※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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君への贈り物
――女の子への贈り物って、何がいいと思う?
「へ、あ、え、えええええ……?」
その問題にぶつかったマキナ・バベッジ(ka4302)は、ただひたすらに情けない声を上げていた。
まず最初に、気の利いた答えなんてマキナに要求しないで欲しい。
多くの女の子と付き合って来た百戦錬磨な猛者という訳ではない、女の子を歓ばす天性のセンスを持っているという訳でもない。
ちょっと機械いじりが得意で、ちょっとハンターとして勘が働く。
マキナが自分に対して言える事なんてそれくらいだ、人付き合いは得意ではなく、それどころかちょっとへたっぴな疑惑すらある。
一般的な女の子なら――そんな想定の話をするだけで頭を抱えて逃げ出したくなる。
無理無理無理、ある程度予測を立てる事は出来るけど、それがあってるかどうかなんて確かめる勇気もない。
『あの子もどっちかというと変わり者な部類なのが幸いっちゃあ幸いだな』
時計店の店主が興味なさげに無責任なコメントを投げる、何の解決にもなってない、ちょっとした慰めにならなったが。
カウンターに突っ伏したマキナの頭は今にでも煙を吹きそうで、営業妨害だ馬鹿とでも言いたさげな店主が心底仕方なさそうに言葉を付け足した。
『あの子が好きそうで、女の子ウケが良くて、お前にも作れそうな定番プレゼント、一つだけあるだろ。まぁお前にとっては初めて作るものかもしれないが』
…………。
「あの、これ、ラッピングをお願い出来ますか」
マキナによってカウンターに持ち込まれた品に、文房具屋の店員はあらーと楽しげな声を上げる。
女の子へのプレゼント? と聞かれれば、マキナは顔を赤くして、はいと頷いた。
見た目は木製の四角い箱といったところか、表面に彫られた翼の彫刻は、専門分野でもないマキナが一生懸命考えて、絵の職人さんにも意見をもらって、なんとか描き出したものだ。
勝手に開けるような不躾な真似を店員はしない、その当たり前の事に安堵する、この箱を最初に開けるのは、あの子であって欲しかったから。
――これはあの子のために作ったオルゴール。
箱を開けると曲が奏でられ、中に仕込んだ人形が回る。
喜んでくれればいいなと思う、彼女に向けて作られた、マキナからの誕生日プレゼントだった。
━あとがき━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・
これはかなり色濃い「もしも」のお話です。
本編で重い話が続きましたので、一度くらいはこれくらいふわっと思考停止出来る甘いお話を書きたいなと思いました。
ちょっとした息抜きになれれば幸いです。