※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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夢から覚めた数分後、天川は青ざめていた。
何故なら、夢の中の人物だと思っていた女の子からの手紙が残されていたからだ。
「いやいやいやいや、あれは夢……夢、だったはずですよねぇ……?」
言葉は震え、手紙を持つ手はガタガタガタと過剰なくらいに震えている。
手紙には『また来るからね』という文字が書かれてあり、天川はこれ以上ないくらいに冷や汗をだらだらと流している。
「あれはわたしじゃない、わたしじゃない、わたしじゃない……」
あんな外見も中身も真っ黒な少女が自分だなんて信じたくない。
彼女自身、別人だと言い張っているが、自分の中の黒い部分を認めたくないわけではない。
しかし、子供の頃の真っ黒さを見るのは、顔から火……いや、もう顔から大火災のようなものだろう。
「そう、これはわたしが寝ぼけて書いただけですよねぇ、うん、文字もぐにゃぐにゃですし!」
無理矢理、自分が書いたと心に言い聞かせる。
ある意味、神様が天川に与えた試練かもしれない。
「いやいやいやいや、神様からの試練……もとい、贈り物ならば、わたしの前にイケメン★旦那様がいるはず! こんなに真っ白なわたしの元に、真っ黒な自分が来るはずないですよぉ……」
天川の部屋から「イケメーン、ゲットしますよぉぉぉっ! 過去の自分を見返すために!」と願望だだ漏れの声が響き渡っていたのだった――……。