※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
もしも、貴方に枷をつけるなら

 まずは薬を、気付かれないよう少しずつ。

 何も入っていないお菓子を。
 何も混ぜていない食事を。
 何も手を加えていない飲み物を。
 当たり前に食べてくれるようになってから。
 当たり前にご馳走様を言ってくれるようになってから。
 残さず全てお腹の中に収めてくれる貴方の様子にきっと、私は満面の笑顔で喜ぶから。

 特別な日に部屋に呼んで。
 いつものようにもてなして。
 当たり前の日常の延長線で二人きりの時間を。
 決戦はなんでもない日に持ち越すの。

 美味しい料理をたぁくさん。
 勢いよく食べてくれる貴方はきっと、いつか、詰め込み過ぎて焦ることがあるはずで。
 その時がいつ来てもいいように。
 痺れ薬をいつだって。

 次は鎖を、動けないうちにしっかりと。

 突然のことに驚くかもしれないし。
 正気に返れと叫ぶかもしれないし。
 抵抗だってするのかも。
 力のある貴方でも効くように、抑えられるように。
 しっかり準備はしてあるの。
 意識のあるうちに捕らわれて?

 自由な姿は見られなくても。
 力を揮う姿が見られなくても。
 私の檻に居てくれるなら。
 私だけを見てくれるなら。

 剣はとっくに外したでしょう?
 スキルは仕事で使ったでしょう?
 お疲れ様の言葉と一緒に。
 いつも備えていたんだよ。

 最後に心を、絡みとれるまでじっくりと。

 想いを言葉に。
 心を声に。
 好意を曝け出す怖さは、ずっと胸にあったから。
 でも、今の逃げられない貴方なら。
 聞いてくれはするでしょう?
 貴方の声も、二人きりなら、私しか聞けない、私だけのものだから。

 今なら少しわかるから。
 あの人が私に求めたもの。
 当たり前だったから知らなかった。
 離れたから意味を知った。

 育てられた方法でしか、向けられた形でしか、与えられたものと同じようにしか、私の愛は示せないから。
 だから貴方を捕らえるの。
 捕らえて、囲って、私だけの世界の中で。
 私だけが当たり前になるように。

 ……なぁんて、ね♪


 ……Zzz

「おはよ~」
 まだ眠気の残る顔で、彼に挨拶を向ける。
 揶揄うような声で、眠そうな事を指摘されるのはわかっていた。
 心配されているようで嬉しいから、夢路 まよい(ka1328)としれはこれでいい。
「ちょっと、夢見がね」
 良い夢を見たような気がして、もう一度続きを見ようとして。
 眠れば眠るほど、かけ離れていくようで……結局、掴みかけた何かは、すり抜けてしまった。

━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

【夢路 まよい/女/15歳/魔壊術師/鍵は溶かして残さない】
  • 2
  • 0
  • 0
  • 0

発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
夢路 まよい(ka1328)
副発注者(最大10名)
クリエイター:石田まきば
商品:おまけノベル

納品日:2019/10/18 18:00