※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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大切な約束の標
「そろそろ洗わないとな……」
幾度も戦場に伴った約束の白いリボン。
なるべく傷つけないように、汚さないようにはしてきたけれど。
やはりどうしても砂埃は被ってしまうし、草で擦ってしまうこともある。
これは約束の証。絆の標。
他の人にとってはただのリボンでも、誠一にとっては大切な大切な――。
ということで、洗うことにしたのだが。
「……モミー教えてくれ。これは洋服を洗うのと同じ要領で洗っていいと思うか?」
モミーに代わってお教えします。ダメです。
それはヴェロニカが幼少期から使っていたサテンの白いリボン。
洋服と同じように洗ってしまったら最後、ほつれにほつれて見るも無残です。
考えに考えた結果、誠一が取った方法。それは。
「血液汚れとか醤油染みとか、そういうのみたいにするのが一番安全か……」
表現が物騒だったり所帯じみてたりするが、それが一番大人しい方法だろう。
四苦八苦しながらどうにか綺麗になっただろうリボンを、少し考えてから日陰に干した。
「これからも、よろしくな」
そっと干されたリボンを撫でて、誠一は笑った。
(了)