※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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おまけのMalva celeste
(これは……)
ハーブ専門店でお茶を楽しんだ後、ハーブの苗を数種類買い込んだヴェロニカのために荷物持ちを買って出た誠一。
お礼にもう一つマロウを楽しんでもらうわね!という彼女の言葉に誘われて、家に招かれてまだ数十分しか経っていないはずなのだが。
「ふふふー。セーイチ、おいしーわね!」
内心やってしまった感が否めない状況に陥っている。
彼女の家に到着し、ダイニングのソファを勧められ一息ついたところに、彼女が出してきたのは先ほど飲んだハーブティーと同じ色をした冷たい液体だった。
「私が漬けた、ブルーマロウを使ったお酒なの。初めて漬けたから、まだ味見もしてないんだけど」
少し不安そうに言ったヴェロニカに、だったら一緒に味見してみようと確かに言った。言ったが、まさか。
「セーイチのて、おっきー」
弱いとは聞いていた。
彼女が家族同然だと言っていたとある中年ハンターが言っていたのを、確かに聞いた。が。
「絡み酒、引っ付き虫型……!って、ちょっ、ヴェラ!?」
ほんの少ししか飲んでいないヴェロニカはまろい頬を染めつつ、誠一がグラスを持っていない方の手を取ると自分の手と大きさ比べを始めてしまった。
普段からスキンシップに抵抗のない彼女だが、お酒が入るとどうやらそれに拍車がかかるらしい。
ぴとりとくっつけられる小さくて少しひんやりとした白い手に、思わず酒以外で心拍数が上がりそうになる。
「あのね、わたしね、セーイチのとなり、ほんとおちつくのよ?ほんとよ?」
そのままこてん、と肩口に小さな頭を乗せられて、いよいよ身動きがとり辛くなってきた。
どうしたものかと体を硬直させつつ頭をフル回転させている誠一をお構いなしに、眠くなってきたのかヴェロニカは目を閉じつつ幸せそうに笑って。
「どうしてかなーっておもうけど、やっぱりね、すきだからだなー、て……」
「~~~!!」
お酒怖い。本当怖い。あと誰か助けて欲しい!
固まる事数分。
お酒が回ってしまったのか、寝息を立て始めたヴェロニカの隣で。
誠一は、持っていたグラスのおかげで冷えたもう片方の手で赤くなった顔を覆うのだった。
切実に助けて欲しい。
けど、お酒を呑んだヴェロニカを見せるのは、ちょっと。いやかなり嫌なので。
彼女が寝落ちたその後でお願いします!
END