※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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酒の席の勢いで必殺技について酔った頭で考えてみた。
「こいつは俺からの生還祝いだ、好きなだけ飲め」
そう胸を叩いたハンター仲間の青年と、仕事終わりの報告を済ませたアルトは、
「いやぁ、一死線終えた後のお酒は美味しいよね!」
「そうだろそうだろ! あっはっは!」
愉快に三度目の乾杯を繰り返していた。
実際のところ三杯目のエールのジョッキを傾けているのは青年だけで、アルトの方は七杯目のカクテル・アレキサンダーを結構なペースで飲み干して、気に入ったからとお代わりを頼んでいた。口当たりはいいが、結構な濃度のはずである。
「で、で、どうだったんだ?」
「えっとね、そこでその暴食の歪虚が……」
にもかかわらず酔っている自覚もないアルトだが、顔を真っ赤にしてはしゃいだ様子の青年に、武勇伝をとねだられれば気分は良い。
――のだが。
「いやぁ、流石……なんだが、必殺技もう少し増やしたくないか?」
「え?」
思わぬアドバイス、なのか酔っ払いの戯言なのか。
ともかくかけられた言葉に、きょとんとアルトが目を瞬かせる。
「いや、今回みたいな強敵だと、同じ技は二度通用しないだろ? だからそろそろ新しい必殺技を用意しておく必要があると思うんだ」
「そうか……いや、そうかなぁ……」
「そうだとも!」
熱弁する青年に、全力で押されるアルト。
「とりあえず居合の構えから鞘ごと刀を振って遠心力で鞘を投げるとか」
「え」
「変形合体するとか」
「誰と!?」
「オーラの強度を攻撃を受け止められるレベルにするとか」
「待って」
「刀と見せかけて実はバームクーヘンとか」
「待って待って」
「そして目の前で食べる」
「もう寝なよ酔っ払い!!」
「真バームクーヘン必さ……ぐふっ」
「ふー……あ、マスター。このシンガポール・スリングってのお願い」
とりあえず青年を店の隅のソファに放り出し、さらに日が変わる頃まで飲んでから、アルトは満足げに宿へと戻って行った。
翌朝青年に残されたのは、酷い二日酔いと領収書。
「……もうアイツ、どんな歪虚でも飲み比べ挑めば勝てるんじゃないのか……?」
そこに書かれたとんでもない金額に、青年はガンガンする頭を押さえて呟いたのだった。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka3109/アルト・ヴァレンティーニ/女性/18歳/疾影士】