※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
―― そんなふたりの、甘く長い夜 ――

「……ふぅ」
 Celestine(ka0107)は小さなため息をつきながら、仕事相手への手紙を書いている。
(リックに、会いたいですわね……)
 愛する人、リック=ヴァレリー(ka0614)のことを思いながら、心の中で呟く。
 夜になれば会えると分かっていても、疲れていると余計に愛しい人に会いたくてたまらない。
「これをお願いします。くれぐれも間違わないようにね」
 仕事相手への手紙を書き終え、セレスは傍に控えていたメイドに便箋の束を手渡す。
(次の仕事に取り掛からなくては……遅くなった分だけ、リックとの時間が減りますし……)

 セレスが仕事をしている間、リックは趣味のDIYに精を出していた。
「我ながら結構上手く出来たな、これならセレスも気に入ってくれそうだ」
 彼が作った物は花の形をした小物。
 以前から作りたいと思っていた物だけど、中々時間が取れずに先延ばしになっていた。
(まぁ、でもセレスのことだから俺が作った物はなんでも喜んでくれそうだけど……)
 自意識過剰ではなく、リックは心からそう思っている。
 リック自身がセレスのすべてを愛しているように、セレスもリックのすべてを愛おしく思っている、それが分かるから一生懸命作った物を気に入らないなんてことはないのだ。
(……それに、俺がセレスの気に入らない物を作るなんてありえないからな!)
 自信作を前にして、リックは満足気に微笑み、夜にでもセレスに渡そうと心の中で呟いた。

 そして、ふたりが待ちに待った夜――……。
 リックの寝室に、控えめなノックが響く。
「……リック、まだ起きていますか?」
「うん、起きてるよ、入っておいでよ」
 リックの言葉にセレスはホッとしながら、おずおずと室内に入ってきた。
「仕事は終わった?」
「ええ、今日の分は。明日は明日で結構忙しいんですけどね」
 セレスは苦笑しながら呟き、リックの隣に腰を下ろす。
「俺も手伝えたらいいんだけどね、セレスの仕事に出張るわけにもいかないし……」
 リックが申し訳なさそうに言うと、セレスはゆっくりと首を振った。
「そこまでリックに負担をさせようとは思っていません、だから気にしないでください」
 セレスの優しい微笑みに、リックは少し照れながら彼女の肩を抱き寄せる。
「……っ!」
 突然、抱き寄せられたことにセレスは驚くけど、すぐに幸せそうな笑みを浮かべた。
「リックは、今日何をしていたんですか?」
「これを作ってたよ、ほら」
 そう言って、リックは花の形をした小物をセレスに差し出す。
「……可愛い」
「気に入ってくれた?」
「もちろんですわ! リックが私のために作ってくれたんでしょう? 気に入らないはず、絶対にないですから……!」
 自分が考えていたことと同じようなことを言われ、リックは自然と笑みが零れる。
「……リック、何を笑っているんです? 私、おかしなことでも言いましたか?」
 不思議そうな表情を見せて、かくり、とセレスが首を傾げる。その仕草がたまらなく可愛くて、リックはセレスを抱き寄せる腕に、少し力を込めた。
「俺もね、セレスが気に入らないはずないんだって思っていたよ。言葉だけを聞くと、ちょっと自信家的な言葉に聞こえるけど……でも、自信家でもいいのかな?」
 リックは自分に問い掛けるように呟き、セレスの疑問は増していくばかり。
「だって、セレスのことを一番分かっているのは、俺だろ? セレスのことに関してだけは、俺、これからも自信家でいるようにするよ」
 リックの言葉に、セレスは嬉しさで頬を弛ませる。
「……ありがとう、でもどうしてさっきからチラチラと私を見るんですか?」
 視線の理由に気づきながらも、セレスは少し意地悪を込めてリックに問い掛ける。
「い、いや、その……その寝間着、初めて見るなぁって」
 セレスが身に纏っているのは、シルクのネグリジェ。つやつやした肌触りが心地良い。
「ふふっ、新しく買ったんですよ。リック、これを着た私は――……どうですか?」
「……どうですかって、そういう質問、ちょっと意地悪だよ」
 リックは頬を赤く染めながら、視線を泳がせる。
「意地悪じゃありません、ちゃんと旦那様の感想を聞きたいと思うのは当たり前でしょう?」
「……似合ってるよ」
 視線を逸らしながらも、リックはセレスのネグリジェについて感想を呟き始める。
「セレスは、肌も白いし……そういうシルク系が特に似合うと思う。そういうデザインも好きだし――って言うと、なんか変態臭くなりそうなんだけど、あぁ、もう何を言ってるんだろ」
 よほど焦っているのか、リックはリンゴのように顔を真っ赤に染めて早口でまくしたてる。
「ふふっ、ありがとうございます」
 セレスも照れくさそうに微笑みながら、お礼を言う。
 そして、どちらからともなく唇を重ね、お互いに身体を寄せて、ひとつのベッドに横になる。
「私、リックと出会えて……幸せですよ」
「それを言うなら、俺だって。これからもずっと一緒にいような」
 お互いに微笑み合い、再び唇を重ねた。
 リックとセレス、愛し合うふたりの夜はまだ終わらない――……。


―― 登場人物 ――

ka0107/Celestine/女性/21歳/エルフ・魔術師(マギステル)

ka0614/リック=ヴァレリー/男性/18歳/人間(リアルブルー)・闘狩人(エンフォーサー)

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Celestine 様
リック=ヴァレリー様

こんにちは、今回はご発注頂き、ありがとうございました。
ご夫婦の1日的な内容でしたが、いかがだったでしょうか?
気に入って頂ける内容に仕上がっていれば幸いです……!

今回は書かせて頂き、ありがとうございました。
また機会がありましたら、どうぞ宜しくお願い致します!

2015/8/16
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
Celestine(ka0107)
副発注者(最大10名)
リック=ヴァレリー(ka0614)
クリエイター:水貴透子
商品:WTツインノベル

納品日:2015/08/17 15:34