※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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●プロローグ
仄かな麝香の香りが、頭の芯までを蕩けさせるようだ。
欲望に囚われた男達が熱狂するのは、小さなステージの上の少女に。
――しゃらん。
身体にぶら下げられたピアスが、金属の擦れる音をあげる。
一体何歳の頃から、この館で踊り続けているのだろうか。
まだあどけないその姿は、男達の劣情を煽るのに十二分で。
――きゅ、きちゅ、
潤滑剤の滑りを借りて、少女は支柱の周囲を舞う。
十歳やそこらの少女が纏うにしては、その香気も装衣も、女性の艶を誇張し過ぎていた。
――都市部には、こんな違法なショー・クラブがいくらでもある。
●一羽の小鳥
それはまるで、迷い込んで来た一羽の小鳥のような、真昼の印象を色濃く残す少女であった。
骨の髄まで夜に染め上げられた商品ばかりの中で、彼女の容貌は正しく光輝くような。
未だ男を知らぬ肌を透かす淡い桃色の下着は、子供染みた無邪気な色気で乱暴に客たちの心を乱した。
一夜の享楽に興じよう。
男たちは何枚もお札を出して、少女が恥ずかしそうに、おずおずと突き出した腰と下着の隙間にそれを捻じ込んだ。
少女はその歳にして、そうされればより乱れて見せなければならない事を知っている。
彼女が激しく身体を揺すれば、男たちの感嘆の息は、容易く少女の産毛を擽った。
彼女の未発達な脚が、器用に爪先でベビードールを掴む。
ひらり、薄布が宙を舞う。