※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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「ふあーあ」
その日もゾファルが目を覚ましたのはすっかり日が昇ってからだった。
「今日もいい朝じゃん」
言うまでもなく昼です。
いつものように顔を洗ってから、食事をもらいに台所へ向かう。
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「……どうぞ」
女中が膳を持ってきた。先に席についていたゾファルの前に置く。
「今日も美味そうじゃーん。……およ」
箸をつけようとしてふと気づく。いつもより小鉢の数が一つ多い。
「……お礼です」
何故か側に立ったままだった女中が、ボソリとつぶやいた。
「先日は助けていただき、その……ありがとうございました」
「先日?」
全く見に覚えがないゾファルは、きょとんとする。
「あの。ひったくりにあったとき……」
「……あー」
そう言えばひったくりが逃げてきたのをぶん殴ってとっ捕まえたことがあったっけ。
「あの包みにはお館様にお渡ししなければならないものが入っておりましたので……助かりました」
「ああ、あれ、そうだったんじゃん?」
全く気にしていなかったが、どうやらあのときひったくりにあったのはこの女中だったらしい。
相手が弱すぎてゾファルの記憶にはろくに残っていなかったのだが、そんな縁もあったのだ。
「その、大変格好良いお姿で……」
「にゃ?」
「いえ、何でも。何でもありません」
女中は顔を伏せると、「ごゆっくりどうぞ」と言い残して逃げるように去っていった。
「ふむ」
とりあえず、小鉢に箸をつける。
「お、美味いじゃん」
そんなこともありつつ、ゾファルは今日も思うままに楽しく生きるのであった。
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……なんてベタな展開を考えたりもしましたが本編に入れ込む余地はなかったのでおまけです。
この度はご依頼ありがとうございました!