※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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もちもちもっちり♪
弓月・小太(ka4679)とフラ・キャンディ(kz0121)、仲良く手をつないでどこへ向かっているのか。
「お待ちしてました。早速こちらへ」
出迎えた係員が案内したのは襖の和室だ。「更衣室」と書かれた紙が掛かっている。フラと男女別室に案内された。
「あ、あのぅ……ひな祭りのお手伝いって聞きましたがぁ」
「ええ。ひな人形に扮してもらいます♪」
ほら、人形だと遠くの人は見えにくいし、と係員の女性。
そう。
今日はご町内のひな祭りイベントの手伝いに来たのだ。
「あのぅ、フラさん?」
「そういえばそう言われてたっけ?」
小太、慌てて隣室のフラに呼び掛ける。隣のフラはえへへとおどけた声。
「それじゃ着替えを手伝いますね」
「あ。これなら一人で大丈夫ですよぅ」
和風の着物はお手の物。ここにも巫女衣装で来ている小太は手際よくひな人形の衣装に着替えていく。
(フラさんは大丈夫でしょうかぁ)
隣室が気になった。
しゅる、と衣擦れの音が聞こえる。
「ボクでいいのかなぁ?」
「肌もお人形さんのようにすべすべで白いから自信をもって」
「あら、結構ふくらみがある……大丈夫?」
「くすぐったいよぅ……あ、それはダメ」
(な、何をしてるんでしょうかぁ……)
小太、声と気配にドキドキ。
が、そればかりではなかった!
「あら、紐の下着?」
「うん。小太さんがいつもそうだから。こういう服の時はそうじゃないかなって」
(ま、まさか褌ですかぁ?)
さらにドキドキドキ……。
やがて着替えは完了。
二人ほぼ同時に出て来て顔を合わせた。
「あれ、顔が赤いよ?」
「ふ、フラさんもですよぉ」
決して着替えの時に想像して赤くなっていたのが残っていたのではない。いま目の前の、赤い衣装を着た金髪で白い肌の、人形のようなフラを見て赤くなっているのである。
そして金の屏風を背に桃色のぼんぼりが灯る台座に二人並んで座る。
「わあっ。きれい」
「可愛らしいお殿様とお姫様だこと」
来場者の注目を一斉に浴びる。
(は、恥ずかしいですがぁ……)
向けられた視線は小さな子供の羨望の眼差しから年配者の微笑みまでさまざま。そのいずれもが温かい。
(し、しっかりしないとですよぉ)
紫紺の衣装をまとった小太、皆の期待にこたえるべくしゃんと背筋を伸ばし凛々しく身を正した。
ふとフラが気になり横をちらりと見ると……。
「小太さん……」
目を丸めてびっくりしたような様子でこちらを見ていた。顔が真っ赤である。
で、幸せそうに顔を緩めた。
「カッコいいよ、小太さん」
こっそり言うと手にした扇子で顔を隠して横を向いた。
「フラさんも可愛いですよぉ」
え、という感じで振り向くフラ。にこーっ、と頬を緩めると小太を真似て背筋を伸ばした。
「頑張りましょう」
「うんっ」
二人、励まし合いしっかりとお雛様一組を演じる。
が、その時!
「うわあ、雑魔だ~っ!」
会場の右から聞こえる悲鳴。そちらから人がたくさん逃げてくる。
「わっ! こっちにも雑魔だ~っ」
さらに左から響く悲鳴。同じくたくさん人が逃げてくる。
左右から集まった人々は合流し会場出入口まで一直線。
「こ、これは放っておけませんねぇ」
立ち上がる二人。通り中央に背中合わせになり構える。
「これしかないけど、やるしかないよね!」
「そうですね……来ましたよぉ、フラさん!」
広げていた扇子を畳む。幸い、大きく頑丈そう。
そこへ雑魔、来た。白い。ぴょんぴょん跳ねている。
「こ、これは餅ですかぁ?」
小太、迫る餅型雑魔に銀髪をなびかせ紫紺のたもとを振るい扇子一閃!
――ぱしっ!
「おお~っ!」
一撃で叩き落とす。敵は地に落ちるとすぐに平らになって消えた。建物に避難し様子をうかがう人たちから賞賛の声が巻き起こる。
「あれ、い、意外と弱いですぅ。こ、これなら二人でもいけるかも…? ……か、数が多いですがぁ」
次々迫る餅雑魔に汗たら~。
「こ、こっちはマシュマロかな? 弱いけど動きにくい……」
背中からの声にはっとした。
振り返るとフラが慣れない衣装に苦戦していた。
「ホワイトデーには早すぎませんかぁ!?」
ぱしっ、と援護。
すぐに餅の方に向き直り、返す刀というか扇子でさらに一匹をパシリ。おお~っ、と見ている人たち。
とにかく忙しい。
「し、しかも餅はくっついてきますぅ」
小太の攻撃を受けた餅は土に伸びると大地に返るが、弾けて衣装などに着いた餅は姿が残り張り付いてくる。衣装の前は結構餅だらけになって重い。
「あん! こっちはぽよんって弾き飛ばしてくるよっ」
このフラの悲鳴に小太の本気に火が付いた!
「ふ、フラさんの分も頑張らないとですよぉ」
まずは身軽になろうと張り付いた餅をはがし振り返りざま……いや、餅がしつこく張り付いてむしろ服が緩んだ!
それでも小太は現在フラを守る騎士モード。マシュマロ雑魔を右にぺしり、左にぺしり。ひらめくたもとには餅が張り付いて重さがあるためいつもより派手に広がり踊る。小太無双モードとでもいうべきド派手な戦いに観客から大きな歓声と拍手がわき起こる。
「わっ。こっちはひっつくんだね!」
「気を付けてくださいよぉ、フラさん。重くなりますからぁ!」
さらに奮戦する小太。
皆のため。
フラのため。
そして悲劇がっ!
「あ、あれ? わっ!」
たもとが重くなっていたフラ、扇子を振り切った後バランスを崩し半回転した。
運悪く、そのお尻にマシュマロ雑魔が体当たりどーん!
「ふ、フラさん?!」
小太、はっとして受け止めようとするが。
――どしーん!
「わわっ!」
「いたたぁ……」
結果、フラが小太を押し倒す形に。
下敷きになった小太にフラの重さとむにゅりとした感触。
「ご、ゴメンっ……え?」
思いっきり抱き着いた後慌てて上半身を上げるフラだが、餅で服がくっついたまま慌てて離れたので……。
「ふ、フラさん?」
「んもう怒った!」
はだけたてすぽっと抜けてしまった。身軽にはなったが。
フラ、怒りに任せて暴れまくり。
「こ、これは手早く終わらせないとぉ……ま、負けてられませんよぅ」
小太もなりふり構わず暴れまくり。暴れん坊将軍もとい暴れん坊お殿様状態。
「はぁ、はぁ……これで終わり?!」
「フラさん、とにかくこっちへ!」
戦い終えたフラの格好は白く薄い下着用の着物だけ。それも前が乱れ肌も露わ。
小太、慌ててダッシュ!
「え? わっ! ……わぁ……す、すごい……」
意表を突かれて連れ去られたフラだが、お姫様抱っこに気付くと小さくなり赤くなっていく。
そして衆目の届かない物陰に。
「はふぅ、ふ、フラさん大丈夫でしたかぁ……ぁ、はわわわわ!?」
下ろしたフラがぽんっ、と沸騰しているのを見て初めて気付いた。
小太、帯まで完全に外れて白い褌が見えている。全身真っ赤になって太腿をよじり身を隠したり。
で、フラを見て気付く。
(フラさん……褌じゃなかったんですねぇ)
フラも胸は奇跡的にV字に開いただけで隠れていたが、下は小さな赤いリボンがちらっ。
同時にはっとするフラ。
もじもじと太腿をすり合わせ恥じらっている。
一体どうしたのか。
「小太さぁん……その、ボクの服の中にも餅が入ってて……」
「ふ、ふぇ?」
これだけ乱れていても胸がポロリしなかった理由だ。
「どうしよう……」
上目遣いのフラ。
(こ、困りましたですよぉ)
どうしたかは、秘密♪
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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ka4679/弓月・小太/男/10/猟撃士
kz0121/フラ・キャンディ/女/11/疾影士
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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弓月・小太 様
いつもお世話様になっております。
白いお餅に白いマシュマロ。
迎え撃つはお内裏様ことお雛様人形に扮した二人。
【雛祭VSホワイトデー】と題したご発注、ありがとうございます。楽しく書かせていただきました♪
なお、小太さんがいつも褌姿(など)を見せつけるのでフラはこういう衣装の時はそういうものなんだと理解したようです(ぇー
それではご発注、ありがとうございました。