※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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祀られる蛇
メアリの住む離れから少し歩いたところに、その社はひっそりと佇んでいた。
不自然にねじ曲がった木々が生い茂り、暗がりとなってそこを隠していたために、知らなければそのまま通り過ぎてしまうような、そんな隠れ家のような場所。
女将さんの話では、何度か剪定したものの同じように生い茂ってしまうという。
祀られている方がそういうのを好むんだろうねぇ、なんて冗談めかして言っていたが、実際にそれを目の当たりにするとその言葉は存外真実味を帯びていたように思える。
「失礼します」
声をかけてから、覆いかぶさるように茂る蔦をかき分けて奥へと足を踏み込む。
――
『この宿には蛇の精霊様が祀られてるんだよ』
『蛇の……ですか?』
頷く女将さんを前に、一見して普段と変わらないままのメアリの内心に疑問が浮かぶ。
つい先日、地上げ屋の二人組を追い払ったときに見た幻視も、蛇ではなかったか?
かつて居た世界であれば、ただの偶然と思ってキにしなかったかもしれないそれは、こちらの世界においては現実味のある符号だった。
『その話、よろしければ詳しく聞かせて頂けませんか?』
――
社の前に鎮座する御神体、蛇をかたどったその姿に、先日みた幻視の姿が重なった。
萎びた捧げ物の花を変え、空になっていたお猪口に酒を注ぐ。
「あなたなのですか?」
そっと神体のまえに酒を捧げながら口にしてみるけれど、流石に返事はなかった。
だが、心の何処かに確信があった。
片付けを終え、去り際に霊をする。
あの時覚醒できていなかったら、女将さんも自分もどうなっていたかわからない、その御礼も込めて。
メアリが去った後、社は再び蔓のカーテンに覆われて暗く覆われる。
その影の中、赤い双眸がしばしの間彼女の居た場所を見つめていた。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】
【ka6633/メアリ・ロイド/女性/20/機導師】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
この度はご依頼いただきありがとうございます。
シングルノベルの後日譚、という感じで書かせて頂きました。
契約精霊は蛇とのことでしたが、何処に居たんだろう?
と考えたら、多分側に……祀られていたんじゃないかなぁと。
口調、内容など気になることがございましたら遠慮なくリテイクをお申し付けください。
この度はありがとうございました。
――紫月紫織
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