※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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在りし日の些細なやりとり
いつもと変わらぬ日、郷を歩いていたあるとき。
蜜鈴が空を見上げていると、少年が一人近づいてきた。
「ねえ、ねえ、巫女様! 巫女様の目、俺によく見せてください!」
見てみれば、少年の後ろからはほかにも数人の子どもたちが近づいてくる。子どもたちは目をきらきらと輝かせながら、巫女様、巫女様、といって笑っていた。
その勢いに何となく押され、蜜鈴はクスッと微笑んだ。
「かまわぬぞ。妾の瞳がそんなに珍しいのか?」
そう言って顔を子どもたちに近づける。
「巫女様の目には青空があるって、とおちゃんが言ってたんだ。ほんとだ、すっげーきれい! ほんとに青空見てるみたいだ!」
子どもは本当に些細なことも喜びに変える名人だ。
手の届かない青空と同じものが彼女の双眸にあると思ったのだろう、子どもたちの瞳は純粋にきらきらと輝いている。
「巫女様、巫女様、見ててくださいね。俺、絶対強い戦士になります! 巫女様や郷を守れる強い戦士に!」
少年たちの瞳は理想に輝いている。
……ああ、でも。
(これは、夢)
蜜鈴は気づいてしまった。この少年はもういない。正確には、子どもたちは残らずいない。
すでに死んでしまった。郷を失った日に。
蜜鈴は目を伏せる。一筋、涙がこぼれた。
(もう、失うものがないように)
そうありたい、そう願いたい。
そのために彼女は今日も戦う。
そして祈る。
安寧のために。鎮魂のために。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka4009/蜜鈴=カメーリア・ルージュ/女性/22歳/魔術師】
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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おまけノベルと言うことで、穏やかな日のある出来事というイメージで作成いたしました。
子どもの想像力や発想力というのは豊かですので、こういうアイデアの子どもがいてもいいかなと。そして故郷を愛する子どもたち……という、イメージです。
お気に召されたなら何よりです。
ではこちらも、ありがとうございました。