感覚からすれば彼女が語るそれは彼が愛と呼ぶべき形から大きくかけ離れているし、彼はもう愛を向けられるべき相手ではない。だから分からない。これは一体何で、自分はどうすべきなのだろうと。
 不安定だ。そう、受け入れ難いのはあまりに不安定なものに感じられたからだ。それは即ち、ハンターへと向けていた不信の形だ。無作為に選ばれた民間人による個人戦力。軍の理念としては主戦力を担わせるにはあまりに不安がある。拗れた感情はあっても根本的な考え方の全てが誤りだったとも思っていない。そうは言っても、素直に戦果を見れば彼らが幾度も期待を越えてきたのは純粋な事実ではあった。
 ……今、彼らに。横にいる彼女に向ける感情は何なのだろう。戦場で見てきた彼女の姿、かけられた、思ってもみなかった言葉の数々。不確定に揺らぐそれを、不安定とは別の言葉にするのなら。
 一つ、思い浮かぶ単語はあった。
 ──可能性、だ。
 予想を上回る成果を、奇跡を起こしうる何か。
 不確定を識別したときそこにあるのは何なのだろう。問いかけを重ねていたのは、つまりそういうことなのだろうか。




━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛

【ka6633/メアリ・ロイド/女性/20/機導師(アルケミスト)】
【kz0274/高瀬 康太/男性/24/猟撃士(イェーガー)】

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
ご発注有難うございます。
おまけノベルは、そんなわけであんな対応しておいて絶賛大混乱中の康太君をお届けします。
なお凪池も結構混乱中です。
そんなわけでしてなんだかとりとめもない文章になってしまいました。
改めまして、ご発注有難うございました。
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0

発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
メアリ・ロイド(ka6633)
副発注者(最大10名)
クリエイター:凪池 シリル
商品:おまけノベル

納品日:2019/02/19 09:31