※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
「ぐぅ……、すぅすぅ~……んがっ!?」

どんがらがっしゃーん! バサバサッドサッ!

 マンガ本を読みながら寝てしまったミグは、椅子から落ちた。それと同時に右腕が机にぶつかり、上に載っていた物がミグに降り注いだのだ。
「イタタ……。いっいつの間にか、寝ていたようじゃ。……ん? 何だか、右腕の調子が悪いのぅ」
 以前、実家の工房が火事になり、その時にミグは生身の右腕を失い、今では義手になっている。
 先程、起き上がろうと義手を動かした時、違和感があった。右腕を上げて見ると、指の動きが鈍くなっている。
「今ぶつけたせいか、先程の実験が失敗した時にぶつけたか、それとも連日連夜デュミナスの改造に没頭していたせいか……。まあ何にせよ、そろそろ手入れをしなければならぬ時期じゃのぅ」
 ハンターとしての仕事前日には義手を忘れず欠かせず手入れをするのだが、工房にこもると道具がそろっていることから、すぐに手入れができるという思いがあるせいで忘れてしまうことが多々あるのだ。
「義手も大事な道具の一つ、機導師としてちゃんと手入れをしなければならんのじゃ」
 いくらデュミナスの改良の未来図が頭の中にあっても、叶えるのは技術である。
「見かけは若くとも、そろそろ身体にガタがきておるのかもなぁ。休むことも必要じゃな」
 一度工房に入るとなかなか出てこないミグを心配してか、家族や友人達、同業者達がたまに息抜きに誘ってくれる。
 実験や作業が忙しい時は断るミグだが、義手に異常が出るほどならばそろそろ休み時なのかもしれない。
「煮詰まっても良いことは無し、一度身も心もスッキリさせた方が良き案が浮かぶかもしれぬのぅ」
 立ち上がったミグだったが、散々なことになっている工房の中を見回して、がっくり項垂れる。
 部品や道具が散らばっており、資料やメモも至る所に落ちていた。一度研究に夢中になると、周囲が見えなくなることはままあることだ。
 しかしそろそろ、足の踏み場もなくなりそうだった。
「……休む前に工房の中を片付けて、掃除しなくてはなるまい。壊れたデュミナスもこのままにはしておけぬし……、はあ……。休む前も、忙しいのぅ。とりあえず、義手の手入れから始めるのじゃ」
 ミグは休む為にも、動かなければならない。
 どこまでも動き続けるミグなのであった。
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
ミグ・ロマイヤー(ka0665)
副発注者(最大10名)
クリエイター:-
商品:おまけノベル

納品日:2017/02/13 11:52