※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
Colorful


 僕、カール・フォルシアン(ka3702)が小児科医になり、そこにがドロシー(kz0230)さんが看護師として働くことになって1年が経とうとしていた。
 新人というのはいつも大概吃驚するような失敗をするもので、ドロシーさんはその中でもぶっちぎりのトラブルメーカーとして名前が挙がっていた。
 それでも持ち前の愛嬌と勤勉さで仲間内からの評判は悪くない。
 そして、さらに子ども達からは熱狂的に慕われていて……
「『壁にミミール、障子にメアリー! 魔法乙女、ここに推参!!』なんと、少女は魔法乙女だったのです!」
 彼女の朗読は子ども達に大人気で、10時のおやつの時の読み聞かせはドロシーさんがいれば子ども達から指名され担当するほどになっている。
「声優目指しても良かったんじゃ無いですか?」
 意地悪く僕が言えば、彼女は柳眉を下げて苦笑する。
「一度オーディションで受かって……やってたんです、あの“魔法乙女”」
「……はい?」
 彼女が何を言っているのか理解出来ず、僕は思わず聞き返す。
 聞けば、“魔法乙女”として出演していたという。
「はぁ……気付かなかった……」
「ですよね。だから、辞めたんです」
「え?」
 顔を逸らしながら呟かれた言葉を聞き取り損ねて、僕は首を傾げる。
「あ。カール先生、11時からカンファだって言ってませんでした?」
「あ、ほんとだ、有り難う……あぁ、そう言えば、外来の……あの栗毛のショートの看護師さん……何て名前でしたっけ?」
 ドロシーさんは首を傾げながらいくつかの名前を挙げてくれる。
「あぁ、その、彼女がCTSの復刻版Blu-ray持ってるらしいから、今度借りてみたらいいんじゃないでしょうか?」
「ホントですか、わぁ、懐かしい! 情報有り難うございます!」
 ……多分、恐らくきっと。“今のドロシーさん”が生まれる前の作品だと思うのだけれど。
「またリメイクとかしてくれたら良いのになぁ……」
 懐かしそうに目を細めるドロシーさんを見て、実は彼女、前の記憶を持っている(思い出してきている?)のでは無いかと訝しんでいるのだが……でも、それも些細な事だと思い直す。

 過去よりも、色鮮やかな未来をこれから一緒に紡げば良いのだから。



━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

 この度はご依頼いただき、ありがとうございます。葉槻です。
 おまけ……ということで、ちょっとした謎と余韻を残しつつのその後を書かせて頂きました。
 タイトルはカール君の未来が彩り溢れたものでありますようにという願いも込めて。
 こんな形でまとめてみましたが、少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
 この度は、ステキなご縁を有り難うございました!
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
カール・フォルシアン(ka3702)
副発注者(最大10名)
クリエイター:葉槻
商品:おまけノベル

納品日:2019/08/16 14:55