※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
Bear fruit

 あの決意からしばらくして、ミィリアのハンター生活も少しずつ安定した頃の話になる。
 ミィリアの住屋でもある道場の前に、ある家族がやってきた。
 ミィリアは記憶を辿る。見覚えはある。たしか、とても大事な決断のきっかけになった親子のような……
「ミィリアさんといったのですね、探しました。とても……」
 母親の方が申し訳ないような、嬉しいような、そんな表情で言葉を発した。
 隣に居る男性は良人なのだろうか、母親の隣を歩いている。厳粛な雰囲気はあったが、威張っているような雰囲気はなかった。
「おねえちゃん、このまえはありがとう!」
 子どもはにっこりと笑って、ミィリアに飴を差し出した。小さく包まれた飴は苺味なのか、ミィリアの髪色のような桃色が透けて見えた。
 続いて子の父親はすっ……とラッピングされた箱をミィリアに差し出して言った。
「妻と子がお世話になりました。よければ、召し上がってください」
 ミィリアは驚きながらも、飴とその箱を受け取る。何が入っているのだろう。
 その包みは50cm前後の大きさをしているようだった。何が入っているのか気になり、父親をちらりと見る。
「中は……最近評判の葡萄酒です」
 なんと。ミィリアは目を丸くした。
 評判の葡萄酒のことであればミィリアも聞いているけれど、たしか手に入れるにもそれなりの苦労があるはずである。
「こんな、もらっちゃっていいのかな!? ……でござる」
「助けていただいたお礼です。あれから何もできませんでしたから……」
 検めて頭を下げる母親に続き、父親もこう言って頭を下げた。
「妻と子の命に比べれば、安いものです」



 訪れた家族も去る段になって、門の前でミィリアは手を振って見送った。
「元気でね……でござる!」
 夕日に溶ける様に遠くへ遠くへ行った家族の背を見ながら、ミィリアは中へ戻っていく。
 部屋の奥、慎ましやかに整ったその場所で、ミィリアはグラスに葡萄酒を注ぐ。
 ミィリアはかつての師や、目標のことを考えながら……その暖かい気持ちの籠った葡萄酒をゆっくりと味わった。

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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka2689 / ミィリア / 女性 / 12歳 / 闘狩人(エンフォーサー)】
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
ミィリア(ka2689)
副発注者(最大10名)
クリエイター:-
商品:おまけノベル

納品日:2015/07/13 13:15