※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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Brightness
桜憐りるか(ka3748)は、気まずかった。
『あの夢』を見た後、依頼でヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)と顔を合わさなければならなかったからだ。
今度のヴェルナーは、あの夢で積極的だったヴェルナーではない。
正真正銘、現実のヴェルナーだ。
頭ではそう分かっていても、意識せずにはいられない。
『レディ、私はあなたを……』
再び、脳裏に蘇る夢の光景。
お姫様抱っこで抱え上げられ、耳元で囁かれる甘く優しい言葉。
それを思い出すだけで、心臓はいつも以上に早くなる。
「だ、ダメです……。落ち着かない、と」
「何がダメなのでしょう?」
背後からかけられる声。
背筋に走る電気。思わず背筋が伸びてしまう。
りるかは、恐る恐る振り返った。
「ヴェルナー、さん……!」
「はい。どうかされましたか?」
ヴェルナーの、いつも通りの笑顔。
だが、今日のりるかにはその笑顔を直視できない。
りるかは思わず視線を逸らした。
「な、なん、なんでも、ありません」
「そうでしょうか? 今から依頼の場所へ向かうのですが、体調が宜しくないのでしょうか? ……失礼」
ヴェルナーは、手袋を外してりるかの額に右手を当てた。
ヴェルナーの掌から伝わる体温。
優しく陽だまりのような温かみだが、当のりるかにとってはそれどころではない。
「…………!!!!」
「うーん、熱は……少々あるようですね。いけませんね」
りるかは、悲鳴にならない声を押し殺した。
目の前のヴェルナーに、他意は無い。
何より、夢のヴェルナーとは別人なのだ。
だが、夢のシーンを思い返すようなヴェルナーの体温。
りるかはいつも以上にヴェルナーを意識せずにはいられない。
「だ、だ、大丈夫、ですから」
「そうですか。ですが、ハンターだからといって無理をしてはいけません。体調が悪化したら、遠慮無く言って下さいね」
反射的に距離を置いたりるか。
ヴェルナーはりるかの体を気遣ったが、近づけばりるかは更に胸が高鳴る。
その後の依頼でも、ヴェルナーを意識し過ぎないように立ち振る舞う事で必死。
気付けば依頼中にどのような行動をしていたのか、りるかはほとんど覚えていなかった。
(ど、どうしよう。あの夢の、せいで……ヴェルナーさんの顔が、見られない……)
夢の余韻が続く限り、悩み続けるりるかであった。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka3748/桜憐りるか/女性/17/魔術師】
【kz0032/ヴェルナー・ブロスフェルト/男性/25/疾影士】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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近藤豊です。
こちらはノベルのおまけとなります。ご堪能いただければ幸いです。
本編の依頼もヴェルナーの方は出番がございます。
こちらもご縁がございましたら、宜しくお願い致します。
またOMCノベルについてもよろしければご検討下さい。
糖分を高めに描かせていただきます。