ヴォイド


小型の個体をまき散らす大型ヴォイド。
500m級の大型母艦である。
 火星で遭遇した異星生物の総称。「変異生命体侵略領域(Variable organism invading domain)」の頭文字からトマーゾ教授が命名した。
 その形態、行動から少なくとも3種、あるいはそれ以上の異星人の連合勢力と考えられている。はっきり分かる形で遭遇したのは火星探査の際だが、実際にはその数十年前に地球へ進出していたようだ。
 2012年、地球へ第一陣が侵攻してきたが、結成直後の連合宙軍により辛くも撃退された。当時の連合宙軍は作業用舟艇とその母艦などからなり、軍とは名ばかりのものであった。以後の大規模侵攻は行われていないが、火星には第一陣をはるかに凌ぐ戦力が残っていると推測されている。
 現在、地球や月に降下した残存勢力が潜伏、襲撃を行っており、市民生活に大きな影響を与えている。

 確認されているヴォイドの戦闘力は(例外はあるものの)概ねサイズに依存している。数十センチ程度の小型の個体から、最大で数百メートルクラスの物までが確認されている。1m前後のヴォイドは携帯可能な兵器でも対応な個体もあり、素手やナイフでヴォイドを倒した事例も報告されている。(とはいえ、それは極めて特異な状況による物である)
 リアルブルーにおいて目撃された一般的なヴォイドは悪夢の中の怪物のような造形であり、左右非対称の甲殻類の如き形状をしている。宇宙空間での活動も確認されているが、それらが乗り物なのか生命体なのかは不明。
 これまでに確認された限りでは、撃破されたヴォイドは緩やかに分解し、残留物はさほど残されていない。


リアルブルー(地球)の歴史

 1990年  このころより、正体不明の飛行物体や怪物の目撃例が増える。
 2010年代の連合宙軍の追跡調査によりヴォイドの先遣隊が多く含まれていたと判明した。
 2000年  トマーゾ・アルキミア教授により反重力機関の発明。月面基地計画、スペースコロニー計画の開始。
 2006年 月面基地【崑崙】完成。以後の宇宙開発拠点となる。地球統一連合の発足。連合宙軍創設。
 2009年 地球静止軌道上に実験型スペースコロニー【NGY01】完成。その後の、同型コロニーの先駆けとなる。
 2011年 火星探査計画開始。同年中に火星へ到達するも、謎の敵との交戦により調査団は壊滅。
 謎の敵をヴォイドと呼称。調査の結果、ヴォイドは火星由来ではないとされるも、
 統一連合議会は報告を退ける。
 調査団に作業目的で同行したCAMが予想以上の善戦を行い、軍の一部の注目を受ける。
 2012年 ヴォイドの地球圏への大襲来。
 連合宙軍がかき集めた間に合わせの艦艇群により月軌道で撃退される。
 CAM、対ヴォイド戦闘における有効性を再び立証。
 大きな被害を受けた連合宙軍は月軌道内の制圧能力を喪失した。
 数を減らしたヴォイドの残党は分散して月面、地球、コロニーへと侵入。
 地球統一連合主席、非常事態宣言。
 2012年 サルヴァトーレ級宇宙戦艦の建造開始。目的は地球圏内のコロニー防衛、並びに火星探索。
 2013年10月7日 サルヴァトーレ・ロッソ、ヴォイドの襲撃を受けるも【NGY04】より出港。
 艤装状態は8割程度であったという。
     同16日 民生コロニー【LH044】を救援し、民間人多数を救助。
     同19日 消息を絶つ。

トマーゾ・アルキミア教授

 反重力機関を発明した連合宙軍所属の天才科学者。
 1999年以前の経歴、卒業大学などすべてが不明で、連合宙軍で作られた人造コンピュータとも噂されている。
 本人の申告によれば、2014年時点で84歳である。


反重力機関

 0.6m×0.6m×0.6mの立方体。これ一つを固定する事で666kgまでの質量に掛かる重力をキャンセルできる。
 「大きな反重力機関」は存在せず、必ず上記サイズの物しか作れない。大きい物体を移動させる際には複数設置する。
 キャンセルする物体の質量のみが問題となり、大きさ、形状は問わない。
 また、重力をキャンセルするだけなので移動する場合は別途動力が必要となる。
 製造方法については開発者のトマーゾ教授以外に理解できておらず、機械的に模倣しても完成できない謎の装置である。