※本商品は「ファナティックブラッド」の本編とは異なるアナザーノベルであり、「ファナティックブラッド」ならびに他ゲームコンテンツでプレイングやキャラクター設定の参照元にすることはできませんのでご注意ください。
台本上のシンデレラ

 ──これはだから別に、ついでに思い出した、そんなこともあったな、という話だけど。



「正直なところ、君がこの件に関わるのは推奨されないが」
「危険、ですか? わたくし怖れませんわ。大切なお友達の為ですもの」
「結果己の無力を知るだけになれば末路はもっと哀れなものになると伝えておく」
「……わたくし、ただ守られ甘やかされただけの存在に見えます?」
「異なると?」
「いいえ。だからこうして誰かのために動けるわたくしが嬉しいんです。これが『お友達』ですのね? だから……後悔したくありませんの。それに」
「それに?」
「貴方がそうしてわたくしを心配してくださることより意外なことかしら?」
「……。成程。見識を少し改めよう。思うほど人形でもない」

「……って、だあぁ~」
 一通り読み終えた頃、大伴 鈴太郎は頭を抱えるようにして突っ伏した。
 ハンターオフィスで偶々顔を合わせた伊佐美 透に声を掛けられたから何かと思えば、次の顔合わせまでに台詞を全部覚えておきたいからと読み合わせの手伝いを頼まれて。
 ……読めばいいだけ、と軽い気持ちで引き受けたそれがまさか、『クラスの高嶺の花的存在のお嬢様』役だとは思わなかった。
「柄じゃ無さすぎンにも程があるだろ! 良く平然と合わせられンなトールも! 似合わねえだろうが!?」
「いやあ実際の所、タイミングを合わせられればそれで良かったんだが……別に、似合わなくは無かったぞ?」
「…………は?」
 しれっと透から返された言葉に鈴は硬直する。……そりゃ、書かれたとおりに読むだけだから、苦手な言葉遣いだろうがそれなりにきちんと言えたとは思うけど。だからって。
 そんなわけないと思いながら、ほんの少し期待しているのを自覚する。こんな風に大人しい言葉を話す、その時自分はどんな顔だったのだろう。どんな風に見えたのだろう。……もしかして。
 ここまでお淑やかになんて今更なりたい訳じゃない。……けど、もう、少しだけ。女の子らしく振舞っても、平気なのかな、とか。
 ……なんて。
 彼女の葛藤を余所に、透はと言えば何事でも無いかのように残りの台本に集中しているところだった。



 ──思えば、酷く残酷なことを言ってくれたな、と思ったのが、このもう少し後。
 ──さらにそのもっと後、やっぱりこのことも、今の幸せのために必要だったのかなって。そんな。一瞬の魔法にかかった時の話。



━ORDERMADECOM・EVENT・DATA━━━━━━━━━━━━━━━━━…・・

登┃場┃人┃物┃一┃覧┃
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【ka6016/大伴 鈴太郎/女性/18/格闘士(マスターアームズ)】
【kz0243/伊佐美 透/男性/27/闘狩人(エンフォーサー)】(NPC)

ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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今更言っても遅いかと思われますが凪池はおまけノベルと言われると大分好き勝手に遊びますのでご注意です。いやだって、おまけだし。的な。
そんなわけでこちら親発注に透さんをご指名いただいた場合のおまけノベル「透さんと寸劇シリーズ」でした。
普段と異なるPC、NPCの様子のご想像をお楽しみいただければと思います。
いえまあもちろん、問題御不満ありましたらお申し付けください。はい。
この度はご発注有難うございました。
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発注者:キャラクター情報
アイコンイメージ
大伴 鈴太郎(ka6016)
副発注者(最大10名)
クリエイター:凪池 シリル
商品:おまけノベル

納品日:2018/06/08 10:13