※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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THE・ちんぴら少女
「甲冑の化け物だーっ!」
寒村「タスカービレ」に、危機を知らせる叫び声が轟いた。
逃げ惑う村民の向こうから不気味にがしょんがしゃんと――およそ人が身に着けているとは思えないような関節の曲がり方をした歩きで全身甲冑の群れが迫っていた。
そんな中、勇敢に立ち向かう姿があった。
「青竜紅刃流、前へーっ!」
「いまこそ村を守るため鍛錬した成果を見せるときッ!」
村を守るべく立ち上げた銃剣流派の面々だ!
ある者は銃を。
ある者は刀を手に敵へと向かっていく。
「鑑さんはいないが遠距離の青竜と近距離の紅刃の技を使えば……」
村の門下生たちが陣形を整えるために走る。
「……んあ?」
その騒ぎに目を覚ました人影がある。
店員も逃げ出した茶屋の長椅子に寝ていた身を起こし、むにゃむにゃと目をこする。
ふわぁ、とあくびした様子は明らかにぐうたらでナマケモノ。
鍛えて引き締まった体のわりに態度や寝姿までゆるゆるな、怠惰意外何物でもない様子。
他でもない。ゾファル・G・初火(ka4407)である。
「あ、ゾファルさん!」
「大変です、村が甲冑の歪虚に……」
見掛けた門下生たちが流派の師範代を見つけ慕ってくる。
しかしッ!
「……なんだ、甲冑のばけものじゃ~ん。お前らで何とかなるじゃん」
寝た。
二度寝したよ、この人ッ!
「ゾファルさんっ!」
「ま、まあ俺たちで何とかなる敵だってことだろ。頑張って……」
門下生たちがそう話しゾファルの参戦をあきらめた時だった。
――ターン、ターン、がきぃん……。
銃撃で敵を圧倒した音だった。甲冑部隊は全滅するのではないかというほどの手数である。
……いや。
すぐに悲鳴が挙がったッ!
「うわあああっ。銃で倒した甲冑の中から……」
「ス、スライムだあっ!」
「畜生。ただの銃撃じゃ衝撃が吸収されるだけだ」
「刀でも斬れない、どうすればいい?!」
敵は甲冑を撃たれた後、中から本体を現した。
そればかりではない。
倒された甲冑内のスライムが一つになって、巨大な塊になっていたのだ。
「うわ……大きい……」
「何?!」
この一言にゾファルが反応した。
再び起きたその姿は、先の怠惰な様子は全くなかった。
その瞳が見上げたのは、終結して巨人ようにそそり立つスライム!
「お前ら!」
ゾファル、叫んで右手を出す。
門下生は急いでどこからか持ってきた巨大な籠手をゾファルの差し出した右手に装着する。
「用意するじゃん!」
さらに言葉が続き左手を差し出したところに、別の門下生がもう一つの巨大な籠手をその腕にセットする。
「ゾファルさん。機甲拳鎚「無窮なるミザル」、装備完了しました!」
「よぉし、行ってくるじゃん!」
言うなりゾファル、がしゃんと一つ胸の前で蒼き機甲拳鎚を打ち鳴らし、ポニーテールをなびかせ巨大な敵に突っ込んだ。
「くたばるじゃーん!」
まっすぐ突っ込み固めた右拳を渾身の力で撃ち抜く!
――ばしゃっ!
巨大スライムは体の表面を散らしただけでダメージが通った風もない。
「ん?」
見上げてすぐに察した。
胸板の内部、人間で言えば心臓のある位置近くに赤い球体が埋まっているッ。
「……さしずめコアってとこじゃーん」
不敵に微笑するゾファルだが、見守る門下生たちは「ダメだ。位置が高すぎる」、「あれじゃゾファルさんの攻撃が届かない」などと悲観的。
これを耳にしたゾファル、好戦的ににたぁと笑った。
「俺様ちゃんを!」
そして身をひるがえした。
横にある民家の軒先に置かれた樽を足場に屋根までジャンプ。敵はそれを捕捉し殴りかかるがバックステップでかわす。
いや、かわしたのではない。
「なめんじゃ……」
助走のため下がっただけ。一瞬後には屋根の傾斜も利用しものすごい勢いで敵へと走り……。
「ないじゃーーーーーん!」
わが身を矢にしたような鋭い正拳突撃。低い姿勢で伸身しきった美しい姿勢の一撃が敵の胸板に入った!
――びしゃっ!
が、やはり体表が散るだけ。体の奥のコアまで攻撃が届かない。
「ああッ!」
「あれでもダメかぁ」
「もうちょっと作戦を立てた方が……」
門下生たちの絶望の声。
「作戦?」
これを耳にしたゾファル、力を溜め込むように肘を引く。
そして殴るのだ!
「策を弄するよりはズバット快傑じゃん!」
もう一撃。
さらに一撃。
「じゃんじゃんじゃん……」
連撃だ。拳を連続で同じ場所に叩きつけ表面を散らして散らして散らして……。
「これで終わりじゃーーーん!」
渾身の力を込めて、敵の胸板をえぐった中から顔を出した赤いコアに拳を叩きこんだッ!
――……くたっ……びしゃっ!
「やっ……たっ!」
「敵がただの水になって崩れて消えた!」
門下生たちの歓喜の声。
そこに、しゅたっとゾファルが着地した。
「さて……道場に帰るじゃーん」
「お、おおっ!」
颯爽と背を向けるゾファルに慕うように、門下生たちが続く。
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ka4407/ゾファル・G・初火/女性/16/闘狩人(エンフォーサー)
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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ゾファル・G・初火 様
いつもお世話様になっております。
ぐだぐだな日常とヒリヒリするようなバトル、どっちがいいかな~、と迷いましたが以前は自堕落な様子を書いたようなので、今回は戦闘で。
なんだか面白そうな武器を装着してますし全身図もカッコよかったので、そんな感じで。
え?
敬称付きのハート?
一子相伝の……しんけん?
何をいっているのかまったくわかりませぬ~(
とにかく、イ寺鑑のいない間に村を守ってくださいましてありがとうございました、なお話に。
タイトルが昔懐かしの1500円ゲームソフトみたいな感じになっていますが、まあそれはそれ。
それでは、ご発注ありがとうございました♪