※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
夜の付き添い

 ことん。

 ほんの小さな音だが、眠っていても自分の耳は聞き逃さない。
 ノワが起き出す気配がする。

 やれやれ、まだ人間が起きる時間ではないのに。
 身体を起こし、ぶるぶるっと身体を振ると、ノワがささやいた。

「ごめんね、起こしちゃったね」

 答える代わりにとびきり大きな欠伸をしてやった。
 ノワは寝巻の上にストールを羽織り、スリッパを鳴らして部屋を出ていく。
 自分も後を追った。


 ノワが行く先は、石ころがいっぱい詰まった棚のある部屋だ。
 部屋に入ると、ノワはランプに火を入れる。
 人間という奴はこうしないと周りも見えないくせに、どうして夜に歩き回るのか。
 不思議ではあるが、まあ仕方がない。
 この家は自分の縄張りなのだ。人間が足りない部分は自分が見張ってやらないと。

 ノワは椅子にかけてぼんやりと部屋を眺めている。

 ――眠いならベッドに戻ったらどうだ?
 鼻を鳴らして注意すると、ノワの暖かな手が自分の頭を撫でまわす。

「大丈夫。もうちょっとここにいさせてね」

 ――全然大丈夫ではないのだがな。
 自分は諦めて、ノワの傍で床に伏せた。


 それからしばらく経った頃。
 自分は薄目を開けた。
 ときどきランプの明かりが揺れて、影も揺れる。

 そんな影の中、潜むモノがある。
 黙って様子を見ていると、そいつらはじわじわとノワににじり寄ってくるのだ。
 それが何なのかはわからない。
 だがノワがそいつにつかまったら、良くないことが起きることはわかっていた。

 今日もやっぱり、影はじりじりとノワに近づく。
 自分はギリギリまで待っている。
 奴らが油断したところを見計らって――

 パタン!

 尻尾を床にたたきつける。
 奴らはびっくりして、すっと引っ込んで行った。
 自分はそれでもしばらくの間、油断なく耳をすませ、尻尾で床を叩き続ける。

「ごめんね、そろそろ戻ろうか」

 ノワがやっとその気になったようだ。
 自分はほっとして、さっと身を起こす。

 もうしばらく、ノワが「奴ら」につかまらないぐらいにしっかりするまで。
 自分がこうして見張るしかないのだろう、と思いながら。

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ノワ様

 今回もおまけノベルをご依頼いただき、ありがとうございます。
 また何を書こうか悩んだ結果、いつも一緒にいるワンコにご登場いただきました。
 どの子が付き添ってくれているのか、影の正体は何なのか。
 それはノワ様のご想像にお任せします!

樹シロカ
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
ノワ(ka3572)
副発注者(最大10名)
クリエイター:樹シロカ
商品:おまけノベル

納品日:2017/04/14 18:10