※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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ふたりはどきどき!~はじめてサマービーチ
じりじり照らす太陽に、澄んだ青空、波打つ海。
浅瀬にしぶきと黄色い声。白い砂浜に色とりどりの水着の姿。
これぞ夏のリゾートビーチ。
そこに、あまり日焼けしていない肌の少年が立つ。
「て、天気が良くてすごいですねぇ」
弓月・小太(ka4679)である。弓のように弧を描き広がる賑やかな光景に圧倒されて絶句していた。
「その……小太さん、その格好でいいの?」
背後には、フラ・キャンディ(kz0121)。
白い肌にオレンジのビキニ水着姿だ。恥ずかしそうにくねらせる身に合わせトップの二段フリルが揺れる。膨らみある胸にボリューム感をもたらすが、下はぴっちり包むだけで飾りは両腰のリボンだけ。すりあわせた太ももに揺する肩。上目遣いの視線が横に逸れた。
フラが恥ずかしがるのも無理はないかもしれない。
なぜなら小太の水着は白い褌一丁。
両腰骨あたりは細い紐だけで、股下からの布面積は小さく太腿の付け根の窪みやお腹のふくらみといった素肌が健康的に晒されている。
「あ、フラさん。……昔から男ならそれが正しい水着だと教えられてましたからぁ」
小太の実家は神社である。そういうこともあるのだろうし、恥ずかしがってないのは慣れている証拠でもある。
が、赤くなった。
「そ、そのぉ……水着、とても似合っているのですよぉっ」
二人して向き合ったまま赤くなってもじもじ。
「ほんと?」
嬉しそうにするフラを見て小太の心が弾んだ。
フラの、上げた顔と安心したような表情が胸を打つ。
「ほ、本当ですよう……さ、さっそく海に入りましょうかぁ」
もうじっとしていられない。ついつい先に歩きだす。
「あ、待ってよ。……んもう。よ~し、それなら……」
声を掛けるフラだが喜び混じりの小太が止まるはずもなく。そればかりか小太、どきどきする心に耐えられず走りだしたり。
「待て~っ!」
いつの間にか二人で追いかけっこ。
近くの人の少ない浅瀬まで。
ぱしゃ、と膝まで漬かった時だった。
「んもう、捕まえたよっ!」
「はわっ!」
腰に絡む柔らかな腕に、ぷに、とふくよかな圧迫感。
ついに捕まったのだが……。
「どうしたの、小太さん?」
「そ、それっ! ですよぅ」
優しく抱きつかれたので派手にばっしゃ~んと転倒できず少し物足りなかったのだ。代わりに、心配そうに腰から見上げてくるフラに水をぱしゃり。
「うわっ、しょっぱい! んもう、ひどいひどい!」
「ふわっ、フラさん激しすぎですぅ~」
目くじら立てて反撃するフラに、ひどく水を被りつつもむしろ楽しそうな小太だったり。
でもって、海の家。
「フラさん。美味しいですよね」
「うんっ、美味しい。小太さん、物知りだよね」
二人座って仲良く焼きそばを食べている。ゆっくりじっくり食べる小太に、元気いっぱいすすって満面の笑みを浮かべるフラ。おっと、むせた。慌てて小太が水を飲ませる。落ち着いてはふう、と肩に身を預け感謝する様子に赤くなる小太。幸せの重み、触れる肌の甘酸っぱさ。
「そ、そうだ、フラさん。次はあの島まで行ってみましょう」
指差したのは、沖の小さな小島。
「結構近くにあって大きいよね?」
「干潮だと歩いて行けるそうですよぅ。夕方に潮が引くそうですから……」
「泳いで渡って、帰りは歩きだねっ!」
フラ、腰を浮かす。相当乗り気だ。
だからつい、小太も言ってしまった。
「せっかくですから競争でも……」
「いいよ。ボク、海は初めてだけど川で泳ぎは鍛えてるんだからね」
さらに乗り気。だものでついつい……。
「じ、じゃあ勝った方が一つ、何かお願いできるということで……」
「望むところだよっ。さーて、何をお願いしようかな」
そんなこんなで浅瀬まで移動し、用意どん!
バシャバシャと飛沫が二つ上がる。
小太、勝負と言いつつも少しフラの事が気になったので姿を追ってみる。
すると……。
「んん……」
『フラさん?』
フラ、潜っている。
何かあったのかな、と続いて潜ると問題なく泳いでいた。ホッとする。やがて両足とお尻をふりふりして水面を目指す。息継ぎするようだ。そしてまた水中にもぐって泳ぐ。
『問題なさそうですねぇ……お、遅れないようにしないとぉ』
安心して普通に泳ぎフラを追う。
そして、先に到着したのは。
――ざばっ。
「あ、あれ? フラさん?」
「ぷはぁ!」
浅瀬に立った小太からかなり遅れてフラが立ち上がった。
しかも、かなり離れた場所で!
「あ、あの……フラさんて、もしかして迷子になりやすいです?」
「波が嫌で潜って泳いだんだけど前をちゃんと見るの忘れてた……」
方向音痴というわけではなさそうだ。フラ、距離をロスした分を悔やみつつ膝に手をつきごほごほとむせていた。
「だ、大丈夫ですかぁ?」
「大丈夫。それより早速……」
探検に、と言いかけたフラが赤くなる。寄ってきた小太の白く無防備な腰骨と褌がどどんと視界に入ってしまったのだ。
赤くなって慌てて視線を上げるフラ。
「フ……」
小太も赤くなる。
視界にどどんと恥ずかしそうなフラの顔がアップで映ったのだ。
「フラさん、少し島の散策してみましょうかぁ?」
弾む心に照れ隠し。フラを背に駆け出す。
「あん。ちょっと待って、外れそ……」
その時だった!
――はらり……。
それはまるで、青空に翼をいっぱいに広げて飛び立つ白鷺の姿。
悠然と、美しく、そしてスローモーションのように……。
「小太さん、危ないっ!」
「え……わわぁっ」
ぽろり、ばっしゃ~ん。
小太、何かを晒したが腰に抱き着き押し倒したフラのおかげで海の中。周りにいるカップルたちにあられもない姿を見せずに済んだ。
済んだが、しかし。
「フラさん、大胆ですぅ」
「し、小太さんがこんな格好してるからだようっ!」
フラ、尻餅をついた小太の胸板に顔をつけべったり体を添わせつつ見上げ抗議する。どうやら激しい泳ぎで褌がずれそうになっていたようで、直そうと伸ばした手に引っかかったところで小太が駆け出したのだ。フラとしては絶対に誤解されたくないところだろう。
その後、散歩しながらぐるっと島を一周。
「その、フラさん見てくださいよぅ。島の裏って、こうなってたんですねぇ」
「うわっ。波が結構激しいんだね……そうか。だから海水浴場として波が穏やかで人気なんだね」
岩に打ち付ける白波に目を輝かせる二人。
「か、カップルさんも結構いますねぇ」
「ホントだ……あっ、見ちゃダメ!」
「え? 何があったんですかぁ?」
何を見たのかフラ、ぐるっと小太に後ろを向かせて回れ右。
そうこうするうち、潮も引いた。
夕方だ。
「すごいですよぅ……本当に道ができてる……」
「カップルの人たち、手をつないで並んで歩いてるね」
引き潮で現れた道は、一人で通るには広く、二人並んでちょうどいい広さだ。
無言ですっと手を出す小太。
こくりと頷き手を握るフラ。
斜陽が二人を照らす中、帰りの道を並んで歩く。
「あ、あの、今日はとっても楽しかったですよぉ」
「うん……その、勝負に勝ったお願いは?」
フラ、肩を寄せ聞いてみる。おねだりに近い。
「また二人でどこか遊びに……」
頷いたフラ。肩に触れる髪の毛がくすぐったい。
●おまけ
「そ、そういえば、島でフラさんは何を見たんですかぁ?」
海の家に戻って聞く小太。その時、風でぱさりと暖簾の布が落ちてきた。隠した二人の影が浮かぶ。
「内緒」
そう言って立ち上がるフラの影。
「内緒だけど」
そのまま顎を上げて小太のほっぺたに口先を近付けて……。
ちゅ☆
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ka4679/弓月・小太/男/10/猟撃士
kz0121/フラ・キャンディ/女/11/疾影士(エルフ)
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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弓月・小太 様
いつもお世話になっております。
二人だけの夏の思い出。フラにとっては初めての海でのバカンスです(依頼で行ってますがあれは仕事ですし)。で、やっぱりベストフンドシストの水着は褌なのですね(笑
沖の島まで競争して、散歩を一周。とっても素敵です。
フラちゃんもすっかり雰囲気に参ってしまって、ファーストキス……まではいかず、ほっぺにキスしたようですね。とっても喜んで感謝しているようです。……いつもな感じのトラブルもありましたが(
この度はご発注、ありがとうございました。