※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
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「ここ、かぁ……」
私はお店を見つけて足を止めた。
通りに面した立派な面構えのマッサージ店に入ると、すぐに店員さんが出てきて、メニュー表を出してくれた。
内容について説明を受けながら、手にしたマッサージ無料券を差し出すと、店員さんはにこにこしてそれを受け取った。
(……実は応募した記憶ないけど、当たったって事は応募したんだよね、うん)
――私のこういう短絡的なトコ、良くないよね。
でもいつの間にやら家に届けられていたそれは、身に覚えが無いながらも、大変魅力的な誘いであって。
どのコースを選んでも良いと言うので、私はおずおずと、一覧で特に興味を惹かれた項目を指さした。
「【腰痛忘れコース】とか、【ヘッドスパコース】も悩ましいんだよ……
でもやっぱり、その……ほ、【豊胸コース】で、お願いします」
たくさんあるメニューに目移りしたけれど、結局自分の身体で、一番気にしているのはそこで。
施術室に通され、服を脱ぐようにお願いされたので、私は旗袍を外してベッドに腰掛けた。
しばらくすると店員さんが戻ってきて、うつ伏せになるように言われる。
「はーい! ちょっと楽しみなんだよ……」
ぺたりとシーツに胸を付けた私のお尻に、店員さんがタオルを掛けた。
うん、やっぱり、ちゃんとしたところだなぁ。とってもラッキーだったんだよ♪
「ふぁ、あ……」
最初に全身を強めに撫でるように解されて、私は思わず声が出た。
「あう、さすが、お上手なんだよ……んうう、」
その反応だけで不調の部位を的確に見抜いて、店員さんはぐりり、と肩のツボを刺激してくる。
さらに手は肩甲骨、腰、臀部、太腿へと伸びてゆき、足裏までじっくりと時間がかけられた。
「あ、ン……ぅあ」
巧みな手技にすっかり魅せられて、私はタオルを外されても、少しずつ仰向けにされても、全く気にならなかった。
スススー、と整体師の手が素肌を滑り、胸部の揉み解しが始まる。
「っああ! ああぅ……」
時折下半身を触られて走る電撃に、顔に熱が集まるのを感じた。けど、豊胸コースなのだからこのくらい恥ずかしいのは当たり前かもしれないし……何より、心地良い。私はしばらくの間、その快感をただ享受した。
「ぅ、ん……ふぅ、……?」
……不意に感覚が止み、私は漸く意識を浮上させる。……終わり、だろうか?
名残惜しい余韻に浸りきって、私がぼーっとしていると、直後――
「はふ、気持よかった……って、な、何!?」
ばん! という大きな音がして、施術室の扉が開いた。入って来たのは、如何にも怪しい風貌の屈強そうな黒人男たち!
「びっくりしたんだよ! って、……あー! それ、前の怪しい店の……! ってことは!」
私はその制服に付いている社章に見覚えがあった。以前に潰した違法劇場と、このマッサージ店とは同系列だったのだ。
そうと分かれば、マッサージ無料券が送付されてきた謎も一気に解決する。私は仕返しの為に、彼らに誘い出されたのだろう。
(くっ……逃げなきゃ。でも、何だか背中がぞくぞくして、うまく動けない……!)
胸を重点的に下まで解されたせいで、私は全身脱力気味だった。
乱入してきた男の一人が、私の身動きを封じようと利き腕の手首を掴む。――だけど、そこはハンター。
「……んうぅっ、……!」
私は直ぐに、起き上がりざまに相手の顎を蹴り上げた。反撃を受けて、その男は後ろに仰け反る。
「えいっ!」
続けて軸足を入れ替え、舞うように薙いだ。すぐ横でピストルを抜こうとした男の腕ごと、肋骨に踵が食い込む。
それから素早く間合いを詰め、肩を極めて動けなくしてしまう。
「思い通りになんか、させないんだよ!」
私がそう言った頃、やっと最初に顎を砕かれた男がドサリと床に倒れた。
瞬きの攻防だけで不利を悟った男たちは、舌打ち混じりに早急にその場から撤退を図る。
「あっ……こらー! 神妙にしろー!」
私は彼らを追って店の外へ飛び出した。ここで取り逃がせば、また余罪に及ぶ可能性が高い。なんだか身体がスースーするけれど、そんな事を気にしている場合ではないのだ。
男たちは店を出てすぐに裏路地に飛び込んでしまい、地の利を生かしてあっという間に姿を消した。
「待てー!」
言って待つわけはない。
でも、私はここで取り押さえた二人に逃げられるのも癪だと思い、追跡を断念した。
「あのぅ……だ、大丈夫ですか? 何事です?」
「……あっ、警備さん?! 大変なんだよ!」
騒ぎを聞きつけて来たのだろう、店の前には警備のおじさんをはじめ、野次馬たちが集まって来ていた。
事情の説明を始めた私は、すぐにその人々の視線が私の一点を見ている事に気付き、首を傾げる。
「何か視線が……ぁ、まさか!?」
思えば、私はマッサージを受けるために服を脱いでいて……
「きゃーーっ!! ま、またこんなオチなの!?」
私は真っ赤になって、腕で必死に身体を隠そうとした。が、時既に遅し……
あうう、またいろんなひとに見られちゃったよぅ。
To Be Continued...?
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登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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・狐中・小鳥(ka5484)
円舞小町の異名を持つ少女ハンター。
ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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清水です、いつもありがとうございます。
他職の兼ね合いで納品期間にムラがあって申し訳ございません。今回も大変楽しく執筆させて頂きました。少しでもPL様とこの気持ちを共有したいと願うばかりです。
この度は清水澄良にご縁を賜り、誠にありがとうございました。