※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
需要はあるぞ!

 やがて画面に浮かび上がるHAPPY ENDの文字を見てジャック・J・グリーヴ(ka1305)は我に返った。どういうことだと混乱したままにすぐ脇に置いてあったパッケージを手に取り、中にある説明書を出す。表紙下に書かれているのはキャッチコピーだ。
 カッコいい男の子と過ごす学園ライフ! ※この作品はモデルとなったハンター本人の許可を得て販売しています。同人誌じゃ満足出来ない貴女も納得の仕上がりです! もしかしたら、現実のあの人もこのゲームを参考に攻略出来ちゃうかも……!?
「…………」
 何だこれはという一言すら出てこない。黙り込んでジャックはぱらぱらと中身を見る。と、商談を受けたときはおろか、プレイ中もいつサオリたんが出てくるか気を揉んでいた為まるで気付かなかったが、攻略対象と銘打って記載された中にはジャック以外にも知った顔がちらほら見受けられた。
(てめぇら全員、これに許可出したのかよ……?)
 と自身を棚上げしつつ思い、深く肩を落とした。画面の中でサオリたんといちゃいちゃするのはどうやらまだ相当に難しい話らしい。いやでも諦めねぇぞと奮起する気持ち。それと同時にふと何故だかサオリたんの存在が妙に遠く感じた。いやいや、あんだけ優しくしてくれるだろうが。笑顔も泣き顔も本当は俺様だけに向けてくれる――ジャックは目を閉じた。すぐさま彼女の顔が浮かぶ。目に焼きつくほど繰り返し見たからそれは当たり前で。自らに言い聞かせるように呟く。
「俺様はサオリたんの全てを知ってんだ」
 例えば一緒に出掛けたときの反応。基本的には褒めたり楽しんでいる様子の選択肢を選べば彼女も喜んでくれるが、行き先が好みではなく、内心微妙に感じている場合はこちらも案外つまらなかったと答えた方が同意を得て好感が高まるものだ。全部解っている。それなら何故、生まれたときからずっと一緒にいる家族にはジャックも知らない一面があるのだろうか。
 それ以上追求するなと、直感が訴える。未来を勝ち取ったのだから、いい加減将来にも目を向けろと紛れもない自分の声が囁く。ジャックは息を吐き出した。そこには肯定も否定もなく、ただ超覚醒したときのような耐え難い痛みが胸の奥に生まれただけだった。
 ――終わりは始まりで、ここからが真の腕の見せ所。人として当たり前の幸せとは何ぞやとジャックは改めて自らに問いかける。
 答えを出すにはまだ時間が必要そうだった。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
ネタ以外の何物でもないタイトルからの突然のシリアス。
個人的には何も恋愛が一番崇高なものとは思いませんし、
ジャックさんにも誰かいい人見つけて幸せになって!と
一般的な幸福論を押し付けたいわけでもないですが……
呟きを拝見したときにジャックさんが自分のことに
目を向けるとしたら、一番はここなんじゃないかと。
リプレイは全く確認出来ていないのでそちらの方で
解決していたら申し訳ないというほかありませんが、
設定とノベルを見ているとどういう結果であれ
向き合ったときに更に一皮剥ける気がしました。
まさにこれからが本番なジャックさんの人生が
どんなふうになっていくのか陰ながら楽しみにしてます!
  • 0
  • 0
  • 0
  • 0

発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
ジャック・J・グリーヴ(ka1305)
副発注者(最大10名)
クリエイター:りや
商品:おまけノベル

納品日:2019/09/20 16:59