※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
彼らの明日の為に出来ること

 狩子制度とは即ち、覚醒者の素質がある者を実際にハンターにする前に篩に掛ける行為だ。元はなりたてのハンターが熟練のそれと比べ経験が劣るにも拘わらず無謀な行為に出て死に至る、そんな痛ましい事件が多発したのが切欠だった。若さゆえの慢心、驕り――全体的な精神の未熟さも大きな要因で、現実をよく知るハンターがそういった部分を鍛えるのも納得の道理だ。ただクレール・ディンセルフ(ka0586)はこうも思う。自分に合う武器防具を手に出来ていればもしかしたら失われずに済んだ命もあったのかもしれない、と。全ての道を自分らしくひた走る彼女は、実のところ鍛治に費やす時間はかなり短かった。まずは狩子を育てるのが第一なのと家庭を持った為、妻や母親として彼らに愛情を向けるのが大事なのもある。とある作家が情報局に提供した記事の中クレールはディンセルフ工房狩人店の広告を一度打ってもらって、結果的にはそれが契機となって商売は軌道に乗り始めた。しかし年がら年中狩子が店にいるわけではない。多分狭き門なのが影響しているだろう。預かっていた狩子がつい先日、無事試験に合格しハンターになり、そちらは一時開店休業中のクレールは家事に従事する傍らで、再び鍛治にも励んでいた。
 現役時代、己が持ちうる限りの知識と技術を結集し作り上げた、伝統に則る武器カリスマリス・クレールとコートが剣や靴に転じるという、意表を突く魔導機械であるディンセルフコート。両方とも今でも相棒として彼女の力になっているのだが、次代を担う若者にもそれを作りたいという思いがクレールの心に芽生えるのにさしたる時間は掛からなかった。
 例えば初めて狩子になってくれた子には何が似合うだろう。ハンターとしては一端でも師匠としては未熟の一言に尽きたあの頃――互いに懸命に向き合うという意思がなければ次に繋がらなかったかもしれない。今は噂を聞いてあの人を育てた師匠ならばと頼ってくる人間もいる程だから誇らしい限りだ。また現在はレクエスタで浄化活動に精を出す弟子もいた。自分の手から離れても彼らは子供のようなもの。力になりたいと願うのはクレールにとっては当然だった。
 歳を重ね失うものがあった代わりに、多くのものを手に入れた。歳を取って尚盛んにと言われるのはそれが原動力になっているからだ。だから今日もクレールは煤塗れになりつつ炉に火を焚べ、ありったけの力をハンマーに注いでいく。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
そもそもハンターになれる人間がごく限られた状態なのに
狩子を複数育てているというのは世界観的にどうなのかな、
と少し思ったんですがリゼリオの外から憧れやら何やらで
ハンターになりたくて集まってきた多分多くは若者である
彼らを肝っ玉母さんさながらに実の子供とそう変わらない
態度で接するクレールさんのイメージが頭に浮かんだのと、
過去に繋げることが出来る状況が欲しい大人の事情もあり、
ああいった感じのお話になりました。こちらでは鍛治師の
クレールさんへと焦点を当てたくて、でも狩子を育てることが
クレールさんの中で大きな事柄には違いないだろうと思った為、
それと絡めて現役ハンターの頃の彼女の軌跡にも触れましたね。
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
クレール・ディンセルフ(ka0586)
副発注者(最大10名)
クリエイター:りや
商品:おまけノベル

納品日:2020/07/28 12:02