※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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星降る夜に……
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洞窟内に響く波の音、潮の匂いに混じる生臭さ。
懐中電灯の頼りない灯りを底の見えない暗闇が飲み込む。
息を潜め進む不知火真琴はサブマシンガンの馴染んだグリップを握りなおした。
空を切る音。盛大に上がる水飛沫。静寂は破られ、戦闘の火蓋が切って落とされる。
岩肌を照らす白銀の閃光に浮かぶぬらりと光る鱗、魚でありながら人間と同じ手足を持った異形の化け物。
真琴は腰溜めに構え引き金を引いた。
グワングワン反響する銃声。人間ならば肉片になってもおかしくないというのに、化け物はそれを凌ぎ不気味な威嚇音を上げ突撃してくる。
一進一退の攻防。
手数は圧倒的に真琴達が上だ。だが化け物たちは歩みを止めない。恐怖や痛みを感じていないかのように。
剥がれた鱗の下から覗くどす黒い体液交じりの肉。生臭さはいよいよ強く肺を刺す。
それでも互いに死角を庇いながら徐々に化け物を追い詰めていった。
銃口から吐き出される弾丸が鱗を弾き、肉を抉る。一匹倒れた。しかしすぐさまその背後から飛び出す三連の青い閃光。
回避は間に合わない。咄嗟に頭を庇い構える。体は防護を施した服がある程度守ってくれるはずだ。
「……ぐっ」
それでも腹を穿つ水球に食いしばった歯の隙間から呻き声が漏れた。続いて喉をせり上がる血の塊。視界も聴覚も全て闇に閉ざされかける。
「……っ!!」
だが真琴はカっと目を開くと口元を汚す血を拭う。そして足を踏ん張り踏み留まるとサブマシンガンを構えなおした。
「さっき、誰かが……」
戦闘終了後、真琴は静けさを取り戻した洞窟内を見渡す。意識を飛ばしかけたあの時、誰かの声が聞こえたような気がしたのだ。どこか懐かしさを覚える声を。
「気のせいか、な」
呟きは潮騒に飲まれた。
はっと勢い良く顔を上げたミコト=S=レグルスの視界に映るのは積みあがった木箱、埃を被った大きな地球儀。天文部の部室である地学準備室の見慣れた風景。
また何時もの夢だ。ミコトは小さく息を吐いた。
子供の頃から繰り返し見る自分とよく似た誰かが出てくる夢。
「……痛かったなぁ」
ミコトは形の良い眉を寄せ腹を擦った。
それはとても不思議な夢だ。
自分とよく似た誰か―彼女の痛みや、風の匂い、照りつける太陽の熱、それだけではない想いまでも感じる夢。まるで自分が彼女に乗り移り、その人生を経験しているような。
初めて見たのは、賑やかなパーティーの一場面。
「やぁ、アリス。白兎は見つかったかな?」
頭に猫の耳を生やしたタキシード姿の彼女が青いエプロンドレスの少女をお茶会に誘う。
ちょうどその頃『不思議の国のアリス』を読み聞かせてもらったばかりだったので「ティーパーティーに参加した」と興奮気味に家族や友達に語った記憶がある。
それから少ししてまた夢の中で彼女に出会った。今度は打って変わって家族の仇を討とうとする青年を化け物から助ける夢だ。仲間を守るため躊躇いなく敵の眼前に躍り出た彼女に重なる物語のヒーロー。
それからも沢山彼女の夢を見た。時に武器を手に戦い、時に祭りを楽しみ。
彼女はミコトよりもずっと大人だ。だが大人の持つであろうスマートさを持ち合わせていない人だった。
言うなれば愚直、そんな印象だった。それをみっともない、格好悪いと笑うのはとても簡単だろう。
だがせめても自分の手が届く範囲は守りたいと、もがく彼女の覚悟を生き様はミコトにとても格好良く見えた。
彼女はミコトにとっての憧れのヒーローだ。
ヒーローは強大な敵に立ち向かうとき、銀色の髪に青い目に赤が舞う。
ミコトは赤いリボンでまとめた髪を一房手に取る。自分のストロベリーブロンドの髪も赤みを帯びた目もその色に似ているのが嬉しかった。
彼女のようになりたい、と夢に見る憧れのヒーローを隠すことなく周囲に話すミコト。
だがヒーローになりたいという夢も、不思議な夢の話を得意気に語るのも許されるのは子供のうちだけ。
高校生になっても夢の話を隠そうともしないミコトは、入学して間もなく変わり者として不動の地位を校内で築き上げていた。
まあ、ミコトにとってそんな評判どこ吹く風だ。
持ち前の明るさと社交性で苛められることはなかったが少しばかり周囲から浮いていたミコトは、潰れ掛けの天文部に入部した。
夢の中の彼女との間に感じた繋がり。だから古くから人がそこに運命を見出した星に興味を持ったのだ。
それと直感が閃いた。ここに入れば「誰か」に会える、と。
その閃きは正しかった。幼馴染を巻き込んで立て直した天文部に集まった仲間は、夢の話をバカにすることはなく、それどころかミコトと出会ってから皆、同じような夢を見始めたのだ。
夢の中の人物は皆違う。だがそれぞれ友人同士だったのか互いの夢に出てくることもあった。別世界の自分達と言われても納得できる、不思議な縁。
「皆、遅いな。ホームルーム長引いているのかなぁ」
欠伸を噛み殺したところで扉が開く。
「リツは図書室寄ってから来るってさ」
やってきた幼馴染が机の上に鞄を置いた。
空調の音、運動部の掛け声、図書室はテスト前以外ほとんど人がいない。
天井に届くかという書架を見上げるリツカ=R=ウラノス。探しているのはお茶に関する本だ。歴史から淹れ方までわかるととても嬉しい。
昨夜夢の中で、リツカが理想の王子様と憧れる彼がそれはそれはとても香りの良いお茶を淹れていた。よし、とばかりに朝目覚めて真似たはいいが、出来上がったのは夢の中とは全くの別物。
カップの中、湯気を立てるただ苦くて濃い色つきお湯にリツカは絶望する。
王子様に悉く負ける女子力。お茶も美味しく淹れることのできない女性など、と言われたらどうしよう!と図書室に駆け込んだ。
それに図書室は彼が好きな場所でもある。彼は暇があると図書室に篭り、本を広げていた。頁を捲る指先に何度見惚れたことだろう。
「本を読んでいるときの物憂げな表情もいいんだよねぇ」
漏れる笑みに慌てて口を塞ぐ。
リツカの『理想の王子様』とはミコトと同じく夢で会う人である。隙なく着こなした執事服、整えられた黒髪、深い知性を湛えた眼鏡の奥の双眸。何よりその落ち着いた品のある立ち振る舞い。
初めて会った彼に目を奪われた。これを一目惚れと言わずに何を一目惚れというのか。
あの人こそ自分の『理想の王子様』だ。執事服でも王子様だ。
時に彼は戦いもする。いや戦っている事の方が多いかもしれない。その戦う姿も優雅なのだから王子様は罪深い。
いかなるときも落ち着いているからこそ常に優雅に見えるのかもしれない。たとえ自分が怪我を負っていたとしても、自分の身に危険があるとわかっていてもそれが必要ならば実行するだけの冷静さと胆力。
勢いだけで突っ走って、派手に転んだりする自分とは雲泥の差。住んでる世界が違う、と思うほどに何もかも違いすぎていた。
「だから少しでも王子様に相応しい人になりたいんだ」
彼が本が好きだからと図書館に通い、時には彼が読んでいた本も探して読む。たいてい難しくて何を言っているのかわからない。でも読んでいくうちに「ああ、彼はこういう話が好きなのだな」ということは判るようになってきた。
また行動する前に一度立ち止まることも覚えた。勿論まだまだ勢い余ってしまうことも多いのだが。
勉強も好きではないが、笑われないために頑張っている。おかげで苦手教科も中々の好成績を修め、教師や級友に驚かれたものだ。
(恋する乙女の底力思い知ったか!)
握りかけた拳を誤魔化すように口元に持っていき咳払い。夢の中で王子様の家事能力を見せ付けられ、少し女らしさも気にかけようと思ったばかりだ。
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それからまもなくミコト達は歪虚と呼ばれる化け物だかエイリアンだかに襲われ、戦艦に乗ってコロニーから避難の途中クリムゾンウエストと呼ばれる異世界に漂着した。
クリムゾンウエストとは何か、一体どうしてこんなことになったのか飛び交う憶測。あまりのことにパニックも起きた。
だがミコトは怖くなかった。何故なら天文部の仲間がいたからだ。そして憧れの人がそうしたように自分も動く。嘆くことも、自暴自棄になることもいつでもできる。
ミコト達はハンターと呼ばれるこの世界の何でも屋として、家を借り生活を始めた。まるでファンタジーゲームのような世界は毎日が驚きの連続で、暫くの間夢を見る暇もなかった。
久しぶりに彼女の夢を見たのはミコトが初めて戦場に立った夜のこと。
夢の中で何度も経験しているはずの戦場独特の張り詰めた空気にミコトの肌がひりひりと焼け付く。
全く恐怖を感じないといえば嘘になる。だが……ミコトは肩に手を置く幼馴染を振り返った。互いに頷き合う。
高揚する心に応えるようミコトの拳に幻の焔が舞い、肌に焔の紋様が浮かぶ。紋は憧れのあの人の肌に浮かぶものと、よく似ている。
あの人が傍にいてくれるように思えた。あの人と同じものを抱き、立つことが誇らしかった。これを背負うからには情けないところは見せるわけにはいかない。
ミコトは地を蹴り走り出す。
初めての戦場を経験した夜、寝付くことができず何度も打つ寝返り。漸く眠れたのは夜明け間近だろうか。
夢の中で先を行くあの人の背をミコトはひたすら追いかける。だが距離は縮まない。
「あの……」
思い切って声をかけるとその人が立ち止まった。
「うちは貴方の様になれますか?」
振り返るその人。逆光で表情が見えない。
「うちは貴方みたいになりたいと思ってます……」
緊張のあまり汗をかく掌を握り言葉を続ける。
答えはない。でも……。
「……いいえ、なってみせます」
ミコトがそう胸を張ったとき、彼女が微笑んだように見えた。
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お祭りだって、お祭り。はしゃぐリツカに連れ出された街はいつもとは違う賑わいを見せていた。
「西の空。痕有り」
先程から幾つも頭上を星が流れていく。
「何やってんだよ」
観測会のように流星を読み上げたミコトに天文部の仲間が肩を竦める。
「天文部っぽいでしょ」
「じゃあ、天文部らしく祭りやめて観測会にするか?」
意地悪く笑う彼にリツカが「断然お祭り」と主張した。
今日は流星群に合わせ毎年行われるお祭りらしい。広場に向かう通りに並んだ屋台には食べ物からよくわからない不思議なものまで色々売られていた。
「はい、どうぞ」
子供が色紙で作った星を連ねたレイをミコト達の首にかける。
広場には何時の間にできたのか回転木馬に観覧車が姿を見せていた。
「観覧車乗ろうよ」
リツカがミコトの手を引っ張る。
小さな観覧車は二人乗り。幼馴染をはじめとする男三人は一人で乗るのも、男二人で乗るのもお断り、とミコトとリツカを見送った。
木製の小さなゴンドラは屋根代わりの傘と簡単な囲いだけ。陽気な音楽に時折キィキィと軋む音が混ざる。
「少しだけ空が近くなった」
リツカが空に向かって手を伸ばす。とは言え一番高いところで建物の二階ほどの高さ。多分皆で暮らす家のほうが空が近い。
「キラキラ光って、宝石みたい」
ミコトがランタンで色づく広場を見下ろした。手を振る地上の三人に手を振り返す。
ゆっくりと上がるゴンドラ。初夏へと向かう、ぬるい風が二人を通り抜けていく。
二人は目を閉じその風を感じた。沈黙が落ちる。祭りの騒々しさも、空に上がる花火の音も、踊り出したくなるような音楽もすべてが遠くに感じられた。
(あれ……うち……)
この沈黙を知っている、とミコトは思った。
(やっぱり私を好きなのかもしれない)
(やっぱり私は、この人が好きなのですねえ……)
声がミコトの中に、リツカの中に泡のように浮かんで消えた。
二人、顔を見合わせる。
「ミコちゃん……私達前にもこうして観覧車乗った?」
「コロニーで巨大観覧車に……」
ううん、と首を横に振る。違う。リツカが言っているのはそうじゃない。
「うん、乗ったことあるね」
ミコトが小さく応える。
「そっか……」
どこか嬉しそうにリツカが微笑む。
「とても大切な時間だったような……」
胸に手を置くミコト。
「うん」
「たまには……こういうのもいいね」
「うん」
言葉少なに、二人は夜空の散歩を楽しんだ。
公園に行こう、とリツカ。なんでも公園の大きな池に浮かべた沢山の蝋燭が作り出す幻想的な風景は見ないと損だということだ。
力説するリツカに向け「それだけじゃねぇよな」とツッコミが入る。
「まーね。実はさ……」
池の橋を呼吸を止めて渡りきることができたら恋が叶うというおまじないがあるのだ。
そんな言い伝えがあるのならば行かねばなるまい。何故なら自分も王子様に恋する乙女なのだから、と先程よりも声に力が入っている。
「ま、可愛い後輩のためだ」
後で何かおごれよ、という先輩に「もちろん」と威勢良く応えリツカは駆け出した。
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叢雲は荷物を持ち直し、空を見上げる。また一つ星が流れた。
流星群の極大期は伊達ではありませんねぇ、と隣を見れば先程まで一緒に歩いていた人の姿がない。
確かに何時もより少し遠回りをしたが逸れるような道でもない。ひょっとして流星に見とれているその人を置いてきてしまったのだろうか、と後ろを振り返った。
ドン、と前方から走ってきた誰かとぶつかる。
前方不注意だったと、叢雲が謝罪するよりも先に「ごめんなさい」と元気な少女の声。
「こちらこそ、申し訳ございません。怪我はないですか?」
「大丈夫っ!!」
少女が叢雲に向かってVサインを突き出した。そして「本当にごめんなさい」と両手を合わせて再び走り出す。
「友達と流星を見に行くところでしょうかね」
叢雲は二つに結った黒髪がリズミカルに跳ねる背中を見送った。
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リツカが足を止める。
聞き覚えのある柔らかい声。
「え……え?! 今の……」
ひょっとして、と慌てて振り返った。
今ぶつかった人はあの人にとてもよく似ていた。『理想の王子様』に。リツカは人ごみの中、姿を探そうと飛び跳ねる。
だが見つからない。
「まさかね。思い過ごしだって」
東洋系の黒髪眼鏡など珍しくも無い。特にリツカたちリアルブルーの住人がこの世界に大量にやってきてからは。
「わぁ……」
柵に手をかけリツカは池を覗き込む。
池に浮かぶ沢山の蝋燭。満天の星空が足元に広がっているようだ。池の周囲には肩を寄せ合う恋人達の姿、橋には真面目な顔して口を押さえ渡る少女達。
「私もいってくる!」
リツカが橋に向かう。
「向こうで待ってるよ」
ミコトが「頑張れー」と応援しながらゴール地点まで池の周囲を回っていく。
橋の袂、大きく息を吸って吐いて深呼吸。
「よっし」
一歩踏みだした。おまじないには決まりがある。ゆっくりその人のことを考えながら歩かないといけないのだ。
(やっぱり似ていたような気がするな……)
先程のことを思い出しながら橋を歩く。
(もう一度会えないかな……)
そうしたら名前だって聞くことができるかもしれない。
浮かぶ灯がゆらゆら揺れて水面に滲む。いくつも重なる灯は見ていると吸い込まれそうだ。
遠くで聞こえる音楽も、花火の音もいつの間にかリツカの耳には届かなくなった。ただリツカの世界で灯だけが揺れている。
橋の半ばに差し掛かった頃、視界の端に映る流星の尻尾。
顔を上げると、欄干に人影をみつけた。
暗がりでよく見えない。だが誰だかわかる。
(あ……)
あの後姿。夢の中のあの人。今度こそ間違いない。
色とりどりの光が揺れる水を彼は見つめていた。
「……」
あの、と声を掛けたかったが声がでない。
自分はまだ彼には相応しくない。彼の隣に立つのならば相応しい自分になってから……。
それに……、リツカは首元を押さえた。
遠くから見つめているだけで幸せなのだ。心の中がふわりと温かくなるような。元気がもらえるような。それは恋と呼ぶにはもっと幼い気持ちかもしれない。
彼のために、と読書や体を鍛えたりするのも楽しい。
何か目標があるというのはとても張り合いが出ることを知った。
ひょっとしたら自分は何か理由が欲しかったのかもしれない。自ら動くために。
天文部に入って、理想のヒーローに近づくために努力するミコトを見て、何かしなくちゃ、と漠然と思った。
その漠然を形にするために、『理想の王子様に相応しい自分になる』を目標にしたのかもしれない。
彼と出会う前、日々面白おかしく過ごしていた自分も嫌いじゃない。だけど今の自分のほうが好きだ。友達と一緒に互いの夢に向かって歩く自分が。
「……っ!」
突如耳に入ってくる轟音。空に咲く光の花。むわっと暑苦しい空気がリツカを包む。
リツカの脇を少女が通り抜けていく。
「りっちゃん!!」
橋にはあの人の姿は無く、向こう岸からミコトの呼ぶ声。
(あまりにも王子様のこと考えすぎていて幻みた……とか?)
「どうかしたの?」
恥ずかしいなあ、と頭をかくリツカに心配そうなミコト。「今行く!」と言葉代わりに手を上げて大股で歩き出した。
橋を渡りきり、後ろを振り返る。やはり彼はいない。
隣に立てるようになったら名前を教えてください王子様、とリツカは心の中で彼の背に語り掛けた。
「あっ!」
頭上を流れる大きな星。
「「火球、火球!!」」
まるで音まで聞こえてきそうな特大の流れ星にミコトとリツカの声が重なった。
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空に幾筋も星が流れる。
一つくらい此処に落ちてきても良いでしょうに、叢雲は掌を目の高さに上げた。
掌へ流れた星に、ゆっくりと手を閉じる。流れ星を掴む真似事。
「……ふふっ、流れ星を捕まえることはできた?」
肩に頭を預けて寝ていたはずの真琴が口元を押さえ肩を震わせていた。
「秘密ですよ」
叢雲は人差し指を口の前に立て片目を閉じる。
自宅のベランダで椅子を並べ流星観測。
間もなく日付の変わるころだろいうのに、子供達のはしゃぐ声が風に乗って聞こえてくる。天体ショーに子供達も夜更かしらしい。
「元気だね」
通りを走る子供達に真琴が目を細め、少し目立つようになった腹を撫でた。
叢雲と真琴は、結婚後も各地を飛び回り何でも屋という名の人助けをしている。真琴の妊娠がわかってからは休業中だが。
「夢をみたよ」
ゆっくりと真琴が語りだす。
「うち達の子供……孫? いやもっともっと先かもしれないけど。その子達が祭りに繰り出す夢を……。楽しそうだった」
きっと子供の声が聞こえたからかな、と真琴。
「子供が生まれたら、家族で星を見にいきましょうか?」
「お弁当持って、夜のピクニック。楽しそうだねっ」
二人肩を寄せ合い見上げた夜空に星が描いた大きなアーチが輝いている。
━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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●FNB
【ka3953 / ミコト=S=レグルス / 女 】
【ka3955 / リツカ=R=ウラノス / 女 】
●CTS
【ga7201 / 不知火真琴 / 女 】
【ga2494 / 叢雲 / 男 】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ご依頼ありがとうございました。桐崎です。
クロスオーバーいかがだったでしょうか?
夢か現か、ふんわりと星の降る夜に起きた御伽噺をイメージしてみました。
イメージ、話し方、内容等気になる点がございましたらお気軽にリテイクを申し付け下さい。
それでは失礼させて頂きます(礼)。