※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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夏の冒険
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一人海へ旅に出ていたサクラ。
一人用の船ということもあり、さほど大きくない船で大海を往く。
「嵐もなく今日も晴天、いい天気ですね」
順調に進むと思われた船旅――だが。
「おや、急に様子がおかしくなってきましたね……」
急に崩れ出す天候――波も高くなってくる。
「きゃっ。本格的に荒れてきました」
荒れる海、サクラを乗せた船は木の葉の様に激しく揺られる。
嵐にまきこまれたサクラの船、難破するのはそう遅くはなかった。
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「んん……ここは……あ、そういえば嵐にあって……」
気がつくサクラ――死んではいないようだ。
「えっと……」
困惑しながら、あたりを見渡して確認するが――難破して流れ着いたことに気が付いた。
「荷物は……流されたようですね……」
幾つかの荷物が水没していのが見える。
「服は……流石にボロボロですね……」
サクラは自分の身を確かめてみるが、着ている服はボロボロになっていた。
「服も着ていられないですがどうしましょうか……。……ん、あれならなんとかなりそうです……」
サクラの目に入ったのは大きめの葉っぱが生っている樹だ。
それ以外には――服の代わりになりそうなものは見つからない様だ。
生まれた姿を葉っぱで隠す――まるでどこかの絵画のような光景だ。
「少し……ザラザラします……んっ……」
敏感な所に葉のざらついた部分が当たり少し刺激するようだ。
「……これも修行です……んっ」
少し刺激で頬を赤らめながらも、気にしないようにしているサクラ。
「衣食住の衣は見つけましたが……助けが来るまで過ごせるようにしないといけませんね……」
葉っぱを纏ったサクラは食料を探すために動き始めた。
「まずは……食料や水ですね……そういえば……」
ふと、自分と同じように流れてきた荷物に目をやるサクラ。
「アレがあれば……」
サクラは荷物から目的のものを探す。
「これじゃないです……これでも……」
荷物をかき分けて探していると――。
「ありました!」
サクラが見つけたのは釣り竿――海の旅で使っていたやつだ。
こうして食料の調達手段として釣り竿を見つけたサクラ。
しかし、それ以外の荷物は雑多な物が多く利用価値が低かった。
唯一見つかったナイフは役に立つだろう。
遭難したことがわかるように雑多なもので遠くから見てわかる様なSOSと書かれた旗を作る。
「川があれば、水と食料の問題は解決しそうです」
ナイフと釣り竿を手に島の回りを回るサクラ。
「川らしきものはないですかね……」
島を回りながら川を探しているが――。
「あ、ありました!」
少し歩いた所に川を見つけたサクラ。
「これで水と食料には困りなさそうですね」
綺麗な水が流れる川――其処には魚もいた。
「後は、木の実なんかも探しましょう」
島の奥の方へ進むサクラ。
「っと……」
ナイフで葉や枝をかき分けて先へと進む。
「これは食べれそうな果実ですね」
いつの日か市場で見たことのある果実を見つけたサクラ。
「とっておきましょうか」
果実を手に入れたサクラは先へと進む。
幾つもの果実を見つける事ができた。
其処に――。
「っ!……蛇ですね!」
サクラの前に現われたのは猛毒を持つ蛇だ。
ナイフを構えて対峙する――。
「えいっ!」
噛もうとした蛇に対してカウンターで渾身の一撃で斬りつけるサクラ。
「ふぅ……どうにかなりましたね」
渾身の一撃で蛇の首を切り飛ばして倒したサクラだった。
「ついでですから、何か獲物になるものがないか探してみましょう」
獲物を探してみる――。
暫くすると何かを見つける。
「これは……兎ですね」
兎を見つけたサクラは慎重に向かっていく。
「やぁっ!」
息を殺して一撃で兎を仕留めるサクラ。
「獲物も取ることが出来ました……血抜きをしないと……」
獲った兎の血抜きを行い、肉にする処理を行った。
一連の作業を終えて自身を見回してみる。
「結構、汚れましたね……汗もかきましたから、川へ水浴びをしましょう」
島の奥から戻り、川へ向かう。
川で葉っぱだけという裸に近い形で水浴びをするサクラ――水浴びする度に煌めく水しぶき。
「この釣り竿で魚釣りに挑戦してみましょう」
食料は多いことにこしたことはない。
釣り竿から川へ釣り針を下ろす。
「……早く、助けが来るといいのですが……」
釣りをしながらそんな事を思う。
「水もありますし食べ物もあるので助けがくるまでは何とかなりそうですね……」
それでも遭難した状況でサクラ一人だと心細い事もあるのだろう。
釣りをしながら助けが来ないものかと思っているサクラ。
「ととと……かかりましたね」
どうやら、魚が掛かったようだ。
竿を引き、リールを回して釣り上げようとするサクラ。
そんな魚との格闘中、葉で隠されたたわわなサクラの胸が揺れる。
「よしっ!」
意外と大きい魚を釣り上げたサクラ。
陽は丁度、真上にある――そして、サクラのお腹が空腹を訴えるように鳴る。
「お昼にしましょうか」
遭難して余裕がなかったが、余裕が出てきて空腹になったサクラは昼の準備を行う。
枯れ木を集めて火をおこし、釣り上げた魚をナイフでワタを取り焼く。
暫くするといい匂いとともに魚が焼ける。
「いい感じに焼けました」
うまく焼けた魚にかぶりつくサクラ――表情から美味しいのが伺える。
因みに兎の肉は夕食にとってある。
「魚は干物に出来ますし、もう少し釣りをしましょうか」
川に釣り針を下ろして釣りをするサクラ。
時間だけが過ぎていく――助けを待ちながら。
そして――。
「おーい!」
それは偶然だったのだろう。
島の側に通りかかった客船が遭難したサクラが作ったSOSと書かれた旗に気がついたようだ。
「こっちでーす」
釣り竿を置き、体いっぱいに身振りをして知らせるサクラ。
客船からカッターがやってくる。
「救助、やっと来てくれましたか。よかった……。ありがとうございます……。……どうしました?」
上陸してきた船員に礼を述べるサクラ。
だが、船員の様子がおかしい――サクラは自身を見直すと……。
「はわわ……」
身につけていた葉っぱが所々、破れていて見えてしまっていた。
「コレを……」
差し出される毛布を纏うサクラ。
こうして、無事救助されたサクラだった。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka2598 / サクラ・エルフリード / 女性 / 15 / 聖導士(クルセイダー)】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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お待たせしました!
後醍醐です。
この度は発注頂き、ありがとうございます。
ちょっとした夏の冒険と言った感じに書かせて頂きました。
葉っぱ水着いいですよね、ロマンです。
また、機会がありましたらよろしくお願い致します。