※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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―― 3姉妹の川遊び ――
夏真っ盛り、レインフォード3姉妹は郊外の川辺へ涼みにやってきていた。
「暑い時は水遊び♪ 一番に行くのだー♪」
一番初めに川に入ったのはネフィリア・レインフォード。3姉妹の次女であり、一番活動的なのも彼女なのではないだろうか。
白のツートップ水着が降り注ぐ太陽の光を浴び、とても眩しく思える。
「本当にネフィは元気ね、あまりはしゃぐと転んじゃうんじゃない?」
長女のフローレンス・レインフォードは川の中ではしゃぐネフィリアを見て、苦笑気味に呟く。
「……ネフィ姉さま、楽しそう……」
末妹のブリス・レインフォードは水遊びをするネフィリアを見ながら、ぽつりと呟く。
「水遊びに出掛けると決まった時、一番はしゃいでいたのがネフィだったものね」
ブリスの言葉に頷きながら、フローレンスも呟く。
「うーん♪ 冷たくて気持ちいいのだ♪ 二人とも、早く入ってくるのだ♪」
ばしゃ、と川の中を歩きながらネフィリアがフローレンスとブリスに言葉を投げかける。
「私達はもうしばらくここで涼んでおくわ、ネフィは思いきり遊びなさい」
「……ブリスも、もうすこしここに、いる……」
可愛らしい外見に似合うワンピース水着を着たブリスが言葉を返す。子供っぽいデザインの水着だけど、胸の部分が少しキツいらしく、ブリスは眉をひそめている。
「もー! せっかく川に遊びに来たのに僕だけで遊ぶなんて楽しくないのだ……!」
ぷくっと頬を膨らませながら、ネフィリアがジロリとブリスとフローレンスを睨む。
ネフィリアとしては水遊びも楽しいけれど、姉妹そろって川辺に来られた事の方が嬉しいらしい。
だからこそ、1人で遊んでいる今の状況が悲しいのかもしれない。
「せっかく来たんだからもったいないよー?」
ネフィリアは手足をばたばたとさせ、まるで子供が駄々をこねているような姿に、フローレンスも笑みが零れる。
「あんまり暴れていると転んで怪我をしちゃうかもしれないわよ?」
フローレンスが苦笑気味に呟くと「むー! 僕はみんなと一緒に遊びたいのだ!」と余計に暴れ始め、フローレンスとブリスは少し呆れたような笑みを零した。
「――……わっ!」
「ネフィ姉様……!?」
暴れすぎたらしく、ネフィリアは足を滑らせてしまい転んでしまう。
「ネフィ! 大丈夫……!?」
どぼん、と川の中に沈んだ妹の姿を見て、さすがのフローレンスも慌てたけど――……。
「いったぁい! うぅ……石につまづいて転んじゃったのだ……」
全身ずぶ濡れになった状態で川から身体を起こしたネフィリアの姿は――。
「……ネフィ姉様、水着がないの……」
岩に引っかけたらしく、ネフィリアの胸を隠す部分がなくなってしまっていた。
「あれっ! どこにいったんだろう!」
ネフィリアは胸を隠すこともしないまま、じゃぶじゃぶと水を掻き分け、なくなった水着を探しているが、どうやら流されてしまったらしく、その辺りには存在しなかった。
「あや? ……うーん、こうなったら水着なんていらないよね? 全部脱いじゃうのだ♪」
すぽーん、と最後の水着も脱いでしまい、ネフィリアは生まれたままの姿を2人に晒す。
ここにはフローレンスとブリスの2人しかいないが、通りすがりの男性がいたら、恐らく鼻血モノであり、清く澄んだ川は血の川となっていたかもしれない。
「どうせ誰もいないし、姉様とブリスも水着脱いじゃうのだ♪」
「ちょ、ちょっと……!」
恐ろしいことを言い出す妹に、さすがのフローレンスも一歩退いてしまう。
妹だからこそ、冗談とそうでない時の区別が出来るわけであり、今の状態のネフィリアは『本気モード』である。
「ネフィ。誰もいないからって裸になるのは良くないわ、ここを誰も通らないって確証があるわけじゃないのよ?」
フローレンスは狼狽えながら、ネフィリアに水着を着せようとするが、既に気分はすっぽんぽんらしく、水着を着ようとしない。
……と言っても、半分はなくなっているから水着を着る意味も半減しているのだけど。
「えーい♪ みんなで仲良く裸のお付き合い~♪」
「……っ!? フロー姉様、水着が……っ」
ネフィリアがフローレンスの身に着けている紐ビキニの紐を「えいやっ」と解く。
その後はもちろん脱げてしまうのみであり、ブリスが慌てて水着を押さえようと手を伸ばしたのだけれど――……。
「ブ、ブリス……!?」
恐らくブリス自身に悪気はない。
むしろ水着が落ちそうになるフローレンスを助けようとしたのだろう、しかしブリスの手を水着はすり抜け、フローレンスの胸をわしづかみにしていた。
「……っ!?」
目の前の出来事に、ブリス自身も驚きで硬直してしまい、大笑いするネフィリア、恥ずかしそうに頬を染めるフローレンス、固まるブリスの3名のみが残されている。
「あ、あんっ……ブ、ブリス……? そろそろ手を離してくれると嬉しいんだけど……」
むにゅむにゅと感触を確かめるブリスに、フローレンスが苦笑気味に言葉を投げかける。
「はっ……ご、ごめんなさい……ブリス、フロー姉様の水着を守ろうとしたんだけど……」
しょんぼりとしながら呟くブリスを、フローレンスは優しく抱きしめる。
「分かっているから気にしないでいいのよ。ありがとう」
ブリスの頭を撫でながら、フローレンスは(どうしようかしら)と心の中で呟く。
「ほらほら、2人とも水着脱いで川に入っちゃうのだ~♪」
ネフィリアはフローレンスとブリスに水を掛けながら話しかける。
「ネフィ姉様……裸、恥ずかしい……」
「大丈夫なのだ! 僕達以外は誰も見ていないんだから♪」
もじもじと恥じらうブリスにネフィリアは腰に腕を当てながら言葉を返す。
その行動だけ見ると、どことなく『漢』に見えて、妙なたくましさを感じさせた。
「……姉様達だけなら、いい……かも」
ブリスは恥ずかしそうに呟いた後、ネフィリアのように水着を脱いで川に入る。
「もぉ、この娘達は……仕方がないわね」
ブリスまで水着を脱いだのを見て、フローレンスは深いため息を吐く。
けれど、妹に激甘のフローレンスがこれ以上『やめなさい』と言えるはずもなく、妹達に流されるようにして、水着を脱ぎ始めたのだった。
※※※
「わわ……っ、ま、待って……ネフィ姉様……」
少し深い所に連れて行こうと、ネフィリアがブリスの手を取って歩いている。
「大丈夫、大丈夫♪ いざって時は僕や姉様が助けてあげるから♪」
「ネフィ。あんまり危ない所にブリスを連れてっちゃ駄目よ?」
「大丈夫だって♪ ほら、行くよー♪」
更に強く手を引き、ブリスは「わっ……」と足を躓かせてしまう。
さっきのネフィリアのように、川の中にどぼん、と沈んでしまった。
「ブリス!」
フローレンスが慌てて駆け寄ろうとするけど、すぐさまネフィリアが助ける。
「ブリスはドジっ子だなぁ、ほら、大丈夫?」
げほげほ、と咳き込むブリスの背中を擦りながらネフィリアが優しく言葉を掛ける。
わんぱくな部分が多いけれど、ネフィリアも妹のことを守る気持ちは強いらしい。
「姉様もほら、早くこっち来るのだ♪ ブリス、姉様に水掛けちゃうよ!」
「え、え、で、でも……っ」
ブリスは戸惑っているけど、ネフィリアに逆らえなかったらしく、言われた通り、フローレンスに向けて水を掛けている。
「……あなた達、覚悟は出来ているわね?」
髪の毛までぐっしょりと濡れてしまい、フローレンスがにっこりと微笑む。
「うぐっ、な、なんかやばそうな雰囲気……!」
「ネ、ネフィ姉様がフロー姉様にお水を掛けるって言うから……っ」
「待ちなさい、2人とも!」
川の中での追いかけっこが始まってしまい、楽しそうに逃げるネフィリア、本気で慌てているブリス、そんな妹達を微笑ましく見つめているフローレンスの姿があった。
しかし、彼女達は知らない。
通りすがりの男性数名が、3人の姿を見て、鼻血を出して倒れているということに。
3人がその事に気づくのは、帰宅を始めた数時間後――。
そして、男性に「すべて忘れなさい」と怖い笑顔で詰め寄るフローレンスの姿があったとか――……。
―― 登場人物 ――
ネフィリア・レインフォード(ka0444) /14歳/女性
フローレンス・レインフォード(ka0443)/23歳/女性
ブリス・レインフォード(ka0445)/12歳/女性
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こんにちは、今回はご発注頂きありがとうございます。
3姉妹の仲の良いプレイングにほっこりさせて頂きました。
皆様のプレイングを生かせるようなノベルになっていると良いのですが……。
また、機会がありましたら宜しくお願い致します。
今回は書かせて頂き、ありがとうございました…!
2014/9/22